無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年04月11日(水) ヒマなし貧乏/『学活! つやつや担任』A(吉田戦車)ほか

 同僚が結構大変な病気でずっと休んでいる。
 休みに入られる前に、随分すまなそうな顔をされていたのだが、誰だって体調を崩すことくらいあるのだ。別にこちらに気兼ねする必要はない。
 なのに世間では、休むことがさも最大級の罪悪であるかのように勘違いしている馬鹿がやたらいはしないか。露骨に迷惑がり、嫌味を言い、休職中の仕事を引き受ける見返りをワザとらしく要求する下品な連中である。休むのが女性だったりすると、セクハラ紛いのことを言ったりするやつもいる。それが上司だったりしたら最悪だ。
 ニュースで学生の引きこもりが80万世帯とか言って騒いでいるが、大人だって、別にしゃにむに会社人間になることはないのである。上司や同僚とのコミュニケーションが取れなきゃ取れないで別に構いはしない。体の病気も心の病気も病気に変わりはないのだ。休みたいときゃ休めばいいのである。
 それを保障してくれないような会社なら、そんなとこはじきに潰れるに決まってるから、さっさと辞めちゃえばいい。何も沈みかけた船に無理してしがみついている必要はなかろう。
 幸いウチの職場は体制がしっかりしているので(……って、私が働いているのだよ。その同僚の分の仕事を片付けるために、毎朝早朝出勤をしているのだ)、どうか安心して養生していてもらいたいものである。
 ただし、お帰りになった時に私の仕事ぶりを見て「なんじゃこりゃあ!」と後始末にひと苦労されるかもしれないが。
 まあ、それはそれ(^^)。
 私も夏場には入院予定なので、そのときにはこちらの仕事を代わってもらうつもりである。まあ、借金を先に返しておくようなものかな。

 というわけで、最近は朝早く起きるために、なるべく早寝するようにしている。
 12時に寝れば、6時まで6時間は眠れるなあ、と計算して、夕べも早目に床に入っていた。
 朝、何時ごろだろうか、足もとに何だかよく分らない違和感。
 体は目覚めないが、意識は夢現の境でモノが何かを探ろうとする。するとまた、なにやら足にドサッと何かがのしかかってくる。
 ……ゴミ袋だ。
 私の足がゴミ袋に押しつぶされていくのである。
 どうやら昨日から部屋の片付けに目覚めた女房が、朝っぱらからゴミをまとめ始めたらしい。それはいい。それはいいのだが、なぜ私の足の上にゴミを置いていくのだ。
 もしかしたら、私が時々かかる金縛りは女房のせいか。
 幸い、私の足は臨時のゴミ置場だったらしく、あとで台所に移動されていったようだった。……ヒトが動けないからって、なんてことしやがるかなあ。

 再び眠りについていると、隣の部屋から謎のひそひそ声が聞こえてくる。
 どうやら女房が鴉丸嬢と打ち上げの宴会について打ち合わせをしているらしい。
 もちろん聞こえるのは女房の声だけだが、何を話しているかは見当がつく。
 「……ああよかった、もしかしたら、よしひと姐様と二人だけになるかと思ってた」
 「……いや、おごってくれるんなら行くって」
 「……うん、給料日前でおカネないから」
 「……全部、ビデオと本に消えてるよ」
 なんて話してやがる(+_+)。事実だから否定できんが(-_-;)。
 あとで女房から聞いたのだが、鴉丸嬢、「お金がないなら出そうか?」と言ってくれてたそうである。
 うーん、娘ほども年下の娘さんに気を遣わせてしまった(^_^;)。無軌道なオタク生活も考えものである。

 昨日あたりから陽気がよくなってきたと思って、思いきってワイシャツを半袖にしてみる。
 と思ったら今日は一転、肌寒い一日。
 天気の野郎、ここんとこ挑戦的じゃねえか(~_~メ)。売られた喧嘩は買わずばなるまい。天気予報では今日は夕方から雨だそうだが、タクシーは利用せず、自転車でいつも通りの出勤。
 夕方帰るとき、雨が降っていたら私の負け、濡れずに帰れたら私の勝ちである。
 ウチに帰りつく寸前に雨がぱらつき始めたが、殆ど濡れずにすんだ。
 勝利。
 ふっふっふ、ここしばらくは全戦全勝だ。今年は結構、縁起のいい1年になるかもな。

