ケイケイの映画日記
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2005年10月04日(火) 「シン・シティ」


先週の日曜日に、道頓堀の角座で観て来ました(またタダ券)。予定通りなら今日が手術日で、この作品は体調が良ければ観るけど、多分見送りだろうなぁと思っていた作品。予告編を観て面白そうオーラ全開だったので、カッカきている頭を冷やすのにちょうどいいさと鑑賞しました。が・・・。う〜ん、好きな人ははまって絶賛する作品でしょうが、私はあんまり気分良くありませんでした。

罪の街・「シン・シティ」で繰り広げられる三つのお話から成り立っています。1話目は定年間近な刑事ハーディガン(ブルース・ウィリス)は、連続少女暴行殺人犯が、街の実力者の息子だと突き止め、囚われている少女を助けに行きますが、銃で撃たれてしまうのですが・・・。2話は屈強な体と醜い容姿から女性から一度も愛されたことがないマーヴ(ミッキ・ローク)が、一夜の愛を捧げてくれた娼婦ゴールディを殺した相手に復讐するお話。
3話は何かの罪から逃れるため、顔を変えてシン・シティに潜むドワイト(クライブ・オーエン)。昔の恋人ゲイルが仲間の娼婦とともに刑事を殺したため、追われるだけでなく街が無法地帯に逆戻りすると知り、一肌脱ぐことにします。

この三つのお話が少しずつ絡み合い、段々と全容がわかるようになっていますが、一つずつの短編として観ても、展開は早いし、適当に挿入されるユーモアや筋も確かに面白いです。全編モノクロ画面で、パートカラーになっており、パートの赤や黄色が鮮やかで、非常に目に焼きつきます。首が飛んだり、車に引かれたり、血しぶきがあがったりの連続のバイオレンス物ですが、モノクロのせいか、そんなにグロクはありません。

しかしグロくはないけどエグいです。シルエットですが、犬に人肉を食べさせたり、手足が切り刻まれても薄ら笑いを浮かべたり、死刑執行シーンの見せ方も執拗だったりで、ファーストシーン、ジョシュ・ハートネットと美しい女性の気の利いた会話から、どんな斬新なバイオレンス作品が始まるのかと、期待に包まれたのですが、進むに連れてこっちのテンションは段々下がる一方です。

私が一番いやだったのは、平気で女を殺したり殴ったり、レイプ犯が幼い少女が対象だったりするところです。特にムカッときたのは、ドワイトが口答えするゲイルに一発頬を張るのですが、その直後ゲイルは、「やっぱり私が惚れた男」とばかり、嫣然と笑って自分からキスしにいくところです。わかるわぁ〜という大人の女性もおられるでしょうが、こちとら成熟する前に枯れてしまった身、こんなことは絶対にありえん!こういうの、私は安手の男のロマンだと思いますが。

確かに彼らを懲らしめるシーンもあるのですが、爽快感を感じるはずの銃撃戦では、全裸に近い半裸のお姉ちゃんばっかりなので、女の私は胃にもたれます。というか、女性はデヴォン・青木以外は、みんなこんな格好でした。「スパイキッズ」のママ、カーラ・グギノなどおっぱいかお尻を見せている時間の方が長いです。マーヴから「そそる体」と言われますが、確かにエッチなボディ。いやびっくりしました。

ドワイトのパートは思い起こす方も多いと思うのですが、この作品の監督ロバート・ロドリゲスとは作風が違いすぎるし、比べるのは愚の骨頂、それは百も承知なのですが、ペキンパーの「ガルシアの首」が浮かびました。虫けらのような底辺の男のありったけの底力を見せられ、カタルシスと共に胸を熱くしながら、腐っても男は男、やっぱり男の人には勝てないなぁと、女の私もしみじみ感じた「ガルシアの首」に対し、こちらは男の純情が全編を貫き、闘争本能や綺麗なお姉ちゃんの裸などで、夢のような男性のロマンを、ゴージャスに「悪趣味」に描く、縦横斜め、どこを取っても男性向きの作品に思えました。しかしこれが好きな男性を、私は嫌いではありませんので、念のため。

あの俳優、この俳優がびっくりの役で出てくるのはお楽しみです。役者はみんな良かったです。印象に残ったのはミッキー・ローク。醜いメイクは昔「ジョニー・ハンサム」でやってましたが、あれよりマッチョな分、哀愁が漂います。それとイライジャ・ウッド。仕事選ばないとアンソニー・パーキンスみたいになるよ。最後にベニチオ・デル・トロ。あなたは仕事を選ばず何でもやって下さい。いつもマックスで期待してます。


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