ケイケイの映画日記
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2006年05月03日(水) 「Vフォー・ヴェンデッタ」


ナタリー・ポートマンが坊主頭になったと、だいぶ前から話題の作品。私の最年長の映画友達に、76歳の患者さんがいらっしゃるのですが、「孫といっしょに試写会行ってきてん。よう(よく)わからんかったけど、面白かったよ。」とのこと。なるほどコミックが元なため、お話は荒唐無稽気味(脚本はあのウォシャオスキー兄弟)。それに反比例するような教養深さが必要な一面もあり。でも私もようわからんけど、面白かったです。

近未来のイギリスが舞台。指導者サトラー議長(ジョン・ハート)の元、独裁国家として世界中を牛耳っていました。若い女性イヴィー(ナタリー・ポートマン)は、夜間の外出禁止令を破ったところ、自警団に捕まります。その時仮面の男V(ヒューゴ・ウィーヴィング)が表れ、彼女を助けます。Vは国家転覆を狙うテロリストでした。自分の意思とは関係なしに、イヴィーはVと行動を共にする羽目になってしまいます。

Vの元となっているのは1605年、イギリスの国会議事堂爆破を狙い、翌年の11月5日に処刑されたガイ・フォークスがモデルになっており、冒頭説明があります。イギリスでは有名なお話なんでしょうね。Vを演じるのは「マトリックス」シリーズで有名なウィーヴィングが、素顔を最後まで隠して演じていますが、これがカッコいい!剣さばきや立ち回り、クールで教養溢れた様子など、これは結構萌える人も出てくるじゃないでしょうか?素顔なしでは役者としておいしくないですよね?それを引き受けるなんて男気あるなぁ、ということで素顔をチラッとご紹介。




















左がご存知エージェント・スミス仕様ですが、最近の髭のある方が300倍くらい素敵ですよね?ね?(個人的男の趣味)。

Vがどんな人か大まかな経緯しかわからず、あんなに大掛かりな仕掛けをするのは、さぞお金が必要だと思うのですが、どんな風に生きてきたかその辺は全然説明なし。超人的な身体能力に関しても、ある事件がきっかけとはわかりますが、この辺も説明なし。しかし独裁政権をナチスになぞらえて描いているので、受動的に心がすぐ反応してしまい、大量の殺戮を繰り返すテロリストにもかかわらず、Vには同情心が素直に湧いてきます。

ある秘密を抱えてひっそり生きてきたイヴィーが、Vと行動を共にするようになり彼に影響されて、やがて意気地なしの自分を自覚。次第に心が研ぎ澄まされ、凛々しくも清々しく成長する過程も、無理なく描いています。これはナタリーの演技はもちろん、彼女の整っている容姿も貢献しています。スキンヘッドの形の良い頭、痩せて次第に鋭角的になっていく顔の輪郭、射るような眼差しなど、次第に凄みのある知的な風貌に変わっていくのが印象的でした。

Vの屋敷の豪華な美術品、多用されるシェークスピアのセリフなど(ここはのちにウルウルくる仕掛けあり)、私は残念ながら教養薄く、「そーなんですか」と目や耳に流れてしまいましたが、その辺に詳しい方が観れば、この辺も興味深いかと思います。

華々しくも切ないラストへ向かう過程は、見応え且つカタルシスがあり、えっ?おかしいやんのあんなとこ、こんなとこの数々も、水に流していいと思わすものがありました。テーマ的には目新しいものではありませんが、世界を見渡せば、まだまだ人民が解放されていない国々があり、ちょろっとそういうことにも、想いを馳せます。元のコミックも読みたくなりました。


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