 自販機で烏龍茶の2リットルペットポトルを買っていたときのこと。
 7、8歳くらいのガキンチョが近寄ってきて、いきなり「これ買って」と言ってきた。もちろん、見知らぬガキである。
 「自分のおカネで買おうね」
 といったら、プイと横向いてあっちに走って行った。
 どうやら同じマンションの子供らしいが、こっちのことを知ってて声をかけてきたのだろうか。マンションには幼馴染の友達も住んでるが、そいつの子供ではなさそうだったし、なぜ私に声をかけてきたのか腑に落ちない。
 まあ、親の躾が悪いだけかな、と思って納得すればいいだけの話である。
 ……ふと、自分のセリフを思い出して、はっとする。
 普通、こう言う時は「お母さんに買ってもらいなさい」とか言うんじゃないのか。しかし私は、小学生に向かって、はっきり「自分で働いたカネで買え」、という意識で喋っていたのである。お小遣い、なんて感覚は全くなかった。
 親に、骨の髄まで職人根性を叩き込まれているのだ。自分が会社人間になれぬ理由が納得出来たような気がした。……因果なもんだなァ。
 
 女房がいつの間にか吉田戦車のマンガ、『学活! つやつや担任』A・B巻を買っている。
 この間本屋に行った時に「これ面白いよ」と勧めたんだが、あまり興味を惹かれた様子がなかったので、買わないでいたのだ。
 私だって、際限なく本を買っているわけではない。女房が読みたくなさそうだったら、買うのを断念することもあるのである。……なんだ。結局買うのならそう反応してくれればよかったのに。
 女房はよく私に「無表情で何考えてるか分らない」と文句をつけるが、女房だって人一倍無表情なので、他人から「怖い」だの「怒ってる」だの「たくらんでる」だの「思いつめてる」だの勝手に思いこまれちゃうことが多いのだ。
 ……だからマネージャーから「困ったことがあったらなんでも言ってネ」なんて言われるんだよ。
 認めたくはないが、私と女房は似たモノ夫婦であるらしい。
 
 で、『つやつや担任』A巻。
 吉田戦車の作品を「不条理マンガ」と呼ぶことにしばらく前から抵抗を感じている。安部公房を例にして言うなら、『壁』や『人間そっくり』のように、ある存在の持つ意味を揺さぶって見せるのが不条理モノの手法である。
 でも実のところ、吉田戦車のマンガにおいて、意味は常に「確定」している。つやつや担任はつやつや担任だし、犬は犬だし、下手江は下手江である(かわいくて好きだな)。紫外線の影響だか地球温暖化のせいだか、どーでもいいんだが、「無生物が喋るようになった」世界観は基本フォーマットととして機能している。たとえ根拠が薄弱に見えても、これは「SF」ではあっても「不条理」ではないのだ。
 別に吉田戦車の悪口を言いたいんじゃないんだけどね。看板に偽りありってだけの話。キャッチフレーズがほしいなら、「不条理」なんていかにも高級感を狙ったようなものじゃなくて「へんなマンガ」でいいじゃないのよ、ねえ。

 マンガ、波津彬子『唐人屋敷』。
 チャイナタウンのおはらい師シリーズ全1巻。長く続いても短くてもいいかな、という点では『雨柳堂』と同じだが、こちらのほうが長く続かなかったのは設定がありきたりだからかな。
 こちらのほうがよりユーモラスだが、波津さんの絵はもともと線が固いので、キャラクターにギャグ演技をさせようとすると、ちょうどマジメなヒトが無理にシャレを言うとシラけちゃうように、浮いてしまうのである。
 少女マンガ家は線を省略すると途端に下手になる人が多いが、これも伝統なのかなあ。



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