無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年07月30日(月) 八女って全国的にどの程度有名なんだ?/『ロマンアルバム・太陽の王子ホルスの大冒険』ほか

 仕事の内容は明かせないが(明かしてもいいんだが、バカがまた騒ぐので秘匿)、今日は出張で八女市まで行かねばならない。

 ……で、「八女」ってどこにあるの?

 知人に八女出身の人がいたけど、さすがに本人に向かって「八女ってどこ?」とは聞けなかったなあ。
 いくら私が福岡地元民だからって、全ての土地に足を踏み入れているわけではない。知らないところは他にいくらでもあるのだ。
 第一、久留米と八女のどっちが北にあるのかもよく知らないのだよ。えっへん(威張れることか)。
 「八女」と言う名前からして、昔、八人の女が月見をしながら踊ったとか湖に身を投げたとか鬼退治をしたとかいう伝説があるのではないか。あるいはお茶の産地だけに「飲茶」(ヤムチャ)の「ヤム」が訛って「ヤメ」になったとか。『帰ってきたウルトラマン』に「ヤメタランス」という怪獣がいたが、あいつはここの出身であろう。
 ……テキトーに言ってるだけなので信じないように。

 でも八女は、一応、歴史的に古い町ではあるのだ。
 古代史を学ぶ者なら常識中の常識、『古事記』『日本書紀』中のハイライト、「磐井の反乱」の舞台がここなのである。北九州最大の古墳である岩戸山古墳がその磐井の墓と比定されている。
 八女出身の人たちは、たいてい「あの時(って、1500年前じゃん)、大和朝廷に勝ってりゃ、今ごろ日本の首都は八女だったのになあ」と、今でもマジで言ってるのだ。んなわけあるかい。
 なんだか九州人ってさあ、博多の人間も薩摩の人間もそうだけど、みんな「自分とこのほうが東京や京都より伝統がある」って思ってる鼻持ちならないヤツらばかりなのな。オノレを知らないのである。

 それはさておき。
 出張先のありかも知らず、まあ、列車に乗りゃあ、勝手に現地まで運んでってくれるんだしな、とタカを括って、フフンフンと鼻歌うたって出掛けたはいいのだがだが。
 列車の時刻表もしっかり確認しておいたのに、バスが渋滞に巻き込まれる。いつもは15分しかからない道のりが45分。
 博多駅に着いた時には、快速列車が5分前に出たばかりだった。
 これはマズイ、このままでは遅刻だと、慌てて時刻評を繰ると……。5分後に出る特急列車が、先発の快速を追い越して、久留米で停車する。そこから快速に乗り継げば、八女の「羽犬塚」駅まで、時間までに辿りつく。おお、これならバッチリ!
 ……なんだか時刻表トリックを実地で体験してるみたいだな。

 久留米駅で快速を待っていると、突然「くええええええっ!」とけたたましい声。何の鳴き声かと思ったら、駅の構内に孔雀の檻があるのだった。
 なんでこんなところに? と思って看板を見たら、近くに鳥類センターみたいな施設があるそうである。その昔、皇太子夫妻(今の天皇)が訪ねたこともある由緒正しいものだそうで、そのときも美智子妃殿下が駅に降り立った途端、孔雀が鳴いてお迎えしたそうである。
 孔雀ってそんなにしょっちゅう鳴いてるものなのか。普通、鳥が鳴くってのは求愛の合図か、オスどうしのケンカかなんかじゃないか、と思うんだが。
 あまりそういうのにお迎えしてもらっても、たいしてうれしかないような気がするぞ。

 快速にうまく乗りこめて、これでなんとか間に合うか……と思ったら、羽犬塚からタクシーを拾うとまた渋滞。
 タクシーの運ちゃん、「なんですか、この渋滞は。いつもなら10分で着くんですよ。八女でなにがあってるんですか?」
 「実は○○○○○○○○なんですよ」
 ……運ちゃんにはなんのことやらよくわからなかったようである。

 結局15分ほど遅刻してしまったのだが、なんとなんの支障もなかった。
 この渋滞のせいで、ほかの出張者もやたら遅刻しまくっていたからである。
 ……だったら特急に乗らなくてもよかったなあ。出張だからって、特急代は、当然、自腹なのである。

