無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年05月08日(水) ピンクの象は出て来ません/『ホーリーブラウニー』1巻(六道神士)ほか

 ヘンな夢を見た(また夢の話かい)。
 とゆーのが、私はジブリ美術館で宮崎駿の新作アニメを家族10人で見ているのだが(しげしかいないだろうと突っ込まないように。夢だから後の8人が誰かなんてわしゃ知らん)、ふと気づくと、私の後ろで唐沢俊一さんが一緒に映画を見ているのである。
 なんでこんなところに唐沢さんが? と思ったら、突然、前の席の方で、○○○○らしい人が「ううううう」と言って倒れてしまったのである。
 私が慌てて立ちあがると、横をすりぬけて唐沢さんが介抱に行かれた。
 それを見て私は、「そうか、唐沢さん、薬局の跡を継いだのだなあ」と考えていた。

 続きがあったような気もするが覚えているのはこれだけ。
 なんでわざわざこんなこと書いたかと言うと、私の夢に唐沢さんが出て来たのが初めてだからだ(そんな理由かい)。
 つーか、有名人が出て来ること自体珍しいんだよな。私がファンな人は数多いが、藤子・F・不二雄も金城哲夫も江戸川乱歩も横溝正史も筒井康隆も平田昭彦も天津敏も岸田森も……おっと、気がついたら男しか出してない(^_^;)、クラウディア・カルディナーレもロッサナ・ポデスタも(いきなり外人かい)、原節子も高峰秀子も八千草薫も(トシはいくつだ)。み〜んな、夢に出て来た事なんかない。
 ウルトラマンやゴジラやガメラだって、数えるほどしか出てきてないんじゃないか。
 それがいきなり唐沢さんだものなあ。しかも一番似合いもしないジブリ美術館(裏モノ日記を読む限り、行かれたことはないように記憶する)。先日、私がジブリ美術館に行ったとき、「こんなところに唐沢さんは来ないよなあ」と思ったことが夢のキッカケになってるんだろうけど。
 フロイト読んで以来、私は夢分析ってのが「後付けの詭弁」としか思えないので、私のリビドーがどんなものなのかわからないし気にもしてない。深層意識の表れには違いないだろうけど、夢分析が実生活でホントに有効なものとして機能してるかと言われれば「占い程度?」としか思えない。
 しかし世の中には、いかにもこの「夢」ってヤツに過度の信頼を寄せている御仁が結構いらっしゃるのである。「夢を分析すれば全ての人間の秘密が解ける!」みたいなね。ヒトゲノムか(^_^;)。
 で、精神科医でいかにも「フロイトの子ら」って感じで狂信的にハマってる人、いるらしくって、これがどうにも眉唾。人間の行動、全て「リビドー」で見ようとしてるらしいのね、未だに(さすがに少数だそうだけど)。偶然でもそーゆー医者にかかりたくはないわなあ。
 精神病患者に対する偏見を助長しているのに、フロイトやユング自体がそもそもトンデモさんだったせいもあると考えちゃマズイかな。


 夢を見たせいではないだろうが、体調を崩して仕事を休む。
 有給が半年にして残り少なくなってきてるので、休みたくはなかったが、便が水だ(-_-;)。
 風呂に入って腹を暖め、昼はひたすら寝て過ごす。


 アニメ『ヒカルの碁』第三十局『緒方VS本因坊』。
 ああ、この辺の話はすごく好きなとこだ。
 学生三冠の門脇がヒカル(実は佐為)にやられるところも好きだし(でも、このエピソード、門脇を再登場させないと余り意味ないんだけどね)、なんといっても、緒方と桑原のジイさんの応酬!
 ……ここで初めて、桑原本因坊が「食えねえジイさん」だってことが読者にも分ったんだよな。いやあ、原作以上に憎々しげな顔してくれてるよ、この猿ジジイ。
 しかも緒方と桑原の声優って……藤原啓治と納谷六朗!?
 ひろし(しんのすけのとうちゃん)と園長先生のバトルってか!?
 まさしく、新旧の実力者同士の丁々発止ではないの! ……納谷さん、最初はイマイチ本因坊ってキャラじゃないかな、とか思ってたんだけど、いや、あんなクソいまいましい喋りかたしてくれるとはねえ……。
 いや、感服いたしました。


