無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年06月01日(土) マトンウォーズエピソード0(^o^)/『ボンバーガール』1・2巻(にわのまこと)ほか

 今日は朝から初日一番で『少林サッカー』を見に行く予定だったのに、しげのばかちんが「アタマがイタイ」とか抜かしやがるんで中止。
 けれどそのおかげでこちらもゆっくり朝寝ができた。
 体調はまあまあ。
 まだたまに咳は出るし鼻も詰まってるけど、ここまで来れば、ほぼ治ったと言ってもよさそうである。読者各位にはご心配おかけしました。
 ニュースを見ると、もうフィファだかティファだか、ともかくサッカー一色である(最初、「ワールドカップだか○○○○だか」ってギャグを思いついたけど、下品なのでやめました。けどこのシャレも何のことだかわからんヒト多いだろうな)。
 私はサッカーには全く興味はないけど、世間の方々がなんだかえらく盛り上がってるのに対して、いちいち目くじら立てて水を差すようなことを言うつもりはない。
 けれど、世間の動きを斜に見てる私だって、一応ニュースくらいは見てるんだよ。なのに、ホントに朝から晩までサッカーのことしか放送してないと、「ほかに伝えなきゃならないことあるんじゃないのか」と突っ込み入れたくなるね。
 「三遊亭円生の死が上の動物園のパンダの死でかすんだ」って、円丈が『ご乱心!』の中で嘆いてたけど、そんな感じかな。

 けれどワールドカップを国を上げてウカレてるのが、開催国の日韓両国だけじゃないってのには驚いたね。「世界」って、日本に比べりゃもちっと落ちついてるもんだと思ってたけど、そうでもないのか。
 昨日、初戦でいきなり優勝候補のフランスを破ったセネガル、大統領自らがパレードでバンザイしてる様子を映してたけど、この程度のことでそこまで喜べるものなのか。大統領だろアンタ、ホントにほかにすることないのかって気になるぞ。開会式で小泉総理がノーテンキな挨拶してるの見て、腹立ててた日本人は多いと思うけど、セネガルじゃあれだけハデなことしても国民は何も文句言わないんだろうねえ。出る杭が打たれないとは羨ましいお国柄だこと。
 でも、総理とか大統領みたいな政治家が、個人で応援するならともかく、ああも表に出て来て「日韓友好」をアピールしてるってのは、スポーツの世界に政治を持ちこんでることじゃないかって文句つける人間はいないのか。靖国参拝であれだけ不快感示した連中が、スポーツを政治に利用されてるのに寛容なのはおかしかないか。
 まあウカレてイカレた連中に何言ったって無駄なんだろうがね。
 ……おっと、やっぱりイヤゴト言っちゃったかな、私(今更)。


