無責任賛歌
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2001年05月19日(土) |
地上の星々/『狼には気をつけて』2巻(遠藤淑子) |
朝起きたら目が痒い。 鼻水もダラダラ垂れてくる。 また風邪がぶり返してきたのかと思ったが、熱はないのだ。 ハテ、と首を捻ってハタと気づいた。
これって花粉症?
いや、そんなマサカと否定しつつ、どんどん痒くなる目に不安は増すばかり、これまで花粉症のしげに対して、「若いやつは自然に耐性がないよなあ」とか散々バカにしてきた私が花粉症だなんて、ウソよウソウソ信じないわ、とオカマ言葉になりつつ否定してもやっぱり鼻はずるずるびーのままなのである。
からだのバランスが崩れてきたのかなあ。無理なダイエットのせいだろうか(どこがだ)。今朝の体重は86.2キロ。昨日より600グラム減ったが、もとに戻っただけと言えなくもない。 しげが目をこするたびに「目を悪くするぞ、こするな」と言い続けていたが、自分がその身になると目をこすらないではいられない。風呂に入って何度も目を洗ってもすぐ痒くなってしまうのだ。こんな時に限って常備していたはずの眼薬が見つからない。 仕方なく目は真っ赤、鼻がズルズル状態で仕事に行くが、こんな時に限って職場の周りの除草作業なんかがあったりするのだ。 ははははは、粉が舞っとる舞っとる。
それでも仕事が半ドンなだけマシか。 帰宅してウチの中に入ると少し目の痒みも治まる。 しげは餌を待つ雛鳥のようにいつものごとく腹を減らしていたので、買っておいた冷凍食品のそばメシを作ってやる。 要するに焼きそばプラス焼き飯という炭水化物カップリング、カロリーありまくりの商品で、しかも包装袋には「ドロソース使用」というよくは分らないが思いきり濃そうな名前が。神戸名物だそうだが関西系はやはり味覚が普通ではないなあ。 同じ関西系と言うことで舌が合うのだろう、しげ、美味そうにぱくつく。 さらに同じく冷凍食品のつけ麺も作ってやったら、この上なく嬉しそうな顔で食っている。 「これいくら?」と聞くので、「100円」と答える。 「安いじゃん! どこで買ったん!」 「コンビニ」 「コンビニでも安い食べ物あるんだ……」 これでスーパーまで遠出しなくても、ちょっとした食料調達なら近所のコンビニで充分と言いたいのかな。なんにせよしげの頭の中が食いもので占められていることは間違いのない事実であろう。
マンガ、遠藤淑子『狼には気をつけて』2巻。 去年から出てたらしいんだが気づかずに買い損なってた。危ない危ない。好きなマンガ家さんで今まで全ての単行本を買ってはいるのだが、ともかく絶版になりまくりの人でもあるので、買い忘れると後が大変なのだ。『エヴァンジェリン姫』も『退引町』も、全部絶版なんだもんなあ。 白泉社、見切りつけるの早すぎるんだよ(-_-;)。 しげが古本屋で見つけて買ってきてたのだが、ラッキーであった。表紙にシワがよっててちょっと汚いけど、ま、しゃーないか。 絵は上達しないし、キャラクター造形の幅は狭いし、だからだいたい同じような話しか作れないので、決してトップ人気が取れる人ではないのだが、なんとも言葉にできない魅力のある人ではあるのだ。 その物語がたいてい「生意気で突っ張ってるけど、ホントは寂しがりやなやつが、同じような心の傷を持ってるやつと慰め合う話」なせいかな。でもこうして筋を書いちゃうと身もフタもない話ではある。でも「慰め合おうとして、不器用なんでそれがうまくできない」って所がポイントなんだよな。それに乗れるか乗れないかでこの人に対する評価は180度変わると思う。 今巻でもキーワードになるのは、多分、ラスト近くのあのセリフである。 いつもはこまっしゃくれたガキであるアレクサンドラが(「大財閥の天才お嬢様」って設定がまた、嫌味)、精神的ストレスから口が利けなくなって、やっとの思いで出した言葉が「どこにも行かないで、私さびしい」。 この余りにもストレートなベタなセリフを言わせちゃったら、物語は終わるしかない。でも遠藤さんのマンガってのは、この「たった一言」を言うまで、2巻、3巻と心がつながりそうでつながらない関係をキャラクターどうしに続けさせるところにあるのだ。しかも毎回そのカップルってのが「姫と家来」とか「女主人と使用人」とか、恋に障碍のある間柄ばかりだからなあ。 今回も「社長令嬢とボディガードの探偵」というカップリングだけど、今、二人に関係が出来たら、相手は子供だし探偵フォレストくんは犯罪者だぞ。危ないなあ(^_^;)。
