無責任賛歌
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2001年02月11日(日) |
水の中の失楽/アニメ『も〜っとおじゃ魔女どれみ』1・2話ほか |
今日の練習に間に合うように、ほぼ徹夜して次の芝居用のシノプシスを書き上げる。原稿用紙にすればせいぜい数枚のものだが、それでもポイントをしぼってドラマとしての盛りあがりが分るように書かねばならぬので、これは結構しんどい。 やっと書き上げたのは朝の7時で、さすがに練習にそのまま顔を出すのは体力が持ちそうになかったので、原稿だけ女房に渡して、泥のように眠る。 目覚めたのは昼の2時。さて、打ち合わせはどうなったかとパピオに向かう。 今日は久しぶりにほぼ全員が揃った由。 ふなちゃんはもう何か意味不明な言葉を喋り始めている。「ずっと見てても全然飽きないんですよ」と愛上嬢、幸せそうである。鈴邑君はふなちゃん抱きながら全く無表情だが、娘さんをポーカーフェイスに育てるのは考えものだと思うぞ。 残念ながら鴉丸嬢と其ノ他君は所要で早引けしたそうですれ違ってしまったが、女房からの超巨大バレンタインチョコを手にして、その重量感に圧倒されていたとか。 牛乳パックを型に、ただぶっといだけのチョコの塊をもらっても、あまり嬉しかないと思うんだが。塩浦嬢のダーリンにも同じようなのをプレゼントしたそうだが、本当にどうやって食べるのだろう。 で、肝心のシノプシスであるが。 「どうだった?」 「あ、あれ? ボツ」 ……半年間、トリックを練って、実際に脚本を2稿まで書き上げてこれである。みんな厳しいなあ(T_T)。でもやりたいものをやらなければ劇団としての独自性は生まれないので、適当なところで妥協しないその姿勢は立派である。 二週間後に会うときまでに、メンバーがそれぞれアイデアを持ち寄ることで次回作は保留と言うことに。まあ、アイデアはまだまだあるので、みんなが「これやりたい!」と言いたくなるようなものを出さねばな。 鴉丸嬢は小林泰三の『玩具修理者』のようなものがやりたいとか。「今度は明るいものを」という意見はあるが、そう言いながらやはりどこかダークなものを志向する傾向がウチのメンバーにはなぜかあるようである。 実は私の出したシノプシスも、純愛ミステリーをやろうとしてやはり暗くなってしまったもの。どうせボツなので、ここに披露して供養するとしよう。ただし、これを読んだ人がトリックを勝手に流用したりせんように。
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『水の中の失楽』(仮題)
ある水族館で、少女が紳士に語り始める。
茉莉が恭介と知りあったのは、その寂れた水族館だった。 彼女は不登校の女子高生で、彼はそこの警備員だった。 ひょうきんだがどこか寂しげな恭介に、茉莉は少しずつ惹かれていく。
ある日、恭介のもとを一人の女が訪れる。しかしその時恭介は席を外しており、茉莉が留守番をしていた。女は唖らしく、身振り手振りで恭介の知り合いであることを茉莉に知らせる。恭介の過去を知っているらしい女の存在に狼狽する茉莉だが、ふと自分が恭介のことを何も知らないことに気づく。茉莉はこの謎の女から、恭介が戻るまでに何とか彼の秘密を聞き出そうとする。 かろうじて知り得たのは、女がかつて恭介と深い関係にあったらしいということだけだった。しかしそれだけで十分だった。茉莉は呆然とする。 渡したいものがある、と女は重いボストンバッグを持ってきている。しかしその中身を決して茉莉に見せようとはしない。茉莉は何とかしてその中を見たいと思い、女の注意をそらそうとするが、どうしてもそのバッグを手放そうとはしない。
何も知らない恭介が戻ってきて、女を見て驚く。女の名前が葉子であることがそこでわかる。恭介は葉子のバッグを引ったくるように奪うと、どこかへ去っていく。後を追いかけようとするが、心臓が弱いらしく、その場にうずくまってしまう。恭介を追いかけて茉莉も出て行く。 一人残された葉子は、ふと、何かに誘われるように水族館の奥へと入って行く。
一週間後。 心臓発作で死んだ葉子の再調査に、探偵の環がやってくる。葉子は実は大会社の社長令嬢であった。恭介は以前その会社に勤めていたことがあったのである。 環は、恭介が何らかの手段で葉子をショック死させたのではないかと疑っていたが、決め手がなく、当たって砕けろとばかりこの水族館にやってきたのだった。 恭介と茉莉は、その時現場におらず、外で言い争っていたと証言する。それは他の人間にも目撃されており、二人のアリバイは立証できたかのように思える。 しかし、疑問は残っていた。 あのバッグが、あの時以来、行方不明になっていたからである。また、葉子がなぜあの時外に出ずに水族館の奥へ行ってしまったのか、その謎も解けないでいた。 環は、バッグの中身が恭介と葉子との間にできた赤ん坊ではないかと推理する。葉子は携帯の振動で水族館の奥に誘い出される。そして裏口から回った恭介と茉莉が、赤ん坊の死体を水槽の中に投げこむ。それをガラスごしに見た葉子はショック死したのではないかと。携帯は後で茉莉がそっと抜き取り、あたかも自分のものであるかのように偽装したのだ。唖の葉子が携帯を持っているとは思わないから(実際は画面を見ることはできるので、メールのやりとりをしていた)、警察も携帯が紛失していたことに気づかなかった……。 しかし、恭介はその推理を一笑に伏す。 なぜなら、恭介は男装した女だったからだ。精神的には男であるために、男の格好をしているのだと恭介は言う。女に女を妊娠させることはできない(茉莉はもちろん、恭介を女と知って愛していた)。更に、心臓が悪くペースメーカーを胸に入れている葉子が携帯を持っていないのは当たり前であった。 恭介(実は恭子)は隠していたバッグを環に見せる。中身はただのガラクタだった。何でこんなものを葉子が持っていたか分らないが、自分は係わり合いになりたくなかったので、葉子は初めからバッグなんか持っていなかったかのように嘘をついたのだと。 結局、葉子の死はただの心臓発作だったのかと落胆して環は去っていく。
