2004年07月22日(木) |
「わかる」ということ |
先日生徒が一人、ピティナのA1級を経験しました。 惜しくも予選落ちしてしまいましたが、 当初目標にしていた以上の点数がもらえた上に、 予想以上に成長してくれ嬉しく思っています。
もともとコンペには疑問があった私ですが、 コンペも利用する側の気持ち次第!を体験したといった感じです。 今回の目的は、これまでやってきたことの「地固め」でした。 とことん曲を仕上げることによって、 今まで習ってきた様々なことをしっかり身に付けて欲しかったのです。 ピティナの課題曲は、選曲が非常に考えられたもので、 課題曲すべて練習するだけで、 どれだけ意義のあることか!といったものばかり。 そういった曲をとことん仕上げることで、 しっかりとした地固めができたと思っています。
一番成長を感じたのは「わかる」ということです。 レッスン最後の方では、 「拍子感とノリが悪いんだよね〜」なんて自分から言ってきてくれたりして、 あまりの成長に本当に驚かされました。
コンペ後、成長した点を具体的に伝え褒めてあげた後、 このコンペでのことを振り返り、今後の目標を考える機会を設けました。 プリントを作成して、お母さんと考えてきてね、と。
今日お母さんから聞いたこと。 自分のビデオを見ながら、 「思ったよりクレッシェンドが出来ていない。」 「思ったよりフォルテやピアノが出来ていない。」 などなど、自分で自分の演奏を分析してくれたそうです。 コンペ前にはなかったことで、 たくさんのことを「わかる」ようになったからなのだと思います。
教えられたことをそのまま表現するのではなく、 表現するために必要なこと、それが「わかる」ようになった。 これが一番の成長です。 表現するってどういうことなのか具体的にわかっていないと、 「自分はどう表現したいのか」 ということを具体的に音にすることはできません。 また、いい音楽、いい音色を知らないと、 それを追求することもできません。
15年後を見据えてのレッスン。 私は本人が理解するということ、にかなりの重きを置いています。 どんなに小さな子でも「わかる」と嬉しいし、楽しい。 わからないまま、ただ言われるがままにレッスンを受けるのではなく、 理解力を持って自発的なレッスンにしていきたい。 「わかる」ことが多ければ多いほど、 「こうしたい」という意思は強くなるし、 練習する意味合いも強くなり、結果生きた練習が可能になります。 そして、最終的に「自分の音楽」が昇華していくのだと思います。
「わかる」ことを前提とした耳で、いろんな音楽を聴いてもらいたい。 そして、どんどんどんどん耳を養って、 どんどんどんどん表現の幅を広げていってもらいたい。 「わかる」ということは、 それだけ多くのことを吸収できるようになるということ。 1年前に同じ演奏を聴いても吸収できなかっただろうことが、 今の彼女になら吸収できることがたくさんあります。
コンペって、本当