無責任賛歌
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2001年01月31日(水) |
そうか、最近匂いに敏感になったのはそのせいか/『鉄甲軍団』(横山光輝) |
通院の日だが、風呂に入ってヒゲを剃る。 シェービング・ジェルが切れていたので、直に安全剃刀(三枚刃)をあてるが、どう考えても皮膚までいっしょに剥ぎ取ってる気がしてならない。 洗面器に湯を張って、剃刀を注ぐと、パアッと白黒まだらのヒゲが湯面に広がるのだ(汚ねえな)。白は当然「フケ」である。 鏡を見ると、案の定、肌が荒れている。 昔、お袋にヒゲを剃ってもらってた頃は(勘違いしないように。別にマザコンってワケじゃなくて、ウチの実家、床屋なのよ)、こんなことはなかった。理由は簡単で、お袋の使っていた剃刀が、自ら砥いだ「日本剃り」だったからである。 非衛生的という理由で、今や床屋の剃刀は全て替え刃式のレザーに切り替えられている。しかしこれが大きな間違いで、職人が丹念に砥いだ日本剃りと、レザーの替え刃との刃先の粒子を顕微鏡で比べると、日本剃りの方が圧倒的に細かいのだ。レザーは殆どノコギリである。これで皮膚に引っかからないわけがない。 「一度他人の肌に付いたものは不衛生」(確かに使用後の剃刀を手入れ・殺菌しないバカもいたかもしれんが)という思い込みが、却って肌を不衛生な状態にしてしまっている。なのに剃刀をきちんと砥げる職人はもういない。 つまり、これがどういうことかと言うと、「床屋という職業は既に絶滅している」のである。なのに、そのことに世間は全く気がついていないのだ。 未だに私に「床屋の跡は継がんの?」と聞くヒトがいるが、継ぐも何も、職業自体が存在しないのに継ぎようがないじゃん。 ……私は今、無性に懐かしい。あの、剃り跡の肌触りのすべすべ感。ヒゲが伸びるまでに二日かかった深剃りのよさ。あの感触は二度味わえないのだなあ。
耳鼻科でレントゲンを撮ってもらうと、なんと小学校の頃から一度として治ったためしのない鼻腔の中の蓄膿がきれいさっぱり消えていた。呆気にとられる、というのはまさにこのことだろう。何しろいかに洗浄しても薬を変えてもどうにもならず、私は一生「怪人鼻詰まり男」として生きねばならぬと覚悟していたのに……。理由は何かと考えた場合、答えは一つしかない。「漢方薬」のおかげである。数ヶ月前、薬を漢方に変えた途端、効果が覿面に現れたのだ。恐るべし、中国医学の神秘。 ……なんか西洋医学がたどってきた道は何だったのか、という気がしちゃうなあ。前野蘭化と杉田玄白が泣いてるぞ。 いや、なんにせよ、病気が一つ治ったというのは嬉しい。糖尿は相変わらずだけど。
いつものごとく、帰りは「柳川屋」で櫃まぶし。このことばかり日記に書くものだから、帰宅した途端に、女房が起きてきて(今まで寝とったんか)、「うなぎ食って来ただろう」と恨みがましく絡んでくる。 一緒に病院にまでついて来れば自分も食べられるのに、そうはしないのである。仕方なく焼きうどんを作ってやる。女房、肉を混ぜているので文句一つ言わずに食う。で、食ったあとまた寝る。これで女房はしょっちゅう「睡眠不足だ」なんて言っているのである。どれほどのウソツキであるかが知れようというものだ。
マンガ、横山光輝『鉄甲軍団ほか八編』、時代物ばかりを集めた短編集。横山氏の描く線も、病気で倒れて以来、今や見る影もないが、こうして旧作を見るとやは昭和40年代前半頃までの氏の線は流麗で、物語自体も、忍者たちを主人公とし、時代の影に隠れて記録されずに終わった人々のエピソード、といった感じのものが多いのが私の好みにあっている。このヒト、信長とか秀吉とか家康とかを主人公にして描くと途端につまんなくなるんだよなあ。それは必ずしも本人の責任じゃなくって、昔は山田風太郎あたりの小説を元ネタにしてたのが、最近は山岡荘八や新田次郎に鞍替えしちゃったせいだとは思うが(^_^;)。
『パワーパフガールズ』、『エノケンの豪傑一代男』、『松本清張のガラスの城』とテレビをナナメに見ながら、パソコンをパコパコ叩いているうちに眠くなる。 んじゃそろそろ日記書いて寝ようかというころになって、女房起きてきて゜腹減った」とうるさい。仕方なくチャーハンを作ってやる。……なんだか、雛鳥に餌やるツバメの心境になってきたな。 今日コンビニで買った『うる星やつら・桃の花歌合戦』で、丁度、巨大化してペンギンとなったツバメが学校の食料を荒らしまくる話が収録されていたので、何となくシンクロニシティ。 実際、女房の普段の歩き方は、まるでペンギンのようにヨチヨチペタペタである。まっすぐ歩けよ。
女房が久しぶりにパソコンでエロゲーを始めたので、日記も書けず、しかも寝ていると隣から「はあん」だの「うふうん」だの妙な声が聞こえてきてうるさい。なんでもう少し落ちついた生活を送らせてはくれんかなあ。……はああ(´0`;)。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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