 夕方、アサヒビール園でAIQの飲み会。
 「早目に行かんと道に迷うよ」とのしげの言葉に従って30分前に近くまで行ったのだが、駐車場を見つけられずにぐるぐる回る。
 「ね。やっぱり迷ったやろ?」って、威張るなよ(-_-;)。
 結局、到着したのは15分前。でも一番乗りだったので、予約席を看板を見て確かめる。エロさんの名前で3階と表示されていたので(もちろん「エロの冒険者」なんて書いてなくて、ご本名なのだが。でも「エロ」で予約してたらそれはそれですごいよなあ)、3階で待っていたのだが、実際の予約席は2階だった。どういうこっちゃねん。
 三々五々、エロさん、ぴんでんさん、獅子児さん、ちゃかさん、ゆたかさんと集まる。
 この店に来るのは初めてなので、どんな料理を出すのか全く知らなかったのだが、ジンギスカン食い放題の店であった。しげが「『ジンギスカン』って焼肉?」と聞くので、「モンゴルの焼肉だよ。肉はマトンだけど」と答える。肉で食い放題ならしげには文句はあるまい。このとき、しげの口の端に不敵な笑みが浮かんでいたのを私は見逃さなかった。
 ボーイさんが「高い肉と安い肉とどちらがいいですか?」と聞いてくるが、軽い逡巡の後、安い方を選ぶ。ぴんでんさんが「どうせ五十円の差なら高いほうでは?」と問いかけたのだが誰も返事しなかったためだ。……もしかしてAIQのみなさん、我々並に貧乏性なのか?(^_^;)
 それからがもう、モノスゴイことになる。
 隣のテーブルは獅子児さん、ちゃかさん、ゆたかさんの三人、こちらは我々夫婦とエロさん、ぴんでんさんの四人なのだが、一人多いとは言え、明らかに肉の消費量が違う。掛け値ナシに、隣の「5倍」のペースで進んでいる。矢継ぎ早、どころの話ではない、私が一生懸命野菜を片付けている間、しげは肉をわんこそばを吸いこむごとく胃袋に収めて行く。
 皿がカラになると間髪を入れず「肉の追加をお願いします」とボーイさんに頼む。
 「少しはペース考えろよ、俺、さっきから野菜しか食ってないんだぞ」としげをたしなめるのだが、「だって二時間しかないんだよ」と言い返される。その様子を見て、ぴんでんさん、呵々大笑しながら、「いやあ、こんや初めてしげちゃんをイイ女だと思いましたよ」と喜ぶ。ああ、そういうことを言うからしげが図に乗る。しげのテンション、ますます上がり、もはや何皿取り換えたかわからない(5皿以上は替えているのは確か……って、20人前!?)。
 その間、話も盛りあがっているが、隣では『猛爆おたく先生』の話題で持ち切り。ファーストガンダム直撃世代にとって、アレは心臓打ちぬかれたみたいに面白いのだが、実はしげはあのマンガが大嫌いなのである。話を聞きながら、しげの機嫌が悪くなりはしないかとヒヤヒヤするが、会話の矛先を向けられたりしない限り、しげは場を固まらせる発言をすることはなさそうなので、とりあえずは安心する。
 相変わらずこの集まりは危ない話や人の悪口で盛り上がるので、あまりこの日記に詳細は書けないのだが、ぴんでんさんは「全然書いて構わないですよ」とおっしゃる。でもその口で「でも私が人の悪口を言う人間だと思われるとなあ」とうなだれて気になさっている。
 別に他人の悪口を言うのなんて、人の業のようなものだ。恥ずかしいことでもなんでもないので(人の陰口を叩くべきではない、なんてキレイゴトを言ってる人間の方がよっぽど信用できるものではない)、具体的に書いたっていいのだが、これはぴんでんさんの語り口を借りねば笑えない性質のものなので、とりあえずは遠慮しておこう。
 こちらもあまり喋りを聞くのに熱中しすぎて油断をしていると、延々と野菜だけを食い続けることになりかねないので、なんとか肉を選り分けて食う。おかげで久しぶりに腹が膨れあがるほどに満腹する。
 そのあと全員でシダックスでカラオケ大会。
 ホントは今月は手元不如意なので、予めしげと「カラオケは今日は控えようか」と相談していたのだが、泣く子と酔っ払いには勝てない(^_^;)。
 ……しかし、自分でも歌うことあるから人のことは言えないのだが、男の声で「名作劇場」を延々と聞くのはちょっとツライものがあるかも(^o^)。
 気がついたら歌いまくってすっかり午前様。
 エロさんとぴんでんさんをご自宅にお送りしたあと、帰宅した時にはもう4時近く。疲れ果てて泥のように眠る。
 

