あふりかくじらノート
あふりかくじら



 ペールギュント。

ノルウェーの文豪イプセンの詩劇『ペール・ギュント』。
夢想家で、女たらしの主人公ペールが世界を放浪する冒険の物語。

幼馴染を結婚式から略奪し、やがて彼女に飽きると捨ててしまう。彼は、アフリカ大陸に渡り、ベドウィンの娘に誘惑される。・・・(あらすじはこちら


モロッコに渡ったペールが迎えるあまりにも有名な「朝」という曲。

ペールの母の死の床で冒険譚を語るペールと死にゆく母親。そして、故郷でペールを待つ恋人の「ソルヴェイグの歌」。


いただいた招待券で行ったあるマエストロのコンサートは、ほんとうにいまのわたしを包んでくれた。
グリーグによる、組曲である。今日、東京芸術劇場にて。


圧倒的な迫力と、哀しみや愛。
音楽って、どうしてこういうものを表現できるんだろう。
身体中に響き渡る音に、わたしはやはり、昨日の告別式のことを思い出していた。

ひとは死ぬ。
静謐の中で死にゆく。

喪主である奥様のご挨拶のことばをひとつずつ思い出し、かみ締めた。ソルヴェイグの愛の歌のように、彼女の想いはあまりにも深い。
そして哀しく。
その様子は、わたしの脳裏に焼きついて離れない。


年老いたマエストロは、自分も死ぬまで秒読みです、と語った。
とても生命力に溢れた彼から出たことばに観客は笑ったけれど、そのことばは、いまからとても大切なことを言うのだという重みを持って、まっすぐわたしの心に届いた。

襟を正すときは、襟を正す。


そういうことを、彼は語った。


今日、あなたの世界に包まれることが出来て、ほんとうに良かったです。
涙でお化粧はぐしゃぐしゃでしたが(汚)、背筋が伸びる気持ちになりました。
そして、色んな人間の哀しみや何かを知りました。


あなたのアンコールは、最高でした。
いまのわたしに、必要なものでした。

それは、必要な涙でした。


(ひとり、号泣)



2008年08月29日(金)
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