ケイケイの映画日記
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2009年10月17日(土) 「クヒオ大佐」




う〜ん・・・。出来は超微妙。決して駄作ではないと思います。しかし期待した内容じゃなかったんだなぁ。私はもっと爆笑出来る作品かと思ってたんすが、映画は変にほろ苦い方向に行こう行こうとします。もうちょっと笑いたかったなぁ。

ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺雅人)。彼は父はカメハメハ大王の末裔で、母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ。米軍パイロットで、今は日本に駐留しています。が、これは全部嘘。クヒオは結婚詐欺師で、婚期を逸した弁当屋の女社長しのぶ(松雪泰子)や、博物館学芸員の春(浦島ひかり)を手玉に取り、次のターゲットは銀座の一流店のナンバー1ホステス未知子(中村優子)に狙いを定めますが・・・。

まず堺雅人。あの付け鼻は必要あったんでしょうか?実際のクヒオは、髪を金髪にして目に青のコンタクトを入れても、なお隠せぬ貧乏臭くて貧相な背の低い男性でした。私は実際の写真を見た事があり、何故こんな男に女たちは騙されて、総額一億円みついんだんだ?と絶句した記憶があります。私は付け鼻するって聞いたから、取り外しが出来るんだと思ってました。堺雅人の顔にず〜とあんなのがついてても、何にも面白くないじゃん。

女たちを手玉に取る方法は、しのぶや春の純情さが出ていて、まぁそれなりには納得。軽いジョークっぽいノリで笑わせてはくれますが、女心の純情はもっと執念深く怖いもんですが、その辺もサラっと描くので、同情はありますが、何故こんな知雑な手口にはまってしまうのか?という点では納得しかねる感じ。

イイ味出してるしのぶの弟(新井浩文)が、「姉貴はバカじゃない」と言いますが、その賢くて健気で働き者のしのぶが、何故クヒオに騙されたのかが、私はセリフ以外で納得したかったわけですよ。そこをきちんと描けば、どーんと彼女たちに共感出来たはず。

女騙すのだから、セックスはつきものですが、それも中途半端。さっきお友達の日記で話してたんですが、何で監督はあんなしまりのない堺雅人の裸出したの?堺雅人をクヒオに選んだのは、もっとファンタスティックな味を求めてでしょ?それにしちゃ、あの弛んだ体、遊び人っぽい乳首、意外と大きいお尻など、体全部が年齢より中年男してて生臭い。この生臭さは、本物のクヒオのような貧相な男が晒してこそ、哀愁があるんじゃないですか?彼の持ち味って、オスの匂いが少ないところだと思います。全然ないのじゃなくて、少ないの。だから恋愛はするし、キスはしてもいいんだけど、エッチそのものは見せてほしく無いなぁ。

それに比べ、未知子さんはエライ。ほほ〜、銀座の一流どころさんは、こうやって男騙くらかして金を引き出すのかと、その鮮やかなお手並みにクヒオより感心。絶妙の曖昧さで男を煙に巻くのですね。気のある男なら、一発だわなぁ。私は結婚が早くて、男なんか騙したこともなく、オトそうと思って狙ったこともなく、全然自慢出来る男遍歴がないんでね、もう未知子さんにわくわくしちゃって。20歳若かったら、この妙技、使ってみたかったなぁ。

彼の生い立ちも語られますが、同情は出来るものの、如何にもなお安い設定で、このため彼が結婚詐欺を働いたという理由づけは、ちょっと苦しいです。落ちのシーンも、別にいらなかったんじゃないかなぁ。某新聞の宣伝記事で、クヒオがアメリカ軍人という設定から、アメリカにいつまでも言い返せない日本をも描いていると書いてありましたが、そんな余計なことしなくていいから、もっと日本の男女の哀歓を掘り下げて描いて欲しかったです。

まぁそれでも現在絶好調の堺雅人ですからね、ややミスキャスト気味と言えど、それなりには楽しめました。松雪泰子ってね、普通の女性より手がすごく大きいんです。とっても働き者の手をしているんですね。彼女の手が映るたび、しのぶの人生が重なり、私は良いキャスティングだったと思います。売り出し中の浦島ひかり嬢も念願叶って見られたし。何となく昭和の香りもする子で、確かに皆さんが騒ぐのも納得出来る若々しい存在感でした。新井浩文は、今回完全に堺雅人を食う演技。姉ちゃん思いだけど性悪の弟を、ふてぶてしく演じて二重丸。しかしなんといっても未知子さん!中村優子!すごい美人じゃないけれど、トータルバランスが取れた容姿に、エレガントな物憂げな物腰。謎の多い微笑み。しかし心の中は毒がいっぱい、はすっぱがいっぱいで、見事な女っぷりでした。私がこの作品で萌えたキャラは、未知子さんです。演じる中村優子は本当に何でも出来る人で、地味な人ですが、もっとブレイクしてほしいなぁ。





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