無責任賛歌
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記




ホームページプロフィール掲示板「トーキング・ヘッド」メール
藤原敬之(ふじわら・けいし)

↑エンピツ投票ボタン(押すとコメントが変わります)
My追加


2001年02月22日(木) 霧の摩周湖(行ったことない)/『スレイヤーズすぺしゃる』2巻(神坂一・トミイ大塚)ほか

 福岡市全域を霧が覆う。
 先月の大雪といい、滅多にないことが起こるもんだ。一昨年だったら世紀末の到来かと騒げるところだが(騒がなくったって世紀末なんだが)、タイミングを外した感じである。次は地震か?
 玄関のドアを開けた途端、部屋の中にまでうっすらと霧が入りこんでくる。女房は喜び駆け回る犬のように飛び出してきて、「霧、霧!」と興奮している。珍しいものを見ると騒がなければ気がすまないのだなあ。
 しかし現実にほんの数メートル先の地面が全く見えないのである。ここまで霧が深いと、車の横を通りぬけて行かねばならぬ山道は危険である。今日で風邪ひき1週間、少しも治る気配が無いこともあり、職場にはタクシーで行く。……また無駄な金を使ってしまった(T_T)。
 天気予報だと明日も雨。休日の雨は窓越しにのんびり外を眺めながら雨粒の数を数えていると楽しいのだが(そんなフレーズの歌謡曲があったような気がするが忘れた)、平日はいやでも濡れ鼠になる。……港町の洋食屋さんにでも行こうかな(←『愚者の代弁者、西へ』参照)。

 仕事帰りに某駅を通りかかると、学生が待合で堂々とタバコをふかしている。
 私は別にモラリストでもなければ正義感でもないが、あまり堂々としていたので、つい「君、学生?」と声をかけてしまった。学生服を着てるんだから学生なのは一目瞭然なのだが、こういう場合、どう声をかければいいのか私も要領がわからなかったのである。
 「からだに悪いから煙草は止めなさい」
 我ながらマヌケな声かけである。これでハイと素直に聞くようなら、警察も更生施設もふんどし先生もいりゃしない。案の定、
 「余計なお世話だ」
 と睨まれる。
 「誰にも迷惑かけてるわけじゃない」
 そう言って煙を私に吐きつける。
 「お父さんやお母さんは何も言わないのかね」
 「言わない」
 何も叱らないってことはあるまい、言い逃れだろう、と思いはしたが、反論する根拠はない。
 「でも、君を心配してる人はどこかにいると思うよ」
 いないから平気で煙草を吸えるんだろうが、それも言わずもがなである。
 ちょうどそのとき、背後の道路に車が停まった。
 学生は煙草を灰皿で消して立ち上がり、車に乗りこんで行く。運転席を見ると母親らしき姿。
 呆気に取られた。親が煙草を黙認してるというのは本当だったのだ。そしてこの親子、多分仲はよくない。子供が乗り込んで行ったのが後部座席だったからだ。
 世の中が真面目人間ばかりだと窮屈だ。親や教師の目を盗んで煙草を吸う「わるそう」がいても別に構わない。
 私が寂しくなったのは、彼が多分、自分自身が孤独であることを知らないからである。

 神坂一・トミイ大塚『スレイヤーズすぺしゃる』2巻、原作小説をまんまマンガ化したものだが、意外に拾い物。原作が短編だとは言え、それを1話14〜24ページの制限の中に収めることは結構大変なはずだ。それがダイジェストされた印象もなく、凝縮されたテンポの、畳み掛けるようなギャグの連続で、読む者を飽きさせない。
 原作の方も好きだったが、リナのニセモノが出る話、マンガは更にナーガのニセモノまで用意してパワー三倍アップ(^_^;)。いやあ、これが実に凶悪なデザインでしてねえ。あのナーガが涙を流したのもわかろうというもの。『スレイヤーズ』ファンなら抱腹絶倒間違いなしのマンガ版でありました。

 