 現地で旧知のSさんと会う。
 と言っても、最後に会ったのが4年前なので、近況は全く知らない。
 Sさんはよしひと嬢と共通の知人でもあるのだが、よしひと嬢の知り合いの女性と結婚したとのウワサがあった。
 そのあたりのことを聞いてみてもよかったのだが、聞かなきゃならんということでもなかったので、会話は当り障りのないものになる。
 もう少しワイドショー的好奇心が私にあれば、他人のヒミツもいろいろと探り出せるのだろうが、どうもそういう方面への意欲が湧かないのである。
 「よしひとさんのこと、覚えてますか?」
 「うん、今なにしとうかね?」
 「ウチの劇団で女優やってますよ」
 「あ、福岡に来てるの?」
 「いや、北九州から通ってるんです」
 Sさん、眼を丸くしていたが、まあそりゃ当然だろうなあ。

 つまんない出張に終わるかと思ったら、意外に楽しかった。ホントに内容を詳述できたらいいんだがなあ。内輪のことを暴露されちゃ困るというのは、それだけ脛に傷を持ってるって証拠じゃないか。と愚痴っても仕方ないな。
 退職したら、今の職場がどれだけくだらないことをしまくってたか、実名入りで暴露してやろうっと。

 八女と言えばお茶である。
 土産にお茶でも買おうかと思ったが、博多でも手に入る八女茶を買って帰るってのもアホらしいので、土産はナシ。
 

 博多駅で紀伊國屋書店に寄る。
 最近、結構本を買いこんでいて、しかもあまり読み切れていないので、ほんの冷やかしのつもりだったのだ。
 でも、こういうときに限って、「これは!」ってものを見つけちゃうんだよねえ。
 なんと、そこで。
 とうの昔に絶版になっていた『ロマンアルバム・太陽の王子ホルスの大冒険』の復刻を発見!
 マジで幻かと思っちゃったもんねえ。昔、買おうかどうしようか迷って、結局グズグズしてるうちに手に入らなくなって、臍を噛んでたのに。
 もう、速攻で買っちゃいましたよ。内容は昔、舐めるように読んでいたので、今更、新発見もあるはずはないのだけれど、やはり数々のイメージボードに見られる宮崎駿の早熟ぶりに目を見張らされてしまうのである。
 もりやすじの描く「善と悪とに引き裂かれる迷いと憂いの漂うヒルダ」ももちろん最高なのだけれど、このイメージボード通りの「男の子のように気丈なヒルダ」(もちろんこのイメージは、後の『どうぶつ宝島』のキャッシーに受け継がれる)もいいなあ。
 佐藤忠男がヒルダについて「描写不足」と批評したのは眼が曇ってるとしか思えない(だいたいこいつは『七人の侍』ですら「再軍備映画」とトンチンカンな批評をしたアホなのである)。
 宮崎監督に次回作が有り得るかどうか分らない今、おそらくこれが最後の復刻である。アニメファンなら、ぜひ買うべし。


 マンガ、臼井儀人『クレヨンしんちゃん シロ編/幼稚園編』。
 ああっ! 『オトナ帝国の逆襲』で、みさえがしんちゃんにネギあげるネタ、元ネタが原作自体にあったんだ!
 しんちゃんがシロに最初に与えたエサがネギだったのである。
 というか、これ、ちゃんと読んでたよ、私。
 このあいだの『チビ太の金庫破り』の件といい、ホントに記憶力が減退しているのだなあ。
 いずれ人間ボケるということを考えると、ココロの問題でヒトが悩むこと自体、無意味だよなあ、という気になる。


