ケイケイの映画日記
目次|過去|未来
三日に夫と観てきました。我が家は夫も医療関係なので、この日からがGWの始まりです。夫と同年代の男性の映画友達の皆さんは、多趣な方が多く、休日の使い方もお上手ですが。しかし我が夫は生憎と無趣味のステロ型の中年男でして、休日は家でゴロゴロ、予定がなければ一日中パジャマで過ごすのが至福の人なわけね。当然疲れなんか取れるはずもなく、またしんどい次の一週間に突入で、とにかく一年中「しんどい」から解放されない、日本において最大公約数的な中年男性です(可哀想なんよ、お父さんたちは)。ほっとくと干物になるのですね。でもうちの夫は男前で、干物にするにはもったいなく、時々私が連れ出すわけ。
本日は夫の服を購入するのが私の目的。「お父さんの服買いに行くで」というと、「また今度」というので(面倒臭いから。そのくせヤツしたがる)、「お父さん、定期買わんとあかんやろ?いっしょに難波行こう」と連れだし、騙くらかして高島屋へ。本人も気に入った品をゲットし上機嫌になったためか、「もう難波で『紀元前一万年』観て行こう!」と仰る。えぇぇぇぇ!明日ラインシネマで観るんとちゃうん?この作品と「最高の人生の見つけ方」と観たら、ポイント溜まるので、「チャーリー・ウィルソンズ・ショー」はタダで観る予定やったのに、とは私の心の声。布施に戻って観ようや、などど言うと臍を曲げて「もうめぇへん!」と言うのは、ながーい結婚生活で学習している私。「そうやね〜、ほな難波で観て行こうね、おとーさん」ということで、なんばTOHOで観てきました。お金はラインシネマで落としたい私の気持ちも、説明しても長くなるし。映画は予想通り、とってもローランド・エメリッヒな作品でした。
紀元前一万年の世界。狩猟民族の若者デレー(スティーブン・ストレイト)は、同じ村の少女エヴァレット(カミーラ・ベル)と恋仲です。エヴァレットは幼い頃、自分の村を「四足の悪魔」に襲われて全滅して生き残りだったのを、この村の巫女に育てられたのです。その「四足の悪魔」が、デレーたちの村を襲い、たくさんの村人を拉致して行き、その中にエヴァレットもいました。彼女を救うため、命をかけてデレーは追いかけます。
とっても普通の作品です。キャッチ・コピーの「誰も見たことのない世界は、「過去」にあった。」というのは、それは嘘です!というくらい、観たことある光景ばっかです。確かにCGでは、観たことないかも。脚本の方も小耳に挟んだところでは、監督エメリッヒは「構想から撮るまでに15年かかった」と仰っているそうですが、あんた、これで15年か?というツッコミ満載です。
デレーの父親が尊い思いを抱いて、村を出て行ったプロットが上手く生かせていません。デレーが何故あのサーベルタイガーを救ったのか、私には謎。これが重要な伏線になっているので、余計に気になります。いっしょに闘う村の長ティクティクが、大怪我しているのに、ターミネーターばりに速効治るのが不思議。エヴァレットに横恋慕する敵の隊長など、とってもいい味を出していたので、もっとキャラに肉付けして、醜男が美女に叶わぬ恋をした切なさを出せば、ぐっと作品が味わい深くなったでしょう。決定的なのは「ラスボス」。あんなもんで、あんなんになるか〜〜〜?(ネタバレなので、特に伏す)。この既視感、何やったやろ?ああそう!「スターゲイト」といっしょ!とにかく、部分部分で説明は一応はつくんですが、小さな脱力を繰り返すわけ。
だけど私は、この作品を割と気に行っています。だってエメリッヒですもの、大味な大作だと予想して観たかったんですから。エメリッヒと言う人は、大筋に疑問が残っても、枝葉の部分に人の好い愛嬌があって、私は嫌いではありません。(スティーブン・ソマーズも割と好き)
この作品も、最初村の長になれたはずのデレーは、卑小な自分の心に気づき、証しの杖を返してしまいます。しかしのちのちの展開を観れば、彼が「選ばれし勇者」であったのは明白で、自分の運命から逃げても、それは追ってくるものだと感じられます。
肌の色の違う、言語も違う者同士の正義のための結束は、観ていて気持ちの良いものです。
母を殺され一人ぼっちになったデレーの村の少年と、他部族の少年の心の交流がほほ笑ましく、デレーの村の子の復讐の果たし方が一捻りあって、ジーンときました。
デレーの父から幼い息子を託された村の長ティクティクが、血に惑わされることなく、自分の息子とデレーを分け隔てなく見守る様子が、器が大きくて観ていて清々しいです。
デレーの村では悪者だったマンモスが、敵に捕まり倒れるまで働かされているのを観た少年の、「マンモスが可哀想だ」の一言は、昨日の敵を憐れむ素敵な感受性です。サーベルタイガーの存在など、仲良くとは違う意味で、この時代は、生き物と人間の共生が大切だったんだなと感じました。
エヴァレットを演じるカミーラ・ベルがめちゃめちゃ可愛い!顔が泥だらけでもあんなに清楚で可愛いのですから、そりゃ男たちが命をかけるのも、すごーく納得でした。神秘的な運命の少女にピッタリでした。
ベルに比べて、主演のストレイトは、可もなく不可もなくで、既にもう顔も忘れかけです。これでブレイクしそうにはないなぁ。私の予想が外れれば嬉しいですが。
以上、すべて大味なんですが、枝葉の部分でたっぷりほっこりしたので、私は満足でした。夫の感想はというと、私のツッコミ部分が気になって、あんまり楽しめなかったそう。お父さん、そういう観方は甘いのよ。だって、ローランド・エメリッヒの作品なんやから。
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