 山上正月『ルパン三世Y』9巻、新シリーズも9巻目、人気も衰えていないようだし、この分だと原作旧シリーズの巻数を追い越すことも可能かもしれない。
 原作の設定よりアニメの設定に近い分、ルパンと不二子以外のキャラが弱いのを気にしてか、今巻は冒頭から銭形警部にスポットを当てている。もうお馴染みのキャラだから、ということで描写に手を抜けばたちまち面白さは半減するので、サブキャラを主役に据えることは悪くはないのだが、銭形をアニメ同様の「善人」にしたてているのはやはり気になる。
 原作旧シリーズの銭形は、ルパンという「悪」に対抗する関係上、それなりに「悪」の要素を持っていたのである。ルパン逮捕のためには味方をも見殺しにする冷酷さや、敵の弱みにつけこむ卑怯さもあった。原作ルパンはやはりピカレスク・ロマンとしての魅力が強かったのである。
 それを骨抜きの「よいこのおいかけっこ」にしてしまったのはやはりエコじじい宮崎(^_^;)の罪である。マンガ版はあくまで原作の続編として描かれるべきではなかったか。アニメも毎年やってるんだから。

 吉田秋生コレクション『悪魔と姫ぎみ』、これが昔アニメ化されたことがあって、しかも主役の姫ぎみの声を木の葉のこがアテていて、しかもそれが抜群に面白かったなんてこと知ってる人、もう少ないんだろうなあ。表紙に『BANANA FISH』の吉田秋生、と紹介してあるのはある意味サギである(^_^;)。だって収録作が殆どギャグ。私なんぞはこの人の本領はギャグにあると思っているので、『BANANA』も『YASHA』も今イチ乗れないのである。
 だいたいお城の名前が「あしたの城(ジョー)」で、そこの王様が「王貞治」なんてどーしょーもないセンス、『吉祥天女』以降の吉田秋生しか知らない方々、信じられますか? みなさんの好きなスタイリッシュでハードな吉田秋生はバカマンガも数多く描いているのですよ。
 残念ながらアニメでは「王貞治」は肖像権の関係なのか、フツーの王様になっちゃってたけど。うーん、惜しい。
 ちなみにそのときの併映は竹宮恵子の『夏への扉』。いやもう、思いきり耽美。今だったらヤオイ少女が殺到してるとこだな(^_^;)。脚本が辻真先ってのがまたギャップが激しくってすごかった。上映会にはご本人も来られてて、「ここんとこアニメの仕事が少なかったので嬉しいです」と言ってたのが笑えた。実際、これ以降、辻真先は、殆どアニメの脚本を書かなくなるのである。
 
 女房は今日も午後6時半にバイトへ。バイトの契約自体は9時からのはずだが、講習があるので毎日早出なのである。
 「いらっしゃいませえ」とか「ありがとうございましたあ」とか、接客マニュアルを覚えるのなんて、大した手間がかからないように見えて、やはり一日二日では終わらぬものらしい。
 出がけに少しは栄養つけておけばと思い、イチゴを牛乳につけて渡すが、一口食べただけで「酸っぱい」と言って食べない。
 「コンデンスミルクじゃ甘すぎるから牛乳がいいって言ってたじゃないか」
 「でも酸っぱいもん」
 コンデンスミルクを渡すと、
 「練乳の味だ!」
 と言ってペロリと食べる。最近、少しは大人の舌になって来たかと思っていたが、やはり女房は甘党である。
 ……そう言えばC‐1藤田くんのために取っておいたバレンタインのチョコも、全然遊びに来ないので食べてたな(藤田君、義理チョコ1個損したぞ)。

 夜、父から電話。
 今度、病院を替わる件での連絡である。明後日の土曜、早速新しい病院に予約の連絡を入れておいたとのこと。こっちの都合を何も聞かずに勝手にどんどん進めてくれることだ。私のカラダが空いてなかったらどうするつもりだったんだろうか。
 丁度そのとき、玄関のインタフォンが鳴ったので、詳しいことは明後日話すことにして、電話を切る。
 客は郵便配達であった。残念ながら二度ベルを鳴らす前に受話器を取ってしまった(^o^)。でもいちいち二度ベルを鳴らすのを待つのもバカだし。
 郵便物は女房宛ての書留で、○○銀行のカードである。今度のバイト先はそこでなければ給料を振り込まないものらしい。
 帰宅して女房、封筒を開けると新品のカードの反射をニコニコしながら楽しんでいる。やっぱり、ヒカリモノには弱いのだなあ。



↑エンピツ投票ボタン
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記

☆劇団メンバー日記リンク☆


藤原敬之(ふじわら・けいし)