ケイケイの映画日記
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2017年03月20日(月) |
「SING/シング」(字幕版) |
すごく良かった!素晴らしい!通常お子様向けアニメは、時間の関係で涙を呑んで吹き替え版を観ることが多いですが、今作は60曲のポップロックが流れるとあって、訳した歌なんか聴いてられるかと、勇んで初日のお昼に観て来ました(もうじき春休みなので、字幕はイブニング以降に押しやられる)。シンプルなタイトル同様、ストレートに歌が持つ力強い生命力を謳い上げ、何度も胸が熱くなりました。監督は私の大好きな「リトル・ランボーズ」のガース・ジェニングス。
しがない劇場の支配人コアラのバスター・ムーン(声:マシュー・マコノヒー)。子供の頃からの憧れを実現したのは良いのですが、ヒット作の出ない劇場は、銀行からの借金が返せず虫の息。思いついた起死回生の作が、素人のオーディション。膨大な数のオーディションから選抜されたのは、善良な豚の主婦ロジータ(リース・ウィザースプーン)とコンビを組むのは、歌って踊れる豚のグンター(ニック・クロール)、心優しいゴリラの若者ジョニー(タロン・エガート)、針ねずみの怒れるハイティーン少女アッシュ(スカーレット・ヨハンソン)、高慢ちきだけど、優秀なテンタティナーの鼠のマイク(セス・マクファーレン)が選ばれます。象の少女ミーナ(トリー・ケリー)は、類まれな歌声を持つのですが、生来の内気さが災いし、オーディションは受けられず仕舞い。しかしひょんな事から、裏方に採用されます。張り切って新しい演目に励むムーンと出演者ですが、数々の難問が待ち構えています。
この作品をミュージカルと捕らえると、えぇ〜!と言われそうですが、「ラ・ラ・ランド」より、こっちが好き。この作品でも「テイク・ファイブ」など、往年のジャズも少し流れますが、基本的に耳慣れた新旧の大ヒットしたポップ・ロックばかり。多分これが理由です。私はジャズよりずっとずっと、ポップスが好きなんだと、改めて感じました。
合間合間に気がつけば流れる音楽。ダンサブルだったり謳い上げるバラードだったり、ラップだったりと、そりゃーもうバラエティ豊かで、ゴキゲンになります。その中で繰り広げられる擬人化した動物たちの人間模様は多彩で、みんなみんな理解出来るものばかり。そして特別に感情移入するキャラもあるはず。私はもちろん、ロジータです。
25匹の子供(!)の世話に明け暮れ、その子供たちを養うため、誠実な夫は仕事で干からびて毎日帰宅。子育てを手伝っても言えず、毎日ワンオペ育児。不満一つ言わず、今の幸せを守ろうと頑張る彼女ですが、主婦以外の自分も見つけたいのですね。よーくわかる、わかる。苦肉の奇想天外な方法で家を脱出するも、彼女がいなくても、家が回ってしまうのは、何だか切ない。でもロジータはネガティブには受け止めず、これで明日も練習に向かえるわと安堵します。何かやりたい事がある人は強いよね。出来ないことを並べて、不満を言うのではなく、鳴かせて見せよう、ホトトギス的精神の彼女が大好きです。
ダンスが苦手の彼女が、誰に励まされ勇気を貰ったか?ここで涙ぐみました。これ、わかるなぁ。私も一期一会で、誰かを励ます人になりたいと、心底思いました。妻の新たな魅力に危機感を覚え(笑)、愛を確認する夫も素敵でした。
アッシュの傷心も印象深い。年上の才能の無い彼氏を立て、己の才能は押さえつけられるも、言い返せず。二人の夢を実現させ、アッシュは公私とも対等なパートナーとして生きたいのに、男はアッシュに嫉妬し、さっさと別の女の元へ。こんな時「コール・ミー・メイビー」なんて、歌えないよね。アッシュの巻き返しも、乞うご期待!
その他、ムーンが劇場を必死で守る本当の理由も、ジョニーと父の和解に通じます。どのパートも、それほど深追いしては描かれませんが、的確に描いているので、夫婦、親子以外でも、友情や歌への愛を強く感じ、最後まで希望に満ち溢れています。そう、ドン底まで落ちたら、後は上がるだけなんだもん!
ほぼ、サビの触りだけが流れ、あぁ〜もっと聞きたいなと、ずっと思っていたので、ラストのステージでは、最後まで全曲聞けて、ものすごいカタルシスでした。一つだけ文句があり。CMではエアロスミスの名曲「ドリーム・オン」が流れていたのに、劇中なし。すごく楽しみにしていたのに。なのでここで聞いて下さい。春休みが過ぎた頃、吹き替え版も観たいです。
エアロスミス 「ドリーム・オン」
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