夜ごとに軽くなりゆく灯油缶
前に住んでいたアパートほどではないにせよ、やはり夜は寒い。 不思議なくらい暖かい居間は炬燵さえあれば十分だが、 北向きの寝室では小ぶりの灯油ストーブが活躍する。 故郷にいた頃も、今と同じようなストーブを使っていた。 円筒型のストーブは、全面が暖かいのでお気に入りだった。 灯油を継ぎ足す作業も好きだった。 じわじわとポンプを通して灯油が流れていく感覚。 灯油缶の灯油がからになる頃、春がやってくる。
ストーブは暖房だけの働きではなかった。 天板でもちを焼いたり、芋を焼いたり。 ひと冬に一度くらい、上に鍋をのせて、小豆を煮てくれた。 ゆっくり、じっくり煮られた小豆の甘味が好きだった。 親戚がやってきて、みんなでストーブを丸く囲んで。 なんだかとっても暖かいときをすごせたものだ。
ストーブの鍋煮詰まれる心浮く
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