無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年04月11日(木) 幻想のステキな奥さん/『八犬伝』14巻(碧也ぴんく)/DVD『ルパン三世 生きていた魔術師』ほか

 一日しとしと、春の長雨。
 そのへんのポリバケツの側に、女の子みたいなチビ猫でも捨てられてそうな感じである(^^)。
 桜の花もすっかり散った。結局行けなかったな、花見。 


 さて、しげを駐車場で待たせてっからな、と勤務時間が終わるなり、さっさと帰宅しようとすると、職場の若い子が急に声をかけてくる。
 すわ、愛の告白か?!
 ダメだよカオリちゃん、ボクには妻も子もあるんだ(子はね〜よ、ホントは)、こんなキケンな男に惚れちゃイケネエゼ、と、『クレヨンしんちゃん』のひろしモードに入ってしまったが(元ネタはダニー・ケイの『虹を掴む男』やトム・イーウェルの『七年目の浮気』ですわな)、もちろんそんな都合のいい話があるわきゃない。ただの仕事上の話なのであった。
 ……オチがつくなあ、ちゃんと(-_-;)。
 しばらく話しこんでいて、ふと時計を見ると、しげを駐車場で20分ほど待たせている。
 おっと、イケネエ、これで失敬、とその場を立ち去ろうとして、最後に女の子に一言。「明日の晩、『クレヨンしんちゃん』の映画が7時からあるから見てね」。
 ……こんなアホが女の子にモテるわきゃないのである(^_^;)。


 しげと、今度の東京行きのことでいろいろと話す。
 ネットで知り合った方々とのオフ会、しげは相当緊張しているようだ。
 「行けば楽しいんだろうけど、何を話せばいいかわかんないし、ツライし」
 「そりゃ、オレだって同じだ」
 「人見知りだもん、オレ」
 「オレもそうだぞ。誰も信用しないが」
 確かに、私のように、客を口車でだまくらかす商売してる者が「人見知り」などと言っちゃイカンようにこの世はできているようなのである(^^)。

 しげにはともかく表現力がない。
 一応、自分でもそのことは自覚しているらしく、「オレの言うこと、みんな冗談だと思われてるんだろうなあ」とベソをかいている。
 なんでも、先日珍しくも参加したチャットで、ある男性(既婚)に「好きです」と告白したらしい(おいおい)。
 相手はそれを笑って受け流したらしいが、しげは「オレ、本気なのに」と言うのである。
 しげの惚れっぽさは尋常ではなく、本人は好みのタイプに拘りがあるようなことを口にしてはいるのだが、実際には年がら年中、誰彼なしに惚れまくっている。……それでコンビニで『プレイボーイ』や『週刊現代』立ち読みしている私のことを非難できるのか(^_^;)。
 いわゆる「好き」と「結婚」とは別というやつで、「好き」でも一緒に暮らしたいわけではない、ということであるようだ。私と結婚してるのは、「好き」よりも「暮らせる」という理由の方が大きい、ということなのだろう。
 「……だったらオレだって同じだよ。好きな女性はたくさんいるけど、結婚したいと思うわけじゃないし」
 しげ、それを聞いて、ねめつけるように「それって、『その人を自分ごときが汚したくない』ってこと?」と絡んでくる。
 「あほ。このトシになってそんな幻想持つかい」
 「だってアンタ、そういう幻想持ってそうだもん」
 「全くないとは言わんよ。つーか、女性に対して全く幻想がなかったらオマエが困らんか? 『オレはオマエに全然幻想持ってない』って言われて嬉しいか?」
 「……嬉しくない」
 「オレはちゃんとオマエにも幻想持ってるよ。『いつかはオマエが家事もちゃんとやるステキな奥さんになってくれるんじゃないか』ってな」
 ……自分で言っといてなんなんだが、ホントに幻想だよなあ。
 某雑誌はまさしく幻想を売ってるのであろう。


 しげの「肉食いたい病」がまた始まったので、先日出かけてしげが気に入った『焼肉のさかい』に行く。
 しげは、ここの冷奴がいたくお気に入りになった模様。豆腐の上に小さく刻んだキュウリと味噌を乗っけて食う。辛いもの嫌いのしげが、「辛い辛い」と言いながら美味くてペロリと食べてしまうのである。けど肉の店に豆腐目当てで行くってのもヘンなやつだ。
 「ばくだん」と書かれたメニューがあったので、何気なく注文してみたら、これがニンニクの丸焼き。どこがどう爆弾なのかはよく分らないが、匂いがキツイということなのかな。けれどこんがり焼けているので臭みはなく、むしろ口に含むと香ばしいくらい。熱々の皮をめくると、ポロリポロリと中味が転げてくる。なるほど、このへんが手榴弾っぽいかな。
 控え目に食ったつもりじゃいるが、肉は肉。ああ、これでまた体重が……。


