無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年11月29日(木) おトイレの音入れ。つまんないシャレですみません/『ほんの本棚』(いしいひさいち)/DVD『ゴジラの逆襲』ほか

 朝からなんだかスゴイ土砂降り。
 外の空気も冷たい。
 しげ、車を運転しながら「前が見えん後ろが見えん」と悪態をつく。
 確かに、見えないなあ。滝のように流れる雨のせいで、ワイパーもムダに左右に動いてるだけって感じ。
 朝は早くて薄暗く、帰りはもう夜で真っ暗、対向車のヘッドライトがフロントガラスで煌びやかに反射して、まあ、それ自体はとってもキレイなんだけれど、道そのものが見えんぞ、これで事故らないってのは奇跡じゃないか。
 しげはブツブツ悪態だけついてりゃよかろうが、隣に座ってる私はどうしたらいいのか。
 「怖い?」としげが聞いてくるので、半ば本気で「まあ、覚悟はしてるから」と答えたら、「何それ」と笑いやがった。
 「死ぬときゃ一蓮托生だ、うれしいか」とこっちも悪態でもついてなきゃやってられねーって。


 買い物がいろいろ残っているので、1時間早く帰ることにする。
 まずは『ハリー・ポッターと賢者の石』のチケットを買わねば(そんなんで早退するなよ)。
 しげに連絡すると、あまり喜んでる様子がない。日頃、私が仏頂面だと文句ばかりつけてるくせに、しげだって、私が何かに誘ったりしてもあまり嬉しそうな顔をしないのだから勝手なもんだ。
 それでも時間通りに職場の駐車場までやってきているのだから、内心は嬉しくてたまらないのにガマンしているのだろう。
 ちっ、照れてやがるぜ。

 「食事どうする? 『めしや丼』でいい弁当があるんだよ」
 「なんかそんなこと言ってたな。じゃいいよ、寄っても」
 返事をしたあとで、ふと、あることに気付く。
 「『めしや丼』、道路の右側にあったよなあ。ちゃんと中に入れるのか?」
 初心者が右曲がりが不得意、というのは私も何となくわかってきたところである。
 しげ、いともあっさり、「入るよ?」と答える。
 ……ちょっと待て、「入れるよ」じゃなくて「入るよ」なのか?
 しげ、車をどうやって乗り付けるのだろう、と思っていたところ、結構ムチャな曲がり方をしてくれた。
 キュキキキイキュキイイイイ。
 うん、確かに「入ってくれた」な(-_-;)。

 しげが勧めてくれた弁当、確かに量的にちょうどいい。
 「彩弁当」という名前だが、サバの切り身、卵焼き、鶏唐揚げ、煮付け、みんな少なめでご飯も少ない。それで500円程度なので、糖尿にはちょうどいい感じ。でももう一品、何かほしい感じがするのは、最近、食が進んでるせいかな(^_^;)。
 けれどチケット制という味気なさを除けば、種類も多く安上がりで、『めしや丼』は利用し甲斐があるのだ。

 帰りもバイパスの広い通りを一気に三車線すっ飛ばして入りこむしげ。
 キュキキキキキイッキュキュキキュキキキキキイッ。
 おおいおい、雨が降ってんだぞ雨があ。
 しげは私の顔から血の気がどんどん引いているのに気付いているのかいないのか。
 「初心者の癖にムチャしてる?」
 そういうセリフをニコヤカに、助手席に座ってる私に向かって言わないでほしい(ToT)。


 この間まで、ずっと改装中だった、キャナルシティの4階の「福岡ジョイポリス」。今日来てみて、どうやら再オープンしたことを知る。
 入場券制がなくなり、名前も変え、「クラブセガ キャナルシティ」として再スタート。隣のメガバンドールがつぶれちゃったし、このままセガは再開できないんじゃないかとか思ってたんだけど、ちょっとホッとする。これは意外と本気でうれしい。
 そんなにゲーセンに入り浸る方ではないのに、なんでそんなに喜んでるかっていうと、これがやっぱり「映画」ガラミなんである。
 だって、このまま雪崩式にAMCまで巻き添えくらってつぶれちゃったら、一番便のいい映画館がなくなっちゃうんだもの。
 アミューズメントマシンは大幅に増大されたそうだ。
 4階は、アトラクション、ブライズゾーン、体感ゾーン、プリクラゾーンをメインとしたフロア。
 ちょっと遊んで行きたい気持ちが沸々と沸いてくるが、しげが早く帰りたがっているので断念。……上に上がると、ラーメン横丁みたいなのも出来るそうである。食べっくらが出来るんだったら、うれしいけどね。