環が去った後、恭子と茉莉は熱いキスをかわす。茉莉は葉子を殺したのがやはり恭子ではないのかと責める。 ずっと一緒にいたのに、どうやったら葉子を殺せるのかと反駁する恭子。茉莉は、恭子が持っていたバッグの中身がただのガラクタだったことが気になっていた。バッグの中身を葉子自身も知らなかったのではないかと茉莉は推理する。バッグを恭子のもとに運んでくるように頼まれただけではないのかと。 もちろん、恭子に頼まれて。 別に葉子を殺すつもりはなかった。ただ意味もなく重い荷物を運ばせ、葉子を苦しめたかった。自分一人が不幸であるかのように振る舞い、哀れんでもらおうと恭子にすがりついてくる葉子が憎らしかった。 なぜなら、恭子もまた、身を業病に侵された身であったから。 これは未必の故意による殺人ではないのか。 恭子は答えない。
しかし、もし、ほんの少しでも恭子に葉子への殺意があったとしたら……。 恭子が愛していたのはやはり葉子だったのだと茉莉は気づく。
少女=茉莉は紳士=恭子の父に語り終わる。 恭子の父は恭子の死因が手術の失敗によるものだと知っている。助かるか死ぬかは五分五分であった。手術しなくても数年は生きられた。それを手術するように勧めたのは茉莉だった。 数年の命を縮めることが復讐だったのかと恭子の父は問いかける。 しかし茉莉は静かに寂しげな微笑を浮かべただけで、何も答えなかった……。
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題名はあくまで仮題なんで、竹本健治の『匣の中の失楽』をもじっただけ。でも展開そのものはそう悪くもないと思うんだがなあ。 女房はトリッキーなもの自体、あまり好みではないようだし、ほかのメンバーも殺人にこだわる芝居はどうもねえ、と言ったような感触であった。 するってえと、ミステリーやるなら北村薫や加藤朋子、はたまたはやみねかおるの線を狙わねばならんかなあ。 よしひと嬢をミス・マープルみたいなおばあさん探偵にするのはどうか、といアイデアを出すと、女房が少し乗り気になる。その線で一本設定を考えてみようかな。
ホームページに載せるダーリンの似顔絵を塩浦嬢から頼まれるが、どうせならそれも女房に描かせて夫婦ペアで載せたらどうか。あれ以上のインパクトはそうそうあるまいと思うが。
さて、一部読者に人気の、今日の「桜雅嬢」情報。 発生訓練のテキストに「寅さん」の口上を使っていたそうだが、「意味の分らない言葉とかなあい?」と聞いた途端、桜雅嬢、 「巨根って何ですか?」 ……確かにあるんだよね、「巨根で有名は道鏡」ってセリフが。 みんな一瞬詰まって、「パパに聞きなさい」と答えたそうだが、ホントに聞いたらどうするんだ(^_^;)。 まあ「パパに見せてもらいなさい」と言うよりゃマシかな。それにしても、いい加減、桜雅嬢専任のオトナ教育係を誰かつけたらどうだ。
帰りに久しぶりに「ビッグポーイ」に寄る。新メニューのハンバーグハヤシが美味い。看板通り「手ごね」しているのかどうか知らないが、肉汁が口の中でぱあっと広がるほどにジューシーなのは事実である。 女房はと言うと、肉は食うが、野菜は食べない。「ここのはまずいから」と言うが、どこの店でも野菜は食わないのだ。多少味が悪くても、肉食ったときは余計に野菜を食わねばならぬので、サラダバーを三杯おかわり。
帰宅して女房に特訓され、個人ホームページの表紙だけ作る。記事はまだまだ後。公開するのはもう少し先になりそうなので具体的な内容はまだこの日記には書かない。
ようやくビデオに録っておいた『も〜っとおじゃ魔女どれみ』の第1・2話を見る。前作の『#』の展開に興味をなくしかけていたが、再びどれみ達を魔女見習いに戻したのは、確かにアザトいことではあるけれど、原点に帰ったのだと考えればそう悪いことでもない。『#』じゃ、赤ん坊の存在がドラマ上どうにも邪魔だったからなあ。どれみがあまりお姉さん、お母さん的になるのは「らしくない」印象をどうしても与えてしまっていたからなあ。 でももうこれ以上、キャラクターを増やさないようにしないと、またセーラームーンの二の舞になっちゃうぞ。変身のバンクシーンだけ毎回長くなるだけの手抜きアニメにちょっとなりかけてるので、注意して欲しいものである。 それはそれとして、新登場の帰国子女役の声優、英語が断然うまいが、ホントの帰国子女だったりするんじゃなかろうか。
波津彬子『雨柳堂夢咄』4巻、案の定、ネタに詰まったのだろう、贋作師のライバルは登場しなくなる。代わりに準レギュラーになった「橋姫」のキャラクターがなかなかの出来。ようやく雨柳堂のうわ手を行くキャラクターが登場してきた印象。夢幻紳士に対する猫夫人みたいなものかな。まああの「冒険編」シリーズも後半どんどんつまんなくなって行ったけど、『雨柳堂』がそうなる心配はあるまい。ようやく次巻への興味が湧いてきたところで今日はもう寝るのであった。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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