 マンガ、にわのまこと『ボンバーガール』1・2巻(完結/少年画報社/ヤングコミックコミックス・各620円)。
 かつて「少年ジャンプ」で打ち切りになったマンガの完結編を加筆しての再刊。にわのさんのマンガは『THE MOMOTAROH』のころから結構好きは好きだったのだけれど、何しろコマは小さいし描き込みは多いしセリフも多くて説明的だしギャグは濃くてシツコイし設定やストーリーはいい加減だし、キャラは作りこみすぎててかえって個性を感じられないし、まあ、打ち切りになったのも当然、というマンガではあったのだ。
 近未来、犯罪増加に伴うバウンティハンター制の施行、そして主人公が装甲服に身を包んだナイスバディの美女(それにしても「羅生門エミー」ってネーミング、なんとかならなかったのか。センスねーと思うけど)って設定、それだけじゃ魅力に乏しいってんで持たせた武器が「改造トンファー」だけど、ポーズは決めてるけどコマとコマの間が飛んでるので、アクションがどうなってんだかよく解らない。これじゃ読者は惹き込まれないよ(山本貴嗣を見習うべし)。
 それと、言っちゃなんだがタカビーで自己中でナイスバディなヒロインって、もろ、『少年サンデー』の『GS美神 極楽大作戦!!』のパクリだしな。「あたしが一番強くて偉くて美しいんだもん!!」ってセリフ、堂々と言っちゃうたあたりもな。
 完結編を付けたといっても、もともと連載最後の1ページでむりやりボスキャラ倒して終わってたので、収集の付けようがない。いきなりそれまでの敵「メガリス」に代わって「ネオ・メガリス」が新組織される結末。で、敵基地の爆発とともにヒロイン二人は行方不明……で、「新シリーズ『ボンバーガールクラッシュ!』に続く!」って、まるで『トライガン・マキシマム』。
 ……いや、散々貶してるけど、ちょっとしたポーズや表情の付け方にキラメキはあるのよ、この人。
 以前に比べて絵もグッとうまくなってるから今度は打ちきられずに続いてほしいけどなあ。
 そう言えばこれ、『雷神』って雑誌でアメリカでも出版されるんだよな。うーん、アメリカ向けに受けるとはちょっと思いにくいけど、度胸はあるよな。 
 

 マンガ、さくらももこ『COJI‐COJI コジコジ』3巻(幻冬社コミックス・1260円)。
 うーん、これってやっぱり一種の「宗教マンガ」なんだろうなあ。
 説教臭いマンガというのはいくらでもあるから、「哲学マンガ」というのはザラにあるんだけれど、ある一線から「これは宗教マンガだ」と言えるようになるのは、「神」の概念が明確かどうかにかかっていると思う。
 能天気でその場限りでまあナチュラルだとは言えるけれどもやっぱり何も考えていないような謎の生物コジコジが、実は「神の子」(作中、「宇宙の子」の表現あり)であり、この物語における「理想」の体現者であることは論を待たない。
 この第3巻でも、やたら「神」や「宇宙」や、この世の成り立ちに関することを暗示するようなエピソードやセリフがやたらと見受けられるのだが、そこには「神様はこの世の人々に無理して生きろなんて言ってないよ、ぼんやり生きてくのが一番いいよ」という「思想」が底流に流れていると感じられるものが多い。
 誰もが魔法を使えるメルヘンの国で、まんじゅう一つ出せないコジコジが、なぜか満天の星を空に映し出したり、何の気なしにこの世のすべてを消し去ろうとしたり(おいおい)。
 もの知り爺さん(そんなのもメルヘンの国にはいるのである)に騙されて、国中の人間が「江戸っ子のゲタ屋の家族」を「神様」だと信じこまされてるエピソードの中では、コジコジ一人だけが、「神様は心の中をウロウロしているのでこの辺をウロウロしていません」と言うのだ。もっともそれはゲタ屋さんのコトバの受け売りではあるんだけど。
 洗脳や折伏目的の宗教マンガ(っ―か布教マンガ)は私はご免被りたいが、この程度の漠然とした「神様マンガ」ならば多少は鼻につくところがあるけれど、なんとかセーフである。押しつけがましくなる一歩手前で押さえてあるし、実際に特定の宗教に勧誘されるわけじゃないからね。
 けれど、さくらさんって、何となく何かの宗教にハマってるような雰囲気はあるよなあ。いや、もちろん業界の裏事情なんて知らないから、ただの憶測でもの言ってるだけなんだけどさ。
 でも実際、少女マンガ家さんでアチラ方面に行っちゃう人って多い。何よりさくらサンは「ハマリもの」に弱いのだ。かつては「飲尿療法」までやってたそうだから、ヘンな道にはハマらないでいてほしいもんである。

2001年06月01日(金) あえて美人殺しの汚名をきて/『「彼女たち」の連合赤軍』(大塚英志)



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