無責任賛歌
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2001年03月21日(水) |
『GQ』余燼/映画『アンブレイカブル』/『さすらいエマノン』(梶尾真治)ほか |
『ギャラクシー・クエスト』の余韻がまだ残っている感じで出勤。 ツラツラ考えるに、あれをパロディ映画と呼ぶのは全く当たっていないのだな。日常ではダメだったやつが、ひとたび非日常の状況に放りこまれた途端、大活躍するという、『ドラえもん』映画版のような堂々たる冒険映画の系譜に連なる物語なのである。 だからこういう映画が当たると、たいてい「日本ではどうしてこういう映画が作れないのか」と利いた風な口を叩くやつが出ると思うが、そういうヤツらには「『ドラえもん』見たことないんですか?」と言ってやればよいのである。 このパターンのルーツがなんなのか、と考えてみたが、どうもこれだっていうのが思いつかない。『ゾロ』はダメ男のふりしてただけだしなあ。チャップリンは結局ダメなままだしなあ。 ニセモノがホンモノになると言うか、嘘から出たマコト、ってバターンは、『国士無双』や『三悪人』あたりがルーツかなあ、とも思うんだが。『サポテン・ブラザース』自体、『三悪人』に相当インスパイアされてる感じだし。 ルーツ探しは、別に映画の価値と直接関係はない、という意見もあるが、パクリとパロディの区別もつかんヤツがいる以上、批評する上ではきちんと考えてかなきゃならんことなのだ。
マンガ、高橋葉介『KUROKO 〜黒衣〜』1巻読む。 掲載誌の『少年チャンピオン』では既に巻末近くになっていて、あと何巻続くのかアヤウイなあ、という感じなんだけど、妖怪退治ものとしてはそれほど新味がないので仕方ないかな。新米コンビで失敗続きって設定もそんなに面白くないし。 それでも1巻買っちゃったのは巻末に『夢幻紳士』の新作が載っていたからである。一応完結しちゃってるシリーズだけど、いつ再開したっておかしくない終わり方だったし、戦後編でもやってくれないかなあ。
梶尾真治『さすらいエマノン』。 『エマノン』シリーズ第2弾。五編の中では巻頭の『さすらいビヒモス』がエマノンの設定を生かしきっていて一番面白いが、「ビヒモス」のネーミングがやっぱりタイムパラドックスの輪の中に入っちゃっているのが気になるなあ。 最終編の『いくたびザナハラード』で作者本人を出したのはちょっと悪ふざけが過ぎたんじゃないかな。エマノンシリーズは『地球はプレインヨーグルト』の系列とは別物なのである。それとも梶尾さんは電話口で始めて口を利く女性に向かって「はらほれひれ」なんて口走っちゃう人なのであろうか。チャネリングの正体の分析が面白いだけに、そのあたりの寒いギャグがちょっと惜しかった。
仕事から帰ると久しぶりに女房が料理を作ってくれている。くれたのはいいんだが、モノが何かと言うと、「鶏の唐揚げの豆腐和え」。 どういうやつかというとコンビニで買ってきた鶏の唐揚げに豆腐をぶっかけて混ぜたもの。味は鶏の唐揚げに豆腐の味……。和える意味がどこにあるんだよう(T_T)。
なんだか急に思いたって、今日もキャナルシティに『アンブレイカブル』を見にいく。これで三日連続だ(女房は二日だけど)。久しく映画館に行けなかった反動が来てるんだなあ。 福家書店で東京のガイドブックを買う。と言っても選んだのは女房で私は1ページも見てない。何が恥ずかしいって、本屋の旅行案内コーナーで、「ねえ、私ここ行きた〜い」「君が行きたいところに連れてってあげるよ」なんて会話しているカップルくらい恥ずかしいやつらはいないので、私はこんな時は女房から逃げてしまうのである。 しかし女房は外で私と手をつなぐのさえ恥ずかしがるくせに、どうして「一緒に旅行ガイドを見よう」なんてクソ恥ずかしいことが言えるのだ。謎だ。
『アンブレイカブル』、一応ラストのアレがどんでん返しというか意外な結末ってことらしいので書かないで置いてやるが、慈悲だと思えよ、M・ナイト・シャマラン。 結末がどうこういう前に、ブルース・ウィリスの「アンブレイカブル」(要するに「ダイ・ハード」ってことだ)って設定をドラマとして生かしきれてないのだ。もっと面白い展開をいくらでも作れそうなものなのに、ただラストの意外性に収斂させるためにそれらの可能性を全て放棄してしまっている。 悪人がみんななぜか赤い服を着ているとか、無意味な意味付けもやめた方がいいよなあ。前衛映画ならともかく商業映画でやる手じゃない。 『シックス・センス』はまだ登場人物たちの悲しみが伝わってくるけれど、この映画の場合、観客は「勝手に苦しんでろバカ」という感想しか出て来ない。相手役のサミュエル・ジャクソンがミス・キャストなのも大きなマイナス要因だろう。 でもこの程度の脚本でもみんな面白いのかなあ。ここにはプロットやアイデアはあってもドラマが全く不在なんだけど。
買い損なっていた『アニメフェア』『ギャラクシー・クエスト』のパンフも買う。ところが『アニメフェア』のパンフは、裁断ミスの不良品であった。帰宅して気がついたのでしょうがないのだが、改めて持っていっても取り換えてもらえるかなあ。 『GQ』のパンフはポテトチップスの袋に入っているという趣向を凝らしたもの。ミニサイズなわりに、映画バンフレットとしては情報量が多い方だが、それでも『スタトレ』との関連についての説明が不充分な気がする。
映画の帰りにロデムさんから女房の携帯に電話。 イベントのお誘いだったが、劇団の練習日と重なっているので行けるかどうかはキビシイ。ロデムさんのプロットが没になったこともお知らせしたのだが、私のものも含め、殆どが没を食らっているので、申し訳ないがカンベンしてもらいたい。屈託なく笑ってくださったが、採用されたプロットがわずか五行で、しかも作者はその先をなんも考えてないと知ったら怒りゃせんだろうか。 どうもウチの劇団の連中は女房を買い被りすぎている嫌いがある。思いつきだけで後先考えない性格だと言うことに、いい加減気づいてくれてもよさそうなものだが。
このまま行くと明日も映画に行ってしまいそうだがそこまでのことはない。明日は女房が仕事だからだ。明後日はどうか分らんが。 なんだか一日遅れで日記を書くのが定着しつつあるが、なんとか明日あたり、元のペースに戻すよう努力しよう。そうでないと、ホームページの原稿などが全然進まんのだ。 ああ、せっかく『GQ』の心地よい余韻がどこかに吹っ飛んじゃったなあ。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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