無責任賛歌
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2000年08月08日(火) |
ボケ老人の夕べ/『カランコロン漂流記』(水木しげる)ほか |
朝から女房と部屋の掃除、ゴミ出し。 たまった段ボールをバラして市の指定袋に詰め込むのだが、十箱ほども溜め込んでいたので、破っても破っても終わらない。 段々、自分の人生そのものが段ボール破りで終わってしまうんじゃないかという気になってくる。 風呂場の掃除も、タワシでこすってもこすってもカビが落ちない。カビを落としている背後でカビが生えてきているのではないかという錯覚を起こす。 トイレットペーパーその他を買いにホームセンターに行くが、店を出た途端に買い忘れたものを思い出して、再び三度、店内に戻る。永遠にこの店から出られないのではないかという妄想に囚われる。 ……疲れてるのか? 俺。
気分を変えてマンガを読む。 こやま基夫『パクリコン』2・3巻、『ヒカルの碁』8巻など。 大分、気分が落ち着いてきたところ、いきなり父親から電話。 今度知人の法事に行くので、お悔やみの手紙を添えたいとのこと。ついては文例集のようなものを貸して欲しいと言われる。 以前もそんなことを頼まれて、本を貸したのだが、忘れているのだ。 かと言って「前に貸したよ」とも言えず、明日までに用意することを約束する。 トシがトシだから仕方がないとは言え、親がボケていくのを確認するのはちとつらい。 再び気疲れ。
……と思っていたところ、丁度買ったばかりの水木しげる『カランコロン漂流記』を読んでいたら、解説で京極夏彦が水木氏の「天然ボケ」を礼賛していた。 実際、本文も意味が通らない文章が多々ある。 水木氏は、既に七十の坂を越えているのだから当然といえば当然。でも、読んでいて暗い印象が少しもない。 いや、戦争で片腕を無くしているくらいだから、根は暗い人なのだが、それを超越して「まあ、いいや」の心境に達しているのである。ボケる前からボケていた人であったのだ。つまり今の水木氏のボケはボケの二乗。これって、本人にとっては結構楽しい状況なのかもしれない。 親父もそんな感じなら気分も悪いわけじゃなかろうと思い、少し気が晴れる。
夜、キャナルシティ「梅の花」で豆腐料理。茶碗蒸にモチが入っていて。これが美味。その後AMCで『リプリー』見る。原作の設定を相当改変し、ラストはちょっと切なかった。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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