♀つきなみ♀日記
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2005年04月05日(火) ランドセルと黄色い帽子

何組かって、お知らせが来た日に
私はせがんで、すぐに名札に書いてもらった。

皮の香りがほのかにするランドセルにも
1年3組****の名前を入れてもらって
真新しい学習机の上には、
教科書や文房具やいろんな新しい物が並んでいて
まだ知らない、楽しそうなことが溢れていた。

幼稚園のときとは形の違う
黄色い通学帽子にも名前が入って
だめだよって言われていたのに
折れないように、皺が付かないように
セーターの背中に隠して、こっそりでかけた。

横丁の角を曲がって、後ろを振り返り
そっと取り出して、帽子をかぶってみる。

もう小学生なんだなって嬉しくて
スキップしながら、本通りへ向かう。

顔見知りの人に会わないかなぁ、
あったら、もう、小学生なんだなって
思ってもらえるかな、なんて
弾む気持ちで、本通りに出る。

ガーッて、大きな音がして、
目の前を大きなダンプカーが通り過ぎ
風に巻かれて、ゴムひもを顎にかけていなかった
大切な黄色い帽子は、飛んでいった。


しゃくりあげながら、汚れてしまった帽子を持ち
叱られるだろうって思いながら、玄関に立つ。

帽子を見て、私を見て、母は何も言わずに
抱きしめてくれた。



入学式の日、ランドセルを背負って
手を大きく振って、家を出る。
洗ってから糊をつけたので少しカパカパになって
色も薄い帽子を、私は、かぶっていた。

幼稚園児の私なら、みんなと何かが違っていたら
きっと恥ずかしくって嫌だったけど
その時、嫌じゃないのが、なんだか嬉しかったことを
思い出した。





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