ケイケイの映画日記
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2006年6月6日、「666」の昨日、ラインシネマで観て来ました。よその劇場は午後7時代一回こっきりのようですが、ラインシネマは2回上映で5時10分のを鑑賞。晩ご飯の用意をして準備万端出かけました。元作は確か中学の時に公開だったと思いますが、私が観たのは大昔のテレビ放映でした。今回観るにあたり、復習しようと思いましたが、ビデオ屋の会員期限が切れており断念。こういう時は地上波で放送して欲しいもんですよね。666が並ぶことでのいわばお祭り企画でしょうが、劇場は思わぬ超満員。映画オタ風、カップル、往年の映画ファン風、ノリで観に来た女子高生たち。そんな中おばちゃん一人観は、私くらいのモンでしたが。
イタリアに赴任中のアメリカの若き外交官ロバート・ソーン(リーヴ・シュライバー)の妻キャサリン(ジュリア・スタイルズ)が、6月6日午前6時に男の赤ちゃんを産みますが、死産。悲嘆にくれるロバートに、病院で知り合った神父が、同じ時期に生まれた男の赤ちゃんをみせ、ロバートに亡くなった子供の代わりに育てるよう頼みます。妻には内緒で了承したロバートは、ダミアンと名づけ大切に育てます。しかしダミアンの誕生会をきっかけに奇怪な事件が続発する中、ロバートにダミアンは悪魔の子だと申し出る、ブレナン神父(ピート・ポスルスウェイト)が表れます。
元作はオカルトブームが一段落した時分、大御所グレゴリー・ペック主演ということで、真打登場みたいに宣伝されていた記憶があります。当時60歳のペックは盛りを過ぎてはいるものの、往年の大俳優だというのは周知のことで、この手のホラーやオカルトものに付き物の、胡散臭さやいかがわしさを払拭するキャスティングでした。妻役のリー・レミックも中年に入っていましたが、「酒とバラの日々」など印象的な代表作もある美人女優です。
今回のリーヴ&ジュリアのキャスティングは、元作に比べれば小粒な感じは否めません。しかし平凡ですが誠実さは感じさせる人達でしたので、B級ゲテモノ感はありません。特にジュリアの方は健闘していたと思います。主役二人の小物感は、怖〜い乳母・ベイロック夫人にミア・ファロー、その他ポスルスウェイト、デビッド・シューリスなど、ちょっとクセのある役者で補おうとしたのだと思います。
特にファローは、「ローズマリーの赤ちゃん」というオカルト物の傑作主演作品があり、ラストに見せた自分の産んだ悪魔の子に対しての、母親としての微笑が怖くて切なくインパクト大だったので、ダミアンが自分の産んだ子ではないと苦しむジュリアとの対比になっており、ローズマリーが年を取ってベイロック夫人になったような錯覚をうみ、絶妙のキャスティングでした。でももうちょっと気持ち悪くても良かった気が。
ストーリーはある程度忠実にリメイクしていて、印象的だった斬殺シーンは少し変更になったのもあります。元作時は大層ショッキングな場面でしたが、オカルトブームが去った後やってきた、スプラッタムービーを経てしまった今では、ショックは希薄です。それと画像のシーンの、有名な自転車ギコギコのシーンなど、元作はもっと時間を取って、心理的に恐ろしさが盛り上がる頂点で惨事が起こりましたが、今作ではそこもあっさり。その他の惨事のシーンも、偉そうに言えば、もっと「ため」の演出があってもいいように感じました。恐怖心を煽る暇がなく、あっさり次に行き過ぎるのです。
ツッコミも少々。ベイロック夫人が手を下したある件は、あれでは不審過ぎ。すぐにバレバレです。ここは元作通りにガラス窓から突き落とす方が良かったかも。カメラマン役シューリスも、簡単に神父の日記が手に入って、もうちょっと説明があっても良いような。
肝心のダミアン君は、可もなく不可もなくというところ。ちょっと怪しすぎたかな?最初「ダミアーン!」と彼が呼ばれた時、そんな不吉な名前つけるから、惨劇が起こるのだろうが、と一瞬思いましたが、ダミアン=不吉というのは、「オーメン」から始まってるのをすっかり忘れておりました。そんな超有名作を、だいぶ小振りにはなっていますが、決して冒涜したという感じではありません。「666」が並ぶ1000年に一回を全世界同時公開にして楽しむために、「リメイクすることに意義がある」作品ではなかったかと思います。実際私も、「666」に「オーメン」を観るということに、ワクワクしちゃったんですから。
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