ケイケイの映画日記
目次|過去|未来
ふざけた映画です。元作とは全然違うアプローチで作っています。でも拡大解釈と言うか、掘り下げれば、愛や岩清水のキャラなんて本当はこんなもんかもなぁ?とも思います。私は真剣に観ていなかったので、それなりに楽しめました。
幼い時、自分を助けてくれた大河誠(幼少時・加藤清志郎、少年期・妻夫木聡)が、札付きの不良になっていると知った財閥令嬢の早乙女愛(武井咲)。愛は全身全霊を尽くし、誠に更生してもらうと誓います。愛を愛する同級生の岩清水浩(斎藤工)は、それをじっと見守っていました。
えーと、有名だと思う原作ですが、実に40年ほど前なんですね。映画の方は一作目が西条秀樹・早乙女愛の主演、以降二作、愛はそのまま早乙女愛、誠は南条浩二、加納竜。ドラマも作られており、主演は夏夕介と池上季実子でした。 こちら、元作の早乙女愛。確か公募で選ばれた新人の彼女、役名をそのまま芸名にしたはず。当時すごい人気でしたが、今観ると、そう美少女でもない。早乙女愛は清純派をかなぐり捨てて、日活の「女猫」に出た以降の方が、女っぷりも上がりずっと素敵でした。秀樹の方は言わずとしれた、当時の大アイドルですね。
と言う昔話はさておき、こちらの作品は、一応ミュージカル仕立て。曲目は「激しい愛」「空に太陽がある限り」など、昭和歌謡大全集の趣。私は小学校高学年から洋楽を聴き始めたので、当時のアイドルのレコードは一枚も持っていません。しかし当時のアイドルの偉いところは、そんな生意気な小娘にも、ワンコーラス歌えるくらいに深く記憶に残っているところですね。単純に楽しかったですが、バックの踊りがどーも。武井咲の「あの素晴らしい愛をもう一度」の、フォークダンス風ノリ、斎藤工の下手クソなダンスは狙っているんでしょうね。これはユルユルでわかるんですが、それ以外の郡舞的なダンスは、もっとしっかり踊れる人を配置した方が、メリハリが効くし良かったかも?
あっ、それと金粉ショー!これも下手クソでしたが、私が子供の頃は、限りなく裸の美女が金粉塗りたくって、テレビで踊っていました(いやほんまに)。金粉ショー=昭和な香りがします。まぁこれも、もっとちゃんと踊って欲しかったかな?
原作も誠一筋の愛お嬢様ですが、考えてみれば相当変な人ですよ。この勘違いやウザさは、面白おかしく描いたら、こうなるわな。岩清水君も当時そんな言葉はなかったけれど、今思えば完全にストーカーだしね。そう思えば納得です。誠が全然強そうでないのに(妻夫木君ですから)、多勢に無勢でバッタバッタと敵をなぎ倒して行くのも、何とも懐かしい風景です。昔のアイドルは、喧嘩のシーンになると急に強くなったもんです。
一番楽しかったのは、伊原剛志演じる座王権太登場シーン。歌い踊る「狼少年ケン」は私が大好きだったアニメで、思わず小声で歌いそうになってしまいました。でも座王権太、全然覚えてへんねんねぁ。高原由紀もガム子も覚えてんのに。観ながら早乙女家の運転手がチラッと出てきて、「この人は西田さんだ」も思い出したのに。
高原由紀を演じるのは大野いと。で、この子、どちらさん?台詞まわしは下手クソだわ、可愛くもないわ、何で起用されたん?あの幼いムードの高原由紀がお望みなら、もっと他になんぼでもいたでしょう?野暮った過ぎ。武井咲の愛の鬱陶しさは笑えたけど、この子が出てくると、何かテンション下がりました。ごめんね。
全編狙ったチープさで昭和を香らせる事には成功していたのに、終盤やけに真面目に泣かせにかかるので、こちらも真剣になってしまうと、アラが見えてきます。細部は忘れましたが、誠の実家が離散した理由は、あの額の傷にあったはず。それを母に変更してしまったのは良いとして、あの描き方なら、誠に息子だと名乗らしてはあかんでしょ?母に気付かせないと。ラストは三部作をまとめるための苦肉の作でしょうが、あれでは雑。時間もこの手の「イロモノ」にしたら長すぎ。全編お笑いで通して、90分くらいにまとめて欲しかったです。
でもなんだかんだ言いながら楽しめたのは、笑わせてくれたから。早乙女愛と夏夕介は共に50代で他界。昭和の大アイドル秀樹も、現在闘病中。南条浩二はまだ役者しているんでしょうか?加納竜もほとんど見かけない。池上季実子だけは瀬戸際で踏ん張っていますが、それでも同世代の大竹しのぶや名取裕子に比べたら、物足りない現状です。昭和のビックネーム作品だった「愛と誠」は、今は寂寥感を抱かせる作品となりました。だから笑わせてもらったので、寂しさではなく、懐かしと感じたので、この作品が私にはOKの一番の理由です。ご覧になるなら、くれぐれも真面目に観ないように。絶対1800円ではご覧下さりますな、も付け加えておきます。
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