 AMCで『ハリー・ポッター』の前売券を買う。 
 なんと、明後日からの「当日券の前売り」までやっていて、しかも完売。
 ……こりゃ、本気で『千と千尋』、抜くかもなあ。

 クラブセガにちょっと寄ってUFOキャッチャーやろうとしたらしげが怒る。
 「早く帰るよ!」
 「何そんなに急いでるんだよ?」
 「……トイレ行きたいんだよ!」
 「そこの公衆便所に行けば?」
 「ここのトイレ混んでるからヤだ!」
 「ちょっとくらい待てるだろ」
 「……待っても、音、聞かれるじゃん」
 「聞かれたっていいじゃん」
 「ぜええええったいヤだ!」
 「ヤだったって、出るときゃ出るんだからしかたないし」
 「アンタは平気なの? 音聞かれて……」
 「平気だよ。男はみんなブリブリやるよ。職場でだって、人がトイレに入ってても隣のトイレに平気で入って、ブバッ、ビリビリ、ドバドバッ、バッチャーンッてやってるよ」
 「ウソぉ!」
 「行けよ便所!」
 「行かないッッッ!」
 ……それでガマンしすぎてカラダ壊したらどうするんだろうね。
 昔のオバチャンは道端でも座り小便してたもんだがなあ。しげが上品ぶるなんて似合わないって。


 福家書店を回って本を買いこみ、「スターバックス」で買ったばかりの本を読む。
 マンガ、業田良家『百人物語』2巻(講談社・580円)。
 マンガ本編よりも、表紙絵の「間違い探し」のほうが楽しい……なんて言ったりしたら、作者が聞いたら怒るかな(^_^;)。
 1巻読んだときには、要するに主役の「ダーク」はドストエフスキーの『白痴』のムイシュキン公爵で、純太がラゴージンなのかなとか漠然と考えてたんだけど、あまり政治的、思想的なほうには流さずに行きそうな気配だ。
 公園に集まるヘンな人たち、それだけで押して行ったほうがいいなと思ってたんで、2巻も特に盛り上がるでもなく話が淡々と進んで行っているのがいい。
 離婚結婚を繰り返すダークの両親、ああ、このネタも確か赤塚不二夫のマンガになかったかなあ。それともモデルはエリザベス・テーラーか、唄子圭助か? エキセントリックだけれどこの二人に一番のリアリティがあるのは、こういう「ちょっとだけヘン」って人が世の中に満ち溢れているからだろう。


