無責任賛歌
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二週間ぶりの練習の日であったが、ほぼ全員、都合がつかぬというので急遽お休みとなってしまった。 マンガ、がぁさん『シィナのファブリオ▽』読む。 以前「まんだらけ」でやっと見つけた、がぁさんの第一作品集。「ファブリオ」ってのは中世のエロ小説のことである。もちろんこのマンガ自体、エロなんであるが、ファンタジーやSFがエロと不可分なく交じり合い、絶妙のコンビネーションを形成しているのがこの人の作品のすごいトコロなのである。 丸っこいかわいらしい線のキャラクターが持ち味で、別にエロ描かなくても充分やっていけると思う。実際に最近はエロなしの『だいらんど』なんかも描いてるし。でもこの人、どうも生活の手段として仕方なくエロを描いた、というわけでもなさそうなのだ。 たいてい、がぁさんのマンガに登場する女の子は、最初は処女である。いや、処女ものは確かにエロマンガには多いが、決してがぁさんの主人公の女の子は不幸になったりしない。好きな相手に好きだと言えず、会えば喧嘩をしてしまう。だけど心の中ではいつか彼と結ばれたいと願っていて……そしてあるトラブルをきっかけに、二人はお互いの本当の気持ちに気づく。そして最後には心の底から結ばれ、愛を交し合うのである。 こんな気恥ずかしいまでのハッピーエンドもの、今どき『りぼん』にだって載っちゃいねーぞ。これは構造的には完全に「ひと昔前の少女マンガ」なのだ。 私も女房もはまってしまったのは、その辺にも理由がある。 がぁさんをよく知らない人は、眠田直さんのホームページからリンクでがぁさんのホームページに行けますので、一度覗いて見てくださいな。 昼寝中の女房の頭から白髪を抜く。 実はこの白髪抜き、私の一番の趣味だったりする。昔、母の白髪を一本10円で抜かされていのがきっかけで、白髪抜きの楽しさに目覚めてしまったのだ。 残念なことに、世の中に「白髪抜き屋」という商売がないために、その道に進むことはかなわなかったが、いつか女房を娶ったら、そいつの白髪を存分に抜いてやろうと心に決めていたのである。……変態だなんて言うなよ。しいねちゃんの耳かき好きよりはマシだ。 しかし、結婚当初の女房はまだ若く、ただの一本も白髪がなかった。内心私は臍を噛んでいたのである(……今改めて気がついたが、女房って「幼な妻」だったんだなあ。全然、麻田ルミみたいな可憐な雰囲気ないけど)。それからひたすら待つこと十年、さすがに三十路が近いと少しは白髪も増えて来ようというもの。ついに私の悲願が成就する日が来たのだ。 とは言え、私に比べたらまるで目立たず、たまに黒髪の間からチラッと数本見える程度のものなのだが。 それでも髪を掻き分け探し出していくと、短い白髪が二、三十本は見つかる。 「もう私、年寄りなんだよう。ほっといてよう」と駄々をこねるのを無視して、一本一本抜いて行くと、「痛い、痛い」と悲鳴を上げる。白髪のクセに根深くって、見ると肉も一緒に取れている。そりゃ痛いよな。 「もう、あんた、わざと痛くしよろう?!」 ついにガマンしきれず、女房は布団を頭からかぶってしまった。 ……しかし、あきらめることはない。なぜなら私は知っているからである。目の前にハラリと白髪が見えた時には、「抜いて!」と向こうから頼んでくるに違いないことを。 タコめしを炊いて作ったのだが、女房がまるで食べてくれない。女房の味ご飯嫌いも困ったものである。 仕方なく外に食事に誘う。 相談の末、以前から行こうと思っていた、先日オープンしたばかりの「インターネットカフェ」に行くことにする。 店は博多駅のバスセンターの8階、つまり紀伊國屋書店の上の、シネリーブルの更に上の階にあるのだが、インターネットつなぎ放題の、マンガ読み放題の、DVD見放題の、CD聞き放題の、ソフトドリンク飲み放題の、という夢のような喫茶店なのである。 基本料金が30分230円、15分延長ごとに90円追加、リクライニングシート席でも300円という、ワリに良心的な値段。食事もカレーやスパゲティが各480円、そう高くはない。結局ふたりで2時間半いて、2600円だった。 まだ開店したばかりなのでお世辞にもソフトが充実しているとは言い難いが、うまくするとこの店、結構繁盛するのではないか。 フリー席は安いだけあってやや狭い。ちょっと椅子によっかかると向かいの椅子にぷつかったり、横にどくと隣の人から敷居を立てられたり。見てみるとボックス席の方がゆったりできそうだったし、途中で席を代わってもいいと店員さんから言われはしたが、今日はイチゲンさんなので安いとこにしておいたのだ。……って、気取るほどのものでもないが。 入ってしばらくは『仮面ライダーアギト』のホームページを覗いたりする。 スパゲティと今川焼きを注文し、女房に分けてやるが、女房は「時間制なんだから、食べてたら時間がもったいないよ」と言って、なかなか食べない。でもどうにも腹が空いたらしく。結局私のスパゲティを半分食べる。 以下は、読んだマンガ。 ささやななえ『魂返の島』、この人の『ミノタウルス』はギャグとホラーがほどよく混じりあって好きなんだが、純粋な怪談ものだと、ちょっと落ちが弱くなるものが多い。 しかもこの話、諸星大二郎の稗田礼二郎シリーズの一編と、「死者の復活」という設定がよく似ているために(盗作ってことじゃなく、同じ伝承をモチーフにしてるせいなのだが)、どうしても諸星作品と比較してしまう。そうなると、出来の差は歴然としてしまうわけで、ささやさんのほうが見劣りしてしまうのは仕方がない。特に、ラストをハッピーエンドにしたのは無理があった。 えんどコイチ『アノアノとんがらし』1巻、いまやもう手に入らないえんどコイチの初連載(『少年チャンピオン』!)作。とり・みきが昔「私が面白いと思った作品はみな受けない」と言ってた中に入ってた(^_^;)。実際3巻で終わっちゃって、えんどさんはジャンプに移るわけだが、ギャグだけで押し通した『とんちんかん』も好きだが、純ラブコメの『とんがらし』も実は好きだった。買い損なってたんで、秋田文庫で再販してくれんかなあ。 永井豪『凄ノ王伝説』6巻、角川版の完結編。現行の集英社版とはエピソードが異なり、須佐が自分の内面世界では女子高生になっていたり(おいおい)、地上に出た瓜生が魔獣に変身したり(さっきまで罪を償うとか言ってたのはどうなったんだ)、身堂竜馬がゲリラになっていたり(これは「元通り」か?)、暴走しまくっている。……こりゃ完結できんわな。 あろひろし『ソリャナイゼみるきぃライフ▽』……こんな爆乳あってたまるか。「巨乳カウンターアタック」の解説は笑えたが。 女房、結構この店が気に入った様子。 「また来ようね。今度はリクライニングのボックスの方で」 来てもいいけど、眠るなよ。
☆劇団メンバー日記リンク☆ 藤原敬之(ふじわら・けいし) |