 昨日今日と、睡魔などにも襲われて、唐沢俊一さんの裏モノ日記も覗いていなかったが、みてみると9日の日記に永井一郎さんの著作に絡めて、教育論を語られている。
 「今の教育に力がなくなっているのは、教育を受けた末にどのような未来が開けているのか、具体的なビジョンを誰も子供たちに示せなくなっているからだろう。ならば、教育以外にビジョンを持たせる方法がないのか、と方向性そのものを変えるべきなのだ。教育の必要性を頭から疑わないで教育論を唱えるのは右翼が皇室論を唱えるのと大して違わない。大前提を疑わない議論は意味がない」とあるのを読んで嬉しくなる。
 2、3年前、ある人から、「今の日本には教育しかないんだから」という意見を聞かされたことがある。その人は実際に教育関係者だったから、ある意味ご本人の自負かもしれないな、とは思いながらも、そこに一抹の自己弁護のような、あるいは傲慢さのようなものも感じて、「そこまで日本はオサムイかね」と首を傾げたものだった。
 変革が必要なのは誰でも分っちゃいるが、どう変革したらいいのか判らない、ヘタに旧来のシステムを変えて、その過程で自分がスポイルされたらかなわない、教育の危機が声高に叫ばれながら、親も教師も国も明確な指針を打ち出せず「生きる力」などという曖昧な概念しか打ち出せないのはそのせいだろう。
 だから、「学校なんてなくてもいい」「進学なんてしなくていい」「就職できなきゃ自分で商売始めりゃいい」と、至極マットウなことを言っても、「でもね」と言い返されちゃうのである。
 でも、「でもね」なんて言ってるやつに、現代の教育をどうこう言える資格があるとは思えんがな。


 マンガ、滝沢馬琴原作・碧也ぴんく作画『八犬伝』14巻(角川書店/ニュータイプ100%コミックス・987円)。
 ついに最終エピソード、安房大戦。原作が余りに長大なため、マンガも映画もアニメも、今までここまでを映像化したことは殆どなかったと記憶する。往年のNHKの人形劇『新・八犬伝』くらいじゃないかな。
 途中のコマゴマしたエピソードを随時カットしてはいるものの、よくこの最終編まで辿り付いたよなあ、碧也さん。
 タイトル変更だの掲載紙変更だの紆余曲折も相当あったし。
 そのせいなのだろうか、全体の印象は戦を題材にしていながらどこか涼やかだ。前半にあった、伏姫の悲劇、浜路の悲劇に代表されるような、因果から来るやりきれなさがカケラも見当たらない。何より、八犬士の顔にかつての憂いが全くないのである。
 血を分けた兄弟よりも深い契りで結ばれた義兄弟たちがめぐり合えた歓びだろう。関東連合軍を迎え撃つために各所に分散して行きながら、彼らはみな一様に笑顔だ。
 自らの優柔さゆえに、玉梓の恨みを買い、里見家に仇を成すこととなった里見義実の罪業、それを償わんと八つの玉に未来を託した伏姫、言ってみれば八犬伝の物語はたったこれだけの親子の確執が、連綿28年間に渡って書き綴られたものだと言っていい。
 罪は償えぬほどに重いものなのか、その罰は永遠に与え続けられなければならないのか。馬琴は「因果」という旧来の理念に、ドストエフスキーの『罪と罰』にも似た結末を用意した。碧也さんは馬琴のその心を正しくマンガ化しようとしているように思える。
 あと1巻かあ。優しい終わり方してくれるといいなあ。原作は更に「罪」を里美家が負う形で終わっちゃうから。

 蛇足。
 今回、写植屋さんがシロウトなのか、誤植が目立つのが気になる。特にルビ打ち。「八房(やつふさ)」が「はちふさ」だったり「網乾(あぼし)」が「もうかん」だったり。「もうかん」なんて人間の名前じゃないだろ。シロウトって言うよりただのバカか?


 雑誌マンガ、山上正月作画『WEEKLY漫画アクション5月1日増刊号 モンキーパンチ責任編集 ルパン三世 公式(OFFICIAL)Magazine』(双葉社・500円)。
 ……だから通巻ナンバーつけてくれってば。
 巻頭特集はモンキーパンチ大賞の発表と、モンキーさんと寺田克也さんとの対談。
 峰不二子賞の高田真希子って人、美人だけどバストないぞ。不二子はやっぱりバストが99.9センチないと。最近の巨乳ブームを考えると、そのくらいの女性もいたっていいような。
 寺田さん、私より年下なのに、アニメじゃなくて原作の『ルパン』から入ってるんだなあ。対談そのものはヨイショっぽくて面白くないけど、裏話がいろいろ聞けるのが楽しいところ。
 毎号、単行本未収録のモンキー版『ルパン』が掲載されてるけど、愛蔵版買ったこちらにしてみれば「どうして???」と疑問符の嵐。完全版の単行本出してよ、全く。


 DVD『ルパン三世 生きていた魔術師』。
 ……外見はなあ。
 確かに緑のジャケットのルパンだよ。
 けど監督は大隅正秋でも宮崎駿でも高畑勲でもない。
 音楽は山下毅雄じゃなくて大野雄二だ。
 何より作画に大塚康生が参加してない。デザインは似てても「動き」が違う。あの手足を持て余したような動きが出せてないんだよなあ。
 それにパイカル。三十年ぶりの再登場じゃんかよ。あんな「コツブ」でいいのか? 声、野沢那智もまるで合ってないし。……江角英明さん、どうしてやってくれなかったんだよう。
 それでも旧作のテイストが出せてるなら別だけどさあ。「天球の水晶」とか「オルフェウスの竪琴」とか、こういう荒唐無稽さはどっちかと言ったら新ルパンだろ? 旧シリーズのリアルさ、ないじゃん。
 それに、主要キャラ以外全然大塚康生デザインじゃないんだもの。世界観、まるで統一されてないよ。
 最近、夏のスペシャルが少しずつレベルが上がってきてたんで期待してたんだけどなあ。ラストのマルチエンディングも全く意味なし。結末が違うわけじゃなくて、一本にまとめられなかったんで分散させただけじゃん。

2001年04月11日(水) ヒマなし貧乏/『学活! つやつや担任』A(吉田戦車)ほか



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