 原やすみ(好美のぼる)『UA!ライブラリー・1 奇形児』(日本貸本漫画保存会・同人誌なので値段忘れた。700円か800円?)。
 ソルボンヌK子さんプロデュース&ツッコミの貸本マンガ復刻シリーズの第一冊。シリーズタイトルの「UA!」って、「ユーエー」と発音するんじゃなくて、「ウアッ!」って叫び声だったんだね。好美のぼるさん、男にも女にもこんな叫び声を上げさせてるんである。
 何度か好美作品もこの日記で取り上げてはいるんで、そのキッカイぶりは今更説明するまでもなかろうが、これはまた一頭地を抜いている。抜いてるというか、抜き過ぎて昇天しているというか(^_^;)。ともかくもスゴイ。とてつもなくヘンなのだ。タイトル故に、これを一般書籍として売ることは到底不可能だろう。けれど、これが世間一般の人の目に触れないとは実に惜しい。読んでぜひとも驚嘆し激笑し、「ポカー」としてほしいのに(^o^)。
 天神の福家書店でも、『うわっその子きれい殺す」とか、ほかの『UA!』シリーズは取り扱ってたけれど、さすがにこれだけは並べてなかった。……さもありなん。これはチト過激すぎるものねえ。

 妊娠中の母親がサリドマイド錠を飲んでいることを知って、それを取り上げる娘の博子……という展開と、タイトルの『奇形児』から、読者の誰もが一瞬、「ああ、この母親はサリドマイド児を生むのだな」と思うだろう。
 もしかしたらこれは「スリラー」に名を借りて、公害を告発する意図で書かれた物語か? と予想する向きもあろう。
 ところがこの前振り、本編の展開と何の関係もないのである!(°θ°;) ナニー!?
 確かにあとで奇形児は生まれるのだが、まず「変貌」を来たすのは姉の博子。突然、右手が縮み始めるのだ。次には左手、右足、左足……最後に彼女は江戸川乱歩の『一寸法師』のような姿に……(モトネタはその辺だろうな)。
 いや、何がスゴイって、その変貌が「怖くない」だけならまだしも、その展開の合間にやたらポエムが差し挟まれてさあ(^o^)。
 「どんな 美しい洋服を 着ても どんなにお金が あっても この右腕は もとへは もどらないのよ あたしの これからは 何うなるの…」
 少なくともこんなポエム作ってられる状況じゃないと思うんだが(^_^;)。
 「やがて左足も ちじんで行くだろう それでいいのよ みんなちじむと いいのよ 義手も 義足も いらないわ あたしはあたしの このままの姿を 見つめていたいの」
 なんだかメロディーつけてあげたくなりますなあ(^o^)。
 ともかく、だんだんヤケになっていく博子のトッピな行動がナントモ。
 「両腕がなかったらホントによく回るわ!」とか言っていきなり踊りだしたはいいものの(何がいいものなのか)、見事にコケて「起きられない!」とか言ってるし。これは悲しいシーンなのか笑うシーンなのか。判断に迷うというか判断すること自体を拒否されてるような。
 で、ついに気が狂って、キャバレーの見世物になってしまう博子。……って、いくらなんでもアンマリな展開じゃありません? フリークスは見世物に、というのはもしかしたら、トッド・ブラウニングの『フリークス』にあやかっているのかも。だとしたら好美さん、ご自分の尊敬する先行作品を、キチンと踏襲しようとマジメに考えていたのかな……。なわけないよな(^o^)。
 で、肝心の赤ちゃんはどうなったか。
 誰もが予想するとおり、博子と逆に、「手長足長」の姿で生まれて来たのでありました。どこぞの妖怪画を見て発想したのかもね、この物語。
 さて、この奇形児二人の織り成すドラマの結末やいかに! ……って、え?(・・;)
 あー、これから先は、何とかしてこの本を手に入れて、ご自分の眼で確かめてみてくださいね。
 同時収録の旭丘光夫の『火葬』も、相当トンデモです。


