無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年02月27日(水) さらばウルトラマン/『よろずお直し業』(草上仁)/『クロノアイズ』5巻(長谷川裕一)ほか

 『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の怪獣デザインで知られる成田亨氏が、26日午前9時半、多発性脳梗塞のため死去。享年72歳。
 ……もう、そんなお歳だったのだなあ。
 「ウルトラマン」という伝説を作ったのは脚本家の金城哲夫さんだったとしても、昭和40年代、子供だった私たちに「目に見える形」、即ちデザインとしてのヒーロー、怪獣のイメージを一変させる作品を生み出していったのが成田さんだったのだ。
 前にも書いたことあるような気がするが、成田さんや池谷仙克さんが数多くの怪獣、宇宙人のデザインを残してくれたおかげで、私たちの世代は「スター・ウォーズ・ショック」に会わずにすんだ。
 あれだけすばらしいデザインの数々に出会ってると、スターウォーズの世界なんてダサイとしか思えないもんね。ジャージャー・ビンクスなんてガンダーのパクリじゃないのか。しかも更にカッコ悪くなってるし。
 いたしかたのないことかもしれないが、ウルトラシリーズが続けば続くほど、独創的な怪獣デザインというものも減ってくる。しかし、それが必ずしもたいていのパターンが考えつくされたということではなく、デザイナーの才能と努力の差によるところも大きいのではないかという気がしてならない。
 ウルトラマンショップのソフビなどを見ても思うが、かつての作品をリメイクした新怪獣のデザインより、旧シリーズの怪獣の方がパッと目立つのである。
 クール星人にしろゴドラ星人にしろペガッサ星人にしろビラ星人にしろチブル星人にしろ、どこをどう捻り出したらあんなデザインを考えつけるものかね。「人が中に入る」ことを前提としない宇宙人も数多くデザインしているのだ、成田さんは。
 70年大阪万博の、太陽の塔内部の「生命の樹」のデザインも成田さんだったのだね。するとあれは、岡本太郎の皮を被った成田亨だったわけか。すげえ組み合わせだね。
 10代、20代の人にとっては、生まれる前のことなんて全て「歴史」でしかないのだろう。けれど、我々昭和30年代生まれにとっては、ウルトラマンも万博はついこの間の出来事だ。なのに、それがはるか昔のことのように言われてしまうことが多いのは、淋しくて仕方がない。
 その当時活躍していた人の死は、もはや過去は元には戻せないという現実を、否応なしに私たちにつきつけてくる。……ウルトラマンコスモスのバルタン星人は、やはり旧ウルトラマンのバルタン星人とは似て非なるものだった。言葉でうまく言い表すことができないのがもどかしいが、新作のバルタンは、結局は中に人が入った「ぬいぐるみ」に過ぎないのである。
 昔のもそうだろう、なんていう声も聞こえてきそうだが、そんなことはない。たとえヒューマノイドタイプの宇宙人であっても、中に人が入っているとは思えない……それが成田さんのデザインのすばらしさだったと思う。
 合掌。


 体調はやや回復してきたものの、半日、仕事していると、どっと疲れが。
 のどアメ舐めても舐めても咳が止まらないのよ、これが。
 実はなあ、もうちょっとしたらシャレにならないくらい忙しくなることがわかってるからなあ、こりゃ、今日は休んでその日に備えないとなあ、ということで有給取る。
 でももうこれ以上は休まないぞ。
 帰宅したらいつものようにしげは寝ている。
 けど今日は迎えのために起きる必要はないから楽じゃないかな。
 私もグデンと夕方まで寝る(そりゃ酒飲んだあとの擬態語だ)。


