ケイケイの映画日記
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2013年10月31日(木) 「魔法少女まどか★マギカ 新編叛逆の物語」




正しく「続編」でした。でも個人的には大いなる蛇足に感じます。完璧な「愛」を観せてもらった「前作」のラストから、奈落の底に落とされた気分。但し前作には及ばなくとも、これはこれで語りがいのある出来ではあります。

マミ・まどか・さやか・杏子の魔法少女たちが、ナイトメアと闘う見滝原と言う街。彼女たちが通う中学に、ほむらという少女が転校してきます。彼女もまた、魔法少女でした。ほむらを歓迎する四人の少女たち。まるで部活のように、ナイトメアと闘い友情を深めていく五人ですが、ほむらはこの世界に違和感を感じ始めます。

冒頭30分、美少女戦隊モノのノリの映像が続き、ちょっと苦笑。この作品がカルト的人気を呼んだのは、元はこの手の作品の支持者さんたちが騒ぎ始めたから。お蔭でこの作品に辿り着けたんだからと、そこは我慢の時間。但し映像の方は前作より凝っていて、進化していると感じました。

前作を観ている人は、何で五人が集合しているの?と訝しいはず。私もそうでした。始めにほむらが「おかしい」と気付き始めてから、少しミステリー調にお話は進みます。そしてまたダークサイドへ突入(笑)。でもなぁ、前作ではどこまでもお話が堕ちて行こうが、誰かが必ず誰かを助けようとして、彼女たちは暗黒乙女にはならず、むしろ純白の想いが私には届きました。しかし!今回は正真正銘の暗黒なんですねぇ。

前作のまどかの行動に、私が咄嗟に浮かんだのは、マザー・テレサでした。まだまだ俗っぽい私には到底無理な、マザーのような自分とは無縁のはずの、見ず知らずの人々に向ける愛深い人生。しかしそこに畏敬の念を抱く自分もいるわけです。それを14歳の少女が決意した事に、衝撃を受けたし感動したのです。思うに、彼女たちの尊い気持ちを受け継がずとも、受け取り心の底に大事にする事は、ほんの少しでも自分の生き方に活かせる事があるように思うのです。都合良すぎるのは、堪忍ね。

だからね、前作のラストは完璧だと感じたんですよ。まどかが「ほむらちゃん、もう時間を遡らなくていいのよ」と、優しく微笑みほむらを抱いた時、「まどかちゃーん!」と慟哭したほむらの姿を思い出すと、今でも涙が出ます。ほむらはそれまで、「まどか」や「あなた」と、まどかを呼んでいました。本当は「まどかちゃん」「ほむらちゃん」と呼び合い、箸が転んでも笑うような青春を、どんなに望んでいたでしょう。しかしまどかの願いのため、自分の想いは捨てたのですね。まどかを想う日々は、ほむらを魔法少女として成長させもしたけど、大人しく優しかったほむらを、頑なで孤独な少女にしてしまった。あの「まどかちゃーん!」の慟哭は、彼女をその重荷から解き放ってくれたと思ったから、私は泣いたんです。あぁ、それなのに!

三男はこの作品の展開を、「所詮は中学生やと言う事やな」と言いますが、いやいや、それは違うのだよ息子。支配欲や執着を、愛と混同すると言うことは、大人になっても老人になっても、起こり得る事なんだな。そこに一片以上の本当の愛も混じっているから、事はややこしい。与え求めずの愛は、苦しいし難しいもんです。それを乗り越えるのは、「勇気」であると暗示している事には、とても納得しました。

「キュウベぇも、やっぱりキュウベぇやねん」と言っていましたが、そこは同意。人間(奴は人間ではないが)は、どんなに環境が変わろうとも、性根はそれほど変わらないものなんだなと、感じました。それを変えるのは、理性だし知恵だと思います。正しく人間だけに備わっているものですね。

と、色々おばさん心を踏みにじられた内容ですが、やっぱりちょっと語ってしまいました。このままでは捨て置けない気分なので、第三部があったら、また観ると思います。これは作り手の手の内に嵌っているって事?


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