 マンガ、六道神士『Holy Brownie ホーリーブラウニー』1巻(少年画報社/YKコミックス・520円)。
 妖精の種類は数あれど、ブラウニーは最も有名なものの一つだろう。
 キャサリン・ブリッグズの『妖精 Who's Who』によれば、ブラウニーはホッブゴブリンの一種とか。無骨で毛深い小人だけれど、ほんの少しの報酬で、喜んで働く。けれど、その姿を見られることを絶対に許さない。人間がそのルールを破ると、かえって不幸が訪れる。
 けれど、ボギーやボーグルのようなアンシーリー・コート(悪の妖精)と違って、基本的には気のいい妖精である。
 六道さんはいわゆる「靴の妖精」としてこのブラウニーを描いているけど、靴の妖精は実はレプラホーン(レプラコーン)と呼ばれる種類。……妖精の世界もいろいろと「棲み分け」があるみたいね。更にグリム童話が英訳された時には、この靴の妖精は「エルフ」ってことになった。
 ……何と呼ぼうが、どーでもいーよーな気もするよな。

 さて、では、この『ホーリーブラウニー』、ステキな妖精さんのココロ暖まるメルヘンかというと……。
 六道さんがそんな話作るわきゃないじゃん(^o^)。
 いやもう、ひたすら下品の目白押しっつーか、どーして福岡出身のマンガ家って、小林よしのりといい、安永航一郎といい、六道神士といい、「下品」を売りものにしてくれるかね。福岡出身者としては肩身が狭いぞ……ってウソだけど。
 ヘ(^ヘ^)(^ノ^)ノ ソレソレ♪
 いやもう下品だろうが下劣だろうが、それが人間の本質ってもの。もうどんどんとことんおゲレツ道を突っ走ってもらいたいね、六道さんには。『エクセル☆サーガ』はまだまだオトナシすぎる。
 いきなり第1話が19世紀だってえのに、超リアルな高性能ダッチワイフを小人さんたちに作らせる話だもんな♪ この開き直りかたがもう、嬉しくなっちゃう。しかも24世紀の技術使って作った「南極花子」ちゃん(おいおい)、縮退炉が暴走して、村の住人殺戮しまくったあげく、被爆させちまうし。
 ヤッベーネタ!(^_^;) ……ヘタすりゃこれ、某団体から苦情が来たりしたらすぐ絶版になるかもしれないから、今のうちに買っとこうぜ、みんな。
 で、このトンデモコンビの小人ってのが、片や伝統的かつメルヘンチックなお仕事を夢見るピオラと、正反対の超現実主義的かつ、お下劣の権化(しかも神様のお気に入り)フィオの、二人の「人形」。
 そう、この小人さんたち、人形のカラダに神様から魂を吹き込まれたって設定なのね。つまり影の主役は登場しないけど実は「神様」(^o^)。
 もうなんつーか、処女受胎もダイナマイトの発明もマンハッタン計画も、ぜーんぶ神様の思し召し……って、某宗教にケンカ売ってないか六道さん(^_^;)。あぶないネタ満載のこの一冊、世の良識嫌いのアナタには絶対のオススメです♪
 ……ちょっとヘンなのは、単行本収録順序が、どうやら雑誌発表順序になってないらしいとこ。第四話の「永遠とは」が、どう考えても第二話だしなあ。特に理由がありそうな感じもしないから、もしかして単に間違えただけ?

2001年05月08日(火) 38℃線突破/『なみだ研究所へようこそ!』(鯨統一郎)



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