昼は鼻の調子が悪いので休んでいたが、夜になって、さて、運動をしに出かけようかというころになって、なんとなく勘が働いてグズグズしていると、10時ごろになって、鈴邑くんからいきなり電話がかかってくる。 たまにこういう勘があたることもあるが、日頃はまあ8割はハズレているので、私が霊能力者として商売をするのは無理なようである。 (そう言えば、昨日だったか、久しぶりにテレビで北條きく子を見たな。誰か覚えてる人いる? 今や「北條霊峰」とか仰々しく名乗っていて、いかにも昔からの霊能力者でございってな顔してたが、もと女優ってことを隠さにゃならんところが眉唾なんだよなあ)
電話で応対していたのはしげなのだが、結構な長電話の後、受話器を置くなり、 「今から鈴邑さんの車でドライブに行くよ」 「はあ?」 何だかよく分らないうちに出かける準備をさせられ(と言っても私は運動をせねばならぬのでジャージだ)、マンションの玄関で待つ。 「どこへ行くんだよ」 「車に乗れるのが楽しいんだから、目的地はどこでもいいの」 お前はそうかもしれんが、私はどこへ行くのか知らんと不安になるほうなんだよ。 ほどなく鈴邑、愛上夫妻到着。ふなちゃんは後ろのチャイルドシートでウトウトしている。もう体重が10キロだとか。10ヶ月で10キロってのは重いんじゃないか、と言ったら、生後17ヶ月の子供並なのだそうな。いいのか、そんなに重くなって。鈴邑君も愛上さんもスレンダーなのにどうして娘がこんなに大きくなるのか。次に会うときは車の天井突き抜けてやしないだろうな。
車でどこに向かうのかと思ったら、油山であった。福岡近郊の山で、小学校のころの遠足で六年間通いつめた山である。 「このあいだしげさんと昼間来たんですけど、今日は夜景を見ようと思って」 しげのやつ、いつの間にそんなことしてたのか。意外と夫にヒミツがあるやつである。
車で登るのは初めてだなあ、と思っていたら、山道の途中から突然の渋滞。土曜の夜に、こんなに夜景を見に来るやつがいるとはなあ。よっぽど金がないのか。 前の車のナンバーを見ると、大分である。 思わず私が「大分くんだりから何故来るかね」と言ったら、鈴邑君、 「あれはメル友で知り合った二人ですね。今日初めて会って、意気投合して、じゃあどこへ行こうか、じゃあ福岡のきれいな夜景を見せようってことになって、のこのこ女が付いて来てるとこですよ」と言う。 うーむ、設定が細かい。 「ホラホラ、くっついてるくっついてる」 なるほど、前を見ると運転席のとこの影がピッタリくっついている。ちょっとムカッと来たので、 「あれは殺られるな。いや、もうあいつは一人殺ってる。後部座席には死体があるのだ」 などと不謹慎なことを言う。今はちょっとこの手の冗談を言うのはタイミングが悪いか。
ようやく山頂に到着、狭い駐車場は満杯で、警察が交通整理をしている。反対車線を逆走して登ってくるバカな車が追い返されて行くのを見ていいキミだとほくそ笑みつつ、下車。寝ていたふなちゃんを起こして連れ出さねばならないのがちょっとかわいそうだが、車内に置きっぱなしってわけにゃいかないものな。 夜景は福岡市がほぼ一望できて、とてもきれいなのだが(と言っても私の視力では福岡タワーしか分らん)、ともすると愛上さんがふなちゃんを手すりから上に抱えて景色を見せようとするので、落っことしやしないかとハラハラする。母親だからそんなことはないんだろうけど、私はそんなところが妙に心配性なのである。 地上の星もきれいだったが、いつか、山間の、地上の明かりがなにもないところで、満天の星空を見てみたいものだなあ。実は私は天の川を、生まれてこのかた、2回しか見たことがないのである。 街中に住んでるとそんなもんだ。「都会には夜空がない」って、詩になるなあ。いや、誰でも思いつくだろうけどさ。
帰りながら、劇団のこと、ホームページのことなど、打ち合わせする。 仕事や子育てのことなどがあるので、全面参加は無理だが、鈴邑君、舞台監督はやれそうである。愛上さんはメイクか。二人とも、チョイ役でもいいから板に立てれば舞台映えするのにもったいない話ではある。 リレー小説も鈴邑君の参加が決定。これでまたバラエティに富んだというか、どんな展開になるか予想もつかなくなりそうで、楽しみである。ラストでオチをつける役になりさえしなけりゃね。
帰宅して、すっかり腹を減らしたしげを連れて、運動がてらロイヤルホストまで。もう夜も遅くて食事はできないので、スープだけにしようと思って頼んだトムヤムクンが超激辛。トムヤムクンを飲むのは初めてだったが、要するに唐辛子だけで作ったスープなわけね。……好き嫌いはないほうだが、多分私の一生でこのスープを飲むことは二度とあるまい。……舌がいてーよう(ToT)。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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