ケイケイの映画日記
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2019年11月05日(火) 「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり」


実は大昔、前後篇のドラマを観ていましてな。全編の面白さに比べ、ちゃぶ台返ししたくなるほど、後半は最悪。人には前編がこんなに面白いなら、後半はどんなに面白いだろう?と胸ワクの記憶を抱いて、後半は見ずに墓場まで行け、と伝えておりました。だから観るのは躊躇したのよなー。でも私の好きなジェームズ・マカヴォイが出ているし、意を決して鑑賞。大丈夫、面白かったです!監督は引き続きアンディ・ムスキエティ。

田舎町のデリー。27年前ルーザーズの七人が撃退した、ピエロのペニー・ワイズ(ビル・スカルスガルド)がまた現れ、一人街に残ったマイクは、バラバラになったメンバーを呼び戻します。

リーダー格だったマイク(成人後ジェームズ・マカヴォイ)は人気作家になっており、原作の映画化の脚本も担っています。しかし「オチがサイテー」と言われ、監督や妻からダメだしをくらい、目下脚本を書き直しています。本人としては不承不承なのですが、以降「オチがサイテー」はあちこちで挿入され、はーん、これはオチを変えるなとわかる(笑)。アメリカでも不評だったんだなぁ。

過去の彼らが抱える、屈辱、秘密、罪悪感、猜疑心などが、ペニー・ワイズの手によって露になり、彼らを苦しめます。今ではすっかり立派になった彼らなのに、子供の頃の自分に自縄自縛状態です。ほろ苦いを通り越し、ひりつく様な思い出に、彼らは立ち向かいます。その勇気が、辛かった思い出を、愛情や友情に昇華させていくのです。

全編の思春期のルーザーズの面々が回想として出演。現在の彼らと交互に描かれます。これは上手い演出で、ホラーの「スタンド・バイ・ミー」と呼びたいような、陰鬱さと清廉さを共存させていた、好評だった前編が蘇りました。

私は時間の都合で通常版を観ましたが、客を怖がらせようと、あちこち飛び道具が張り巡らされ、これは4Dで見たかったなーと後悔。お金に余裕にある方は、是非こちらでご覧下さい。

仕掛けだけではなく、ユーモアも随所に盛り込まれ(主にリッチー&エディ)、きっちり泣かせにもかかる、パニック映画のお手本のような展開で、三時間ほど、全く飽きもせず楽しむ事が出来ました。

ベンが書いた情熱的で詩的なラブレターが、べバリーの記憶ではビルになっていて、とても哀しい。この哀しさが、どうオチるかお楽しみに。

ドラマ版を未見の人は、何なんだこのオチは!と激怒するでしょうが、子孫にも伝えたいような、サイテーのオチを回避して、ワタクシは大満足でございます。見るなら絶対4Dで!


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