ケイケイの映画日記
目次過去未来


2005年04月24日(日) 「コンスタンティン」


今日息子と観てきました。先週観る予定が息子の風邪で順延。おかげで「シャル・ウイ・ダンス」やら「ハイド・アンド・シーク」やらの上映開始と重なってしまい、またイケイケドンドン状態です。(その前に染様に会わねば!)。予告編を観て、こりゃホラー版マトリックスだなと思ったのは私だけではありますまい。しかしあれは嘘つきなのだ。娯楽作の形を取りながら、真面目にキリスト教の宗教観を前面に持ってきて、地獄を恐れる信者さんの心理を深ーく描いておいででした。

ジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)は、ヘビースモーカーがたたって肺がんで余命1年。幼い時から悪魔が見える彼は、そのせいでしょうか、20年前に自殺を図り命を取り留めています。今はその能力を生かして悪魔祓いをしています。それはキリスト教では大罪である自殺を犯したため、地獄へ行くことを避けたい彼の贖罪の意味も含まれています。ある日双子の妹イザベルの死が自殺とは信じられない姉の刑事アンジェラ(レイチェル・ワイズ二役)が彼を訪ねます。今生の世界の微妙な変化に気づいていたコンスタンティンは、その秘密がアンジェラにあると確信し、彼女と行動を共にします。

冒頭こそ謎の剣を手にした男、「エクソシスト」ばりに、悪魔が取り付いた少女をキアヌが追っ払うシーンや、それを彼に依頼した神父が、恐れ多くも自分をジョン・キューザックだと思い込んだ「アイデンティティー」のおっちゃん(プルイット・テーラー・ヴィンス)だったもんで、てっきりど派手にCGを使いまくって、面白おかしく見せてくれるのだと思いきや、教会での懺悔、自殺は大罪などなど、キリスト教の教えをかいつまんだシチュエーションがてんこ盛り。罪を犯した者はどうすれば天国に行けるか?などの宗教哲学的な問答などもあり、こりゃキリスト教の知識に乏しいと、作品の描く世界観に乗り遅れるかもと危惧してしまいました。

実際、欧米人には常識的な事柄なのでしょうが、日本に住む身にはわかりにくいところも多々ありますが、常識的な知識で上っ面くらいはクリア出来ます。やっぱりそのわかりにくさと辛気臭さを救うのはキアヌのかっこ良さ。「スピード」「マトリックスシリーズ」など大ヒット作にも恵まれ、貫禄とカリスマ性をも感じさせるスターのオーラがあります。40歳を過ぎた現在は渋さも加わった感があり、この作品でも役どころによる不健康の中のセックスアピールも感じさせ、彼を見ているだけでも元は取れます。キアヌ大根説は根強いですが、私はたとえ大根でもこれだけ人を(女性か?)惹きつけるもんがありゃ、それでOKだと思うのですが。

ただ世界観のスケールは大きいのですが、至って地味な作りです。予告編以上のアクション場面はなく、それを期待する方にはがっかりかと思います。最初キアヌを慕う若い運転手君がどう絡むのかと思っていましたが、なかなか好感の持てる描き方で良かったです。レイチェル・ワイズは大ヒット「ハムラプトラ」シリーズは、バカバカしくてもう出たくないそうですが(私はいいと思うけどなぁー)、五十歩百歩だと思っていたこの作品に出たのは何故かしら?と思っていましたが、なるほど題材と作りの真面目さが気に入ったのね。やっぱりインテリは違います(ケンブリッジ卒)。体張って頑張っていました。もうひとりのケンブリッジ卒のティルダ・スウィントンは、天使ガブリエルを彷彿させる役柄で(役目もガブリエル)、確かガブリエルは中性のように描かれることが多いと思いますが、胸にさらしみたいなのを巻いたり、男物のスーツを着たり、とってもそれらしい雰囲気です。彼女の存在は作品を盛り上げていたと思います。

ツッコミではワイズは刑事役ですが、必然性はなかったかと思いますし、キアヌが愛煙家のため肺がんは、もっと必要なし。あんなに煙草をくゆらして決まっているのに、こりゃ酷だと思いました。劇中15歳から日に30本と出てきますが、これは悪魔を見てしまう辛さからの逃避が煙草だったのかなと思いました。アル中になるよりましだと思いますが、アメリカの嫌煙運動を垣間見た気がします。

結論の「神の御心のまま」をしっかり受け止めるのに、キリスト教の人は日々修行されているのですかね。そこには煩悩も葛藤もありということで。私は新東宝の「地獄」を観たばかりですが、どんな宗教も天国or極楽浄土に行くには大変なようです。ちょっと期待した向きとは違いましたが、面白いというより興味深く観られました。いっしょに観た末っ子@中1にわかったかと聞くと、「わかるわけないやん。」と当然の答え。でも悪くはなかったそうです。エンドクレジットの後に映像あり。続編は作られること必死と感じましたが、次はきっとド派手の予感。


ケイケイ |MAILHomePage