 シティボーイズのきたろうさんのHP、「PINKY YELLOW」にようやく次回公演の告知が載る。
 今回のタイトルは『パパ・センプリチータ』。
 いつもながらシティボーイズのタイトルセンスってすごくいい。意味不明なとこがだけど(^^)。
 きたろうさんの解説がまた振るってる。
 「パパは意味はないですが、
  センプリチータは意味がありそう。
  調べてみてください。
  調べたらがっかりします。」
 どこで調べるの、これ(^_^;)。
 「センプリ」と聞くとどうしてもモンティ・パイソンのギャグ、「センプリニ」を思い出しちゃうんだけど、あれはたしかグレアム・チャップマンのデタラメ造語のはずだ。タモリのハナモゲラ語みたいなもんね(もう誰も覚えてないか)。
 「チータ」ってのは水前寺清子か。昔、テレビドラマ『ありがとう』を見てたころは、水前寺清子が私の美人の基準だったなあ。
 いやまあ、そんな思い出話はどうでもいいのだが(+_+)。
 残念ながら今回の公演、いとうせいこうさんは出演しないが、代わりに出演されるのが、『ポケモン』のニャース、『マンキン』のまん太の声などでお馴染み、犬山犬子さん。もちろんもともと舞台の役者さんである。テレビドラマでも『ケイゾク』なんかに出てたからご存知の方も多かろうが、実はシティボーイズの前身、「ラジカルガジベリビンバシステム」の時代にも共演されていたのだ。
 きたろうさんのコメントは続く。
 「今まさに、外務大臣を筆頭に女性の時代だなという観があります。
  そこで犬山さんがゲスト。
  セクハラとか下ネタをいっぱいやりたい感じです。」
 いいなあ、セクハラ(^^)。
 でも犬山さんのご尊顔をご存知の方はお解りだろうが、セクハラのイメージとはちょっと結び付かないんだけれども(失礼)。
 けれど、これはもう、WOWOWで放送されるときにはP音で不適切用語が消えまくることは確実そうだ。
 やっぱりナマで見なきゃなあ。
 

 アニメ『ヒカルの碁』第二十局「プロへの道」。
 うーん、止め絵がまたちょっと増えてきたかな。
 けど一枚絵としての密度はそうは落ちてないので、不満を感じるほどではない。派手に動かすアニメじゃなくて、日常の描写を積み重ねることが主眼だから、作画枚数を抑えても微妙な表情を描くことができれば充分OKだろう。
 第1話のころに感じてた原作の絵との乖離もあまり感じなくなってきたし。
 声優の大仰なアニメ発声も聞き慣れてきて、以前ほどにはシツコイとは感じなくなってきたんだけれども、それでもヒカルと岸本のやりとりはちょっとクサクて閉口した。岸本役の櫻井孝宏さん、009を演じてるときは作画自体が派手だから気にならないんだけど、こういう静謐なキャラだと、どんなに抑えて声アテてても、妙にキザったらしくしか聞こえないんだよなあ。
 で、ヒカルの川上さんがいつもの能天気なウテナ声だから、もうなんか噛み合ってなくてねえ。アタマの中で一所懸命声を原作のイメージに近い形に修正して見てるんだけど、そこまでして楽しまないといけないのか(^_^;)。
 ともかくいよいよプロ試験編っつーか、「院生編」に突入だ。
 今んとこまだ出て来てないけど、越智の声は誰がやるのかなあ。私のイメージじゃ、田中真弓がピタッと来てるんでほかの声が思いつかないんだけど、ルフィで忙しいから無理かな。
 
 
 昨日に引き続き、今日もガストで食事。
 もちろん目当てはドリンクバーのアイスココアである。シツコクない甘さがいいわ、これ。
 しげは「たしか前食べた時、おいしかったよね」と言って、小エビのフリッターをオードブル(って大層なもんじゃないけどよ)に注文。
 前に私が注文して、少し分けてあげたので、やみつきになったらしい。中華料理屋の小エビのチリソースなどは、ムキエビをそのまま調理してあって、食感がプリプリしてるけれど、ここのは腹を裂いてヒラキにしてある。プリプリ感は失われるけれど、小エビのわりに大きい、という印象になるのだね。塩胡椒もそう利きすぎているほどではなく、酒のツマミには最適だろう。やみつきになるほどのものではないようにも思うが。
 小エビだのアイスココアだの、こんな程度のものでも何となくシアワセ気分になれるのだから、夫婦揃って安上がりっつーか、小市民なんである。
 しげ、よっぽど美味しいのか、いつもは遠慮がちにでも「分けてあげようか?」と言うのに、今日は黙々と食い続ける。メインディッシュのハンバーグもペロリと平らげる。
 私は自分の頼んだオムライスシチューを少し分けてあげたのだが、こちらはしげの好みではなかったと見え、いつもなら「もうひと匙」と、二口目を食べるのに食べない。確かにちょっと油っこくてしつこい味ではあったが、でも別に腐ってるわけじゃないのになあ。
 小市民のくせにこのあたりのスキキライはゼイタクである。
 こういうスキキライさえなけりゃ、しげのために料理作ってやるのもイヤじゃないんだけど。


