ケイケイの映画日記
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2007年01月14日(日) |
「デート・ウィズ・ドリュー」 |
観て来ました!しかし観るまでに長い道程が。大阪では昨日から公開のこの作品、なんばTOHOのみの公開で、実はレディースデー狙いでした。しかし上映時間が12時の次は何と4時20分!映画は6時までなので、ダッシュで帰っても帰宅は6時半。水曜日はチビの塾があり、その頃には夕食は終わっていなきゃいけません。まずい・・・。家族の世話に支障をきたす時間に鑑賞はしないのが私のモットー。仕事休みの今週木曜日は、ヌーヴォでベルイマン2本を組んでおりアウト。ぼやぼやしていたら、レイトのみになってしまうじゃないか。
と思っていたら、昨日は夫が一旦帰宅後また仕事へ。いつもは土曜日は遊び呆けている次男が、昨日は珍しく家にいるというので、チャンス到来。三男と留守番してもらうことにして、4時20分の回を観ることに。しかしまたここで問題勃発。
午前中は三男の公式戦の応援に行き、とっとと家に帰ってネットで割引券を出そうとしたら、なんばTOHOがない!ナビオもなくなっている!そんな殿様商売していいのか、東宝!と怒っている暇なく、なんば近辺のチケット屋に電話かけまくる私。でも全部「なんばTOHOはありません」の返事。たま〜にローソンで、公開中の作品も前売りが売っているので見て来ましたが、ありませんでした。凹んでいる私を見た次男が、
次男「チケット屋て、なんぼ安なるん?」 私 「多分300円か500円」 次男「・・・。お母さん、その金俺があげるから、観ておいで・・・。」
ありがとう息子。良い子に育ってくれて母ちゃんは嬉しいよ。でもね、1800円がないわけじゃないのだ。お母さんは1800円で映画を観るのがいやなの!一介の主婦がね、これだけの本数の映画を観るのは、金銭的にも時間的にもやっぱり贅沢ですよ。それを「私が働いたお金やんか!家族に迷惑かけてるわけちゃうやん!」などと不遜な思いを抱いたら、もう主婦として終わっているでしょ?だから少しでも安い値段で映画を観るのは、私の家族へのちょっぴりの償いなわけ。もちろん自己満足なんですが。そう思うなら、もっと本数減らせって話なんですがね。
あきらめきれず、またネットでチケット屋を検索し直し、最後の最後のお店でヒット!「19日までの分なら1300円です」の美人のお姉さん(多分)のご返答にやっと鑑賞決定。ああ神様!夕食の支度を済ませた後、3時30分に家を出発。なんばTOHOを通り過ぎて「チケットキングなんば店」(お店の名前くらいだしちゃおー)まで行き、無事購買。とって返してなんばTOHOまでや〜と辿り着きました。いや〜往生しまっせ。しかしその苦労の甲斐あった作品でした。
ブライアン・ハーズリンガーは、現在求職中の27歳。金なし恋人なしの行き詰った現状です。ある日クイズ番組で1100ドルを獲得した彼は、生活費に使えばなくなってしまうお金、何か価値があるものに使いたいと思います。浮かんだのが6歳の頃から大ファンの、ドリュー・バリモアとデートするということ。この試みを映画にすべく、友人のジョンとブレッドの共同でドキュメントを撮る事にします。撮影用カメラはお金がないので30日間で返却すれば、返金されるという制度を活用。なのでタイムリミットは30日!ブライアンはドリューとデートすることが出来るのか?
最初ことの経緯を説明するブライアン君を見て、あれ?結構可愛いじゃないかと思いつつ、手の甲のお猿さんのような毛が気になる私。次のシーンに映った彼は、ヒゲが濃くてまるでイケテない。彼は多毛症なのでした。自分の胸毛を見せつつ、自分ってイケテるか?ドリューをどう思う?と道行く人々に聞いてまわる彼は、ドリューのためなら、胸毛も脱毛していいと言います。そんな健気さにちょっと彼に好感を持つ私。
まずは友達の友達は皆友達だ作戦で、ちょっとでも映画にコネがある人を辿って必死でドリューまで辿り着こうする姿は一生懸命です。並行して彼女に相応しい人になろうと、シェイプアップに励み、フェイク・ドリューとデートの予行演習をしたりと、涙ぐましいこと。本来なら無職の息子のおバカなこの試みを止めてもいいのに、「ドリューはアバズレじゃないの。キャメロン・ディアスにしなさい」と、ピントのずれたナイスボケをかます、ブライアンのママが良い味です。本当はすっごく息子の行く末を心配しているはず。でもそれをグッと飲み込むのは、息子を信じているからなのでしょう。
有名プロデューサーが協力を了承してくれたり、名ナレーターが「面白かったから」とノーギャラで予告編に出演してくれたり、たくさんの協力者が現れるのに、なかなかドリューまで辿り着けません。刻々と過ぎる日々にあせるブライアン。職探しもままなりません。「僕は何か誇れるものが欲しいんだ」。彼は今の五里霧中な状況の中(若いから四面楚歌じゃありません)、ドリューとデートすることで、今の自分から変わりたいのです。そしてバカにする人はいても、ジョンやブレッドを始め、協力する人も皆冷やかしではなく真剣です。「デート・ウィズ・ドリュー」は、彼の今の人生全てが懸っているのだと悟ると、ここで私の涙腺は決壊。
ブライアンたち三人はHPで見ると、大学は映像を専攻していたようです。ドキュメンタリーにも演出があり、作り手の思惑が入るのは周知の事実です。彼らもそのノウハウは知っているでしょう。この私の涙も、彼らの思惑通りとみることも出来ます。しかしこのドキュメントはそれだけの値打ちなのでしょうか?その憶測は上の画像の、本人よりシャープなあご、ほっそりした二の腕、お腹に修正されたドリューを観るくらいの、些細なことだと思うのです。
この画像が実物とはかけ離れた美女に修正された私なら、ブライアンは見上げて憧れてくれるでしょうか?答えはノー。ブライアンはドリューの外見だけではなく、中身も愛しているのです。例え上手くお話が組み立てられているとしても、プレミアで壇上に上がるドリューに、見えない位置から力いっぱい手を振るブライアン、彼の真剣さに打たれて、激励の気持ちを込めて、別れ際ブライアンのリップにキスするフェイク・ドリュー、あれは真実だと思います。思わぬ幸運に照れる彼もまた真実。何よりドリューとデートすることで、「人に誇れるものを持ちたいんだ」というブライアンの心に嘘偽りがないのなら、私は他はすべてヤラセでも構いません。それが一番大切だと思うから。
しかし相手がドリューというのは、とっても効いていました。芸能界の名家に生まれ、子役スターとして脚光を浴びるも、酒やドラッグで一時は転落。再起不能もあったはずなのに、鮮やかに蘇り、スクリーンに戻ってきた彼女。自分の人生、こんなはずじゃなかったと思う多くの人に、彼女ほど希望を与える女性はいないから。
はてさて、ブライアンはドリューとデート出来たのか?その続きはどうぞ劇場でお確かめを。それではドリューの座右の銘を贈ります。
「リスクを冒さない生き方は、人生の浪費である」
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