ケイケイの映画日記
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アニメ版を鑑賞したので、実写はもういいかと思っていました。良き感想を壊したくなかったのですが、監督は是枝。是枝は子供や思春期の女の子を描くのは、抜群に上手いのよね。結果、見逃さずに良かったです。監督は是枝裕和。
小4の藤野(七瀬ふうり)は、学年で漫画の腕が一番なのが自慢です。学校新聞では、四コマ漫画を担当。本日も大好評です。そんな時担任の先生(宮藤官九郎)から、同じ学年の京本(岡田六花)に、四コマ漫画の枠を一つ渡して欲しいと言われます。京本の圧倒的な画力に、打ちのめされる藤野。しかし藤野が京本に、卒業証書を渡しに行った事をきっかけに、二人は意気投合。絵を描く事を間に置き、かけがえのない親友となっていきます。
私が観ようと思った一番の動機は、「アニメを観た人にこそ、観て欲しい」の一文を目にしたから。アニメ58分、実写99分。この41分の差は、鮮やかに少女二人をより深く彩っていました。
当初こそ不登校の京本を小ばかにしていた藤野ですが、京本の絵を目の当たりにしてから、友達とも一切遊ばず、寝食を忘れて描く事に没頭する。実写版では、これでもかと藤野の努力を映します。この年にして、片手間で書くのじゃ、一番にはなれないと悟った訳です。素晴らしい。しかし友達は「オタクと思われる」姉は「漫画ばっかり描いて、どうするんだ」と、説教する。いやいや、どうして頑張る事を否定するんだよ。姉の打ち込む空手は良くて、漫画は駄目なの?好きなものに打ち込むのは一緒だよと、私は憤慨。
しかし京本は、「藤野先生!」と自分を呼び、「私なんか学校に行っていないから時間はたくさんあるけど、藤野先生は、学校に行きながら、あんな素晴らしい作品を作って、凄いです!」と、藤野の努力も称えたのです。この台詞は、私の記憶では、実写版のみだと思います。ファンと言われる事より、藤野はこの事が嬉しかったんだと思う。
来る日も来る日も一緒に漫画を描く日々を丹念に描きます。ここもパソコンではなく、地道にコツコツ、筆を走らせる様子が、生き生きと、力強く描かれます。ここも実写の強みです。
やがて二人は中学生。藤野は出口夏希、京本は蒔田彩珠に変更。あんまり自然で、一瞬判らないくらいでした。私が本当に感心したのは、撮影当時は二人とも素敵な大人の女性の年頃です。それが中学生〜二十歳前くらいを演じて、全然違和感がないのです。この5〜6年くらいは、女の子は容姿から何まですごく変化します。中学生くらいの設定時は、チラチラ大人の風情が出そうになるのを、必死に持ち堪え、なんて頑張っているのかと、感動しました。そのお陰で、私の中で二人の強い友情が、すごく盛り上がりました。
京本が二人の解散を申し出る時、京本に罵詈雑言を浴びせる藤野に対して、揺るぎない京本の姿が印象的。京本は藤野との日々で、絵を描く事を極めたいのだと、成長したんだよ。そして藤野は暴言吐きまくりなのに、自分から京本が離れていくのが、寂しくて堪らないのです。それはいつも偉そうな口とは裏腹、藤野が京本に敬意と感謝を持っていたのが、画面から伝ってきていたと思うからです。
if,もしも的な挿入は、今回もあり。実写版はその前振りで、自分と京本を繋いだ、自分の四コマを見つけて、涙する藤野を映す。私が四コマを描かなければ、今でも京本はこの部屋で描いている、私のせいだと思ったのでしょう。今回のif、もしもは、明確にどんな形でも、二人は出会っていた。その後素晴らしい青春を送ったのだと、藤野のを励ましていたと思います。
その他、新しい家で、家族四人明るく暮らす藤野の家族が、何度も登場するのに対して、古い家屋に住み、亡くなった祖母の存在しかわからない京本の家庭。これは京本の家族を断罪しているのではなく、色んな意味で、藤野は京本を照らしていたのだと思います。二人は陰と陽ではではなく、月と太陽だったんだなと思う。
藤野の家族だけではなく、編集者(菅田将暉)、大勢の藤野のアシスタントと仕事部屋は、実写版のみで、それぞれ色濃く漫画と絵画の違いを際立たせていました。多彩でアイデア豊富の藤野。画力は漫画を描く上では大切な要素の一つ。対して京本は唯一無二の画力を持ちます。漫画という構造を際立たせる事で、二人が発展的に解散するのは、仕方なかったのだと、観る者に納得させてくれます。
桜や紅葉、清々しい川の流れなど、豊かな東北の自然も眼福でした。アニメ版も好きですが、私的には実写版に軍配が上がります。アニメ版を観た方も、是非どうぞ。心が瑞々しく洗われる作品です。
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