 食事帰りにセガワールドに寄ったが、調子が悪くてUFOキャッチャー、全く取れない。ほんのちょっとしたタイミングを逃すと、取れるものも取れないしなあ。気がつくと千円つぎこんでたので止める。
 このヘンで止めちゃうのが小心者なとこだが、別に私ゃギャンブラーじゃないのでこれでいいのだ。


 マンガ、長谷川裕一『クロノアイズ』5巻(講談社・560円)。
 クロノアイズのメンバーの中で、唯一、まだ正体がわかっていなかった野性のエルザ(^o^)、実はミトコンドリア・イブであったことが判明。
 でもこの「ミトコンドリア・イブ」っての、私ゃガセっぽいと思うんだけどなあ。アフリカ人の女性って言ってたのもなんかあとで違ってるかもって、説が揺れ動いたみたいだし。第一、ミトコンドリアがパラサイトだって説だってまだ仮説の段階でしょ?
 長谷川さん、前の「毛皮の生えた恐竜」の時もそうだったけど、ちょっと新説を取り入れるのにせっかちなところがあるんだよなあ。でも、「あとで恥かいても、今、この説が新しくてオモシロイからマンガに描く!」という前向きな姿勢は好きだな。
 で……。
 主役が死にました(^_^;)。
 けど、なんたって作者が前向きな長谷川さんだからなあ。
 絶対助かるよなあ。
 たとえタイムパラドックスありまくりの設定になっちゃったとしても(^^)。今、臆面もなく「ヒーローは勝つ!」と言いきるマンガが描けるのは長谷川さんと島本和彦くらいのものだと思う。
 ……でも、二人とも女性のヌード描くとき、貧乳にする共通点があるのはなぜなんだろうな(^^*)。 
 

 草上仁『よろずお直し業』(徳間デュエル文庫・530円)。
 日本のフレドリック・ブラウン、草上さんの連作短編集。英語タイトルがついてて、『MAGICAL Mr.Fix−It』とあるんだけど、こっちのタイトルで売ったほうが売れるんじゃないか(^^)。
 デビュー当時のような、一読三嘆、これぞSF!と、読むものみな随喜の涙を流したという(ホントかよ)溢れる才気は薄まったものの、それでもSFの神髄を感じさせてくれる数少ない作家の一人が草上さんだ。
 目に見えない「命のネジ」を回し、「時を戻す」ことで、一度壊れたものを元の姿に戻す特殊能力を持つサバロ。
 彼のところには、思い出の彫刻や、名酒の壷や、恋人からの手紙など、「元に戻るはずのない」ものを復元してほしい、と願う依頼者がひっきりなしに訪れる。……あ〜、あれだね、『ドラえもん』の「タイム風呂敷」。あれのネタそのまんまだ。
 それはそれで、先行するアイデアがあったからって、小説として出来が悪くなきゃそれは構わないことなんだけど、ちょっとラストがなあ……。
 「あなたが直して来たのはモノじゃないわ、人と人の絆よ」って、登場人物の口から直接言わせるのは、いくらなんでもクサイし恥ずかしいよ〜。
 それって、言われなくても解りきった事実じゃない? そんなんただの「説明」にしかなってないよ、小説家が一番やっちゃいけない手だ。昔の草上さんならこんな安易な結末は作らなかったのに、40代半ばを過ぎてついに才能が枯渇したのかなあ。
 ちょっとした文章の匙加減の失敗で、感動を呼びそこなうことって、現実にあるのだ。最初の1、2話が面白かっただけに、惜しいなあ。惜しすぎるぞ。

2001年02月27日(火) 毛の話/『オトナでよかった!』(唐沢よしこ・唐沢なをき)



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