 マンガ、加藤元浩『Q.E.D.証明終了』10巻。
 シリーズ初の長編『魔女の手の中に』、なんと「法廷ミステリ」である。
 ミステリマンガは数あれど、「法廷ミステリ」に挑戦したものはなかなか見当たらない。
 やはり法廷での丁丁発止をマンガとして描くだけの紙数をなかなか与えてもらえないだろうこと、それに、絵にした時にあまりインパクトがあるとは思えない法廷でのやりとりをいかに魅力的に演出するか、よっぽど力量がないとどうしてもダレてしまうこと、その辺に理由があるのではないか。
 『コナン』も『金田一少年』も逃げていたその「法廷ミステリ」に『Q.E.D.』は挑んだのである。それだけでも作者の「志」を評価したい。
 前にも書いたがこの作者、決してマンガがうまいわけではない。特に口の表現が単調なせいで、表情のバリエーションを利かせられない欠点がある。しかしそれを補うだけの構成力がこの作者にはあるのだ。
 舞台はアメリカ、マサチューセッツ、セーラムの町。
 事件の被害者は陰で密輸を行っていた大富豪、被告は自己啓発セミナーに通っていた富豪の妻。
 被告に同情的な世論は、この事件をセーラムの魔女伝説に因んで、現代の「魔女裁判」であると見なす。
 主人公の燈馬は、ふとしたことからこの事件の検察官、アニーと知り合い、事件の真相解明に協力することになるが……。
 この「魔女」の伝説その他の伏線が、ラストに効果的に収斂していく様は見事だ。やはり法廷ものともなれば、これくらいの分量がないとうまく展開できないのだな。
 

 木原敏江『マンガ日本の古典28 雨月物語』。
 『摩利と新吾』も『アンジェリク』も読んだことはないが、名のみ高いので相当な実力者だと思っていたのだ、木原敏江。
 全然。
 ドジ様ファンには申し訳ないが、キャラクターデザイン、構成、構図、いずれもとりたてて誉めるほどのものではない。古典をムリヤリ少女マンガに引き写した気持ち悪さが全編に漂っていて、どうにも読んでて背筋がムズムズとするのだ。
 ……そうだなあ、ヅカの演じる新撰組とか、ああいう感じ? ヅカファン以外には楽しめないんじゃないか?
 マンガ化されてるのは『菊花の約』『浅茅が宿』『吉備津の釜』『蛇性の婬』の四作だけど、この選択自体に、読者を女性に絞っていることがアリアリと見える。
 男の漫画家だったら、『白峯』を外すことは絶対しないけどな。 


 マンガ、和田慎二『ピグマリオ』2巻。
 第1部の終わり、打ち切られただけあって、もう展開がバタバタだなあ。
 それまでせっかく育ててきたキャラが全部死ぬってのは、まるで火浦功。
 まあ、第2部以降が仕切り直しの本編ってことなんだろうから、この程度の欠点に目くじら立てるのも悪いかな。
 後書きで和田慎二、「水晶の姫オリエにはモデルがいます」と言っているが、その名前を明かしていないのは、現在の彼女がかつての「CM美少女」のイメージからかけ離れてしまったせいかな? 説教臭いおばはんになっちゃったもんなあ、ヒロコ・グレース。
 ……すまんね、私もムカシはいいなと思ってたよ(-_-;)。


 DVD『ウルトラQ』第3巻。
 『クモ男爵』。どの作品もモノクロで作られたことが実にいい効果を出していると思えるのだが、本作はその白眉だろう。ラストの館崩壊も唐突だけど、これは不条理劇だからいいのだ。ゲストの若林映子さん、美しいなあ。
 『地底超特急西へ』。声優度高し。石川進、大塚周夫、和久井節緒はナマ出演。更に乗務員役で脚本の金城哲夫がチョイ役出演。こういうこと、ちゃんとパンフに書いておけよな。M1号は後に江口寿史の『なんとかなるでショ!!』にも出演(^^)。パロディにされまくったキャラだよなあ。しかし、子供のころ見たときも思ったけど、結局イタチは助かったのかよ? この作品が実質的な最終回ってのもなんだかなあ。
 『バルンガ』。私の『ウルトラQ』ベストワンである。なんたって青野平義の奈良丸博士の演技が絶品である。「おそらくムダだろう」「科学者は気休めは言えんのだよ」。ここまで冷徹なヒトコトを無表情で言い切る。凄い。平田昭彦以上だ。個人的な私の特撮三大博士は、芹沢博士、ドクター・フーとこの奈良丸博士なのである。
 このシーンでの患者の家族役で二代目マスオさんの増岡弘さんがアテレコ出演。これももちろんクレジットにはなし。マニアでちゃんとしたキャスト表を作らんかなあ。
 『鳥を見た』
 ラルゲユウスは、昔の怪獣図鑑ではなぜか「ラルゲリュース」「ラルギュース」とか、表記がマチマチだった。セリフではっきり一の谷博士が「ラルゲユウス」と言っている。なのになんでデータがいい加減だったのかなあ。
 更に言えば「ラルゲユウス」ってどんな意味? 巨大鳥?



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