ケイケイの映画日記
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2016年10月03日(月) 「ある天文学者の恋文」




実はジェレミー・アイアンズが好きです。でも颯爽とした彼じゃなく、女に溺れて堕ちて行く男を演じる彼が好き(笑)。「ダメージ」「戦慄の絆」「M・バタフライ」(←男だけど)とかね。なので、死んでからも若い娘に付きまとう爺さんの役とは何て素敵なと、かなり歪んだ期待で観に行きました(笑)。不倫関係なんでね、まぁいけしゃあしゃあとと、シラケる気分にはなりますが、私の期待は叶えられたので、まぁいいでしょう。監督はジュゼッペ・トルナトーレ。

著名な天文学者のエド(ジェレミー・アイアンズ)と教え子のエイミー(オリガ・キュリレンコ)は、不倫関係にあります。逢瀬の日々は少なく、頻繁にメールとネットで連絡し合う二人。しかし、エドからの返信がなく、心配していたおり、エイミーは彼の急死を知ります。悲しみに暮れるエイミー。しかし不思議な事に、死んだはずのエドから、メールや手紙、DVDがエイミーの元に届きます。真相を知りたいエイミーは、彼との思い出の場所へ繰り出します。

まず冒頭、乳繰り合うアイアンズとオリガの姿に、これだけで観に来て良かったと思う私(笑)。とってもハンサムでエレガントなアイアンズですが、年齢には勝てず、最近こんなシーンはご無沙汰だもん。セックスではなく、服も着てキスだけで、これくらいエロチックで濃密な空間を醸し出すとは、流石です。

不思議なメールや手紙の謎は、だいたい予測通り。ミステリー的面白さはないです。エイミーの真相究明の旅は、エディンバラや風光明媚なイタリアの島など映し、それぞれ美しい。そして道案内のようなオリガが超絶魅力的です。私はオリガの事、余り綺麗だと言う認識がなかったんですが、この作品では飛び切りの美しさ。キャサリン・ゼタ・ジョーンズを若くした容姿で、キャサリンからゴージャスさを抜き、清楚で憂いを足した感じです。

アルバイトにスタントウーマンをしているので、普段もカジュアルな装いなのですが、これが手足が長くモデルかと言うくらい、スタイル抜群。思い切りよくヌードも見せています。最近はアクションが多いみたいですが、何かもったいないわ。私のような邪な期待でない向きも、彼女を観ているだけで、元は取れます。

ストーリーの方は、「父が一番愛していたのはあなた(by娘)」「この島へは、教授はあなたしか連れて来なかった」と、まるで未亡人扱いで大歓迎の島の人々の光景等々、如何に二人が愛し合っていたかと朗々と語る画面は、トルナトーレの演出よろしく、甘美な切なさを盛り上げます。が!如何せん不倫。こちとら結婚生活30年以上の人妻なんでな、当然気分はよろしくない。そして如何に演出が上手くとも、絶対的に脚本が陳腐で古臭い。エイミーの秘密を匂わせるような宣伝も、年の差不倫に説得力を持たせたいだけで、大した事はありません。そしてラスト近く、娘があの場所に来るなんて、蛇足もいいところです。

常識人のエドの親友は、エドを断罪します。これはあんまり陳腐な脚本なんで、申し訳程度のお詫びでしょう(笑)。娘に上記の台詞を言わして、「父は私よりあなたを愛した。私はあなたに嫉妬した」(ちなみに娘はエイミーと同じ年)なんて言わせりゃ、この父親、人として終わってるわ。老いらくの不倫に呆けてしまい、死んでからも若い愛人が自分を忘れないように、愛を装って呪縛しているわけです。多分地獄行きよね。でもいいの、私はそんなジェレミー・アイアンズが観たかったから、満足です(笑)。

素では老いが隠せないからか、アイアンズの登場シーンは、ほとんどパソコン画面。だから渋さを湛えたハンサムのまんま(笑)。私は内容そっちのけで盛り上がっていました。主演二人のファンなら、満足できる作品です。


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