 コンビニで立ち読みした『週間文春』、小林信彦の『人生は五十一から』で、「『1999年の夏休み』以降の金子修介についてはもっと論評されていいのではないのか」の一文を見つけて、なんとなく首肯。
 「なんとなく」というのは、それ以前のポルノ作品を見ていないからだ。
 小林さんがそれらを見た上で発言しているのかどうかはよく分らない。与えられた紙数の関係もあるのかもしれないが、小林さんの文章にはこういう韜晦やほのめかしがやたらと多くて、読者としては「はっきり言わんかい!」と、多少不快になることもままある。
 文章家としての小林さんは好きだが、批評家としては三流という印象がしてしまうのはそのせいだろう。言ってることの根拠がはっきりしないのよ。
 というわけで、小林さんの意見に明確に同意することは憚られるのだが、金子監督の考えるエンタテインメントとは何か、ということを分析することは、「日本映画がどうしてエンタテインメントとして一本立ちできないか」ってことを考える上で重要な意味があるんじゃないかとは思うのだ。
 『1999年の夏休み』は萩尾望都の『トーマの心臓』の映画化だ。
 ドイツのギムナジウムを舞台にした少年愛の世界を日本を舞台に描くのは不可能に近い。萩尾望都は以前、『小鳥の巣』を「北海道の全寮制高校を舞台に映画化したい」というオファーを、「現実のそれがどんなところか容易に想像つくので断った」という経緯がある。なのに、『トーマ』の映画化を承諾したのは、少年たちを全て少女たちに演じさせるという離れ業を考えついたからだ。
 これって、『銀河鉄道の夜』を猫キャラでアニメ化した杉井ギサブロー(っつーか、ますむらひろし)にも共通する奇抜なアイデアなんだけれど、それが成功したかと言われると、うーん、と首を捻らざるを得ないのである。
 「この映画は普通の演出では映像化できない」。これは誰でもそう思う。
 だから普通は諦める。あるいはそんなんどうでもいいや、で強行する。日本映画の監督の大半はそんなバカだから、駄作ばかりが量産されるのは当然のことだ。けれど、金子さんはそこでいつもアクロバットなワザを披露してくれるのだ。
 そのチャレンジ精神自体は歓迎したいことなんだが、たいてい着地に失敗するんだよなあ。『咬みつきたい』なんか、緒形拳が吸血鬼やるんだよ。「そのミスキャストが面白い」って、「ミスキャストはミスキャスト」だっちゅ〜に(-_-;)。
 こんどの『GMK』(って言うんだって)も、多分、今までの金子作品同様、どこかが外れているのだ。それをどう評価するかってところなんだろうなあ。駄作になる方法をあえて取って来た今までのゴジラシリーズと一線を画するものにはなってるんだろうけれど、じゃあホントにエンタテインメントになってるのかと言うと……。
 ええい、見てみなけりゃわかんねーや。映画に予断は禁物だい。


 いしいひさいち『ほんの本棚』(東京創元社/創元ライブラリ・630円)。
 いしいさんのミステリ好きは、一連のシャーロック・ホームズのパロディマンガにもよく現れている。
 この本も、半分はいしいさんのミステリを中心としたパロディ四コマ。半分と言うのは、残りは別人の書評だからだ。表紙にはいしいさんの名しかないが、実際に本文を書いているのは、タブチコースケ・広岡達三・藤原ひとみの三氏。……なわけないじゃん(^_^;)。
 バーナビィ・ロス以来、ミステリマニアはすぐこういうお遊びをしたがるからなあ。日本でも既成作家が覆面作家(山本周五郎)とか加田伶太郎(福永武彦)とか嵯峨島昭(宇野鴻一郎)、鷹見緋紗子(天藤真・大谷羊太郎・草野唯雄)などの変名で作品書いてたことはあったが、どうもこのお三方の場合は「既成作家の」というわけではないらしい。
 目次をめくるとそこにちゃんと「文・いしいひさいち・富岡雄一・峰いづみ」とある。いしいさんに書評が書けるとは思えないから(失礼)、タブチと広岡は富岡さん、藤原センセは峰いづみさんという方だろう。けれど問題が何一つ片付かないのは、じゃあ、この「富岡雄一と峰いづみ」ってのが誰なんだかさっぱり分らないからである。
 東京創元社の社員か、それとも新進作家か。それなりの文章は書けてるんだけど、いしいさんのマンガに勝てるレベルじゃない。いしいさんの鋭いツッコミを見たあとじゃ文章がかすんじゃうのである。
 この富岡さんと峰さんがいつまでもタブチや藤原センセの仮面をかぶっていられるわけじゃなし、本気で作家になるつもりなら、こういうイタズラはかえって逆効果じゃないかと思うんだがなあ。


 マンガ、後藤圭二『ゲートキーパーズ』2巻(角川書店・567円)。
 明日の笑顔のたぁーめにぃー♪
 なんつーか、テーマソングは好きだったけどねー。
 オタアミ会議室なんかでは徹底的に嫌われてるアニメ『ゲートキーパーズ』だけれど、時代を1969年に設定する意味がないし、時代考証も間違ってるって批判は、実はあまり当たってないんじゃないかと思う。
 昭和44年だよ。
 リアルタイムで生きてたヒトならわかると思うけど、その年、第一次ウルトラブームは既に終わっていた。『ゲゲゲの鬼太郎』が起こした妖怪ブームも一年余りを経て下火、新シリーズが始まるまでには、まだ2年を待たねばならない状況にあった。ゴジラ映画は前年の『怪獣総進撃』で一区切りを迎えていて、『オール怪獣大進撃』を第一作として「東宝チャンピオン祭り」は始まっていたが、未だムーブメントを起こすまでには至っていない。
 何かハッキリしたブームというもののない、しかし来年に万博を控えて、なんとなく期待感だけはあった、そういうモヤモヤした時代だったのだ。
 そういう、言わば「スキマの時代」。
 あの時、こんなヒーローものがあったら。
 そういう思いがスタッフにあったのだろう。


 DVD『ゴジラの逆襲』。
 何年ぶりに見返したのかわかんないけど、ずいぶん単調なストーリーだなあ。
 結局、「来たかアンギラさん、待ってたゴジ」ってだけなんだもんな。
 コメンタリーは有川貞昌さん、円谷英二に次ぐ、東宝第2の特技監督になられた方である。
 でも、話してることって、本人は自慢してるつもりかもしれないけど、失敗談に近いぞ。「1作目のゴジラは誰が中に入るかわからなかったけれど、2作目は中島春雄さんが入るとわかってたから、その体型に合わせた」だって?
 そんなだから2作目以降のゴジラが「人間臭く」なっちゃったんだよ。着ぐるみは人間的な動きを消すためのものなんだから、動きにくいところがあった方が怪獣にリアリティが出ていいのに。
 例の「カメラをゆっくり回しちゃったドジ」もちゃんと説明してくれてる。
 こういうコメンタリー、長谷川和彦監督なんかは「つまんない」と批判的なようだけれども、工夫すべきなのは演出形式や証言を引き出すための司会者の技術なんであって、映像作りのウラを関係者から聞ける喜びはやっぱりDVDに求めたいのだ。
 現存する全てのスチール・絵コンテの完全収録もうれしい。
 長年の疑問だった、「宣伝スチールのアンギラスはどうして背中がめくれているのか」は、アレが着ぐるみではなく、粘土模型の合成だと知って氷解した。つまりありゃ、ポーズつける時に背中が外れちゃったのだ(多分、粘土を作った本人は撮影にはタッチしてなかったんだろう)。
 ……直しとけよ、それくらい。


 CSキッズステーション『ナジカ電撃作戦』MISSION 008「欲望の空は戦い渦巻く炎と共に」
 ケツが出ると一気にギャグっぽくなるなあ(^o^)。ああ、ゲストで登場の兵器会社の社長令嬢のことなんだけどね。もう典型的なタカビーなお嬢さまで「お〜っほっほっほ」と笑ってるし、当然、そんなヤツはこの『ナジカ』の世界では苛められキャラなんですよ。誘拐されて、戦闘機のコックピットにぶちこまれるのはいいとして、なぜ尻を上にしてるかな?
 ξ^▽〆オーホッホッホ。
 しかし今回の空中戦の大迫力ときたら!
 強奪された最新鋭ステルス戦闘機「オボロ」を追撃する七虹香とリラが乗りこんだ飛行機は、ボロボロの中古戦闘機バッカニア。……整備士のおっちゃん、声が青野武だ。こりゃ、綿密に整備されればされてるほど危険度が増してるんじゃないか。成原博士に整備されてるようでさ。
 自爆こそしないけど、いろいろ芸は見せてくれるし。
 ホーミングミサイルがいったん沈んで目標物に向かって飛んでく描写なんかは実にリアルで感動的なんだけど、いくらヒューマリットだからって、飛んできたミサイルを手で受けとめるってのはいくらなんでもちょっとスゴ過ぎ(^_^;)。ついてけないファンもそろそろ出て来てるんじゃないかな。いや、私は面白いからいいんだけどね。
 リアルとギャグが渾然一体となってるのがやっぱり『ナジカ』の魅力なのだから。

2000年11月29日(水) オタクとは知性のことなり/アニメ『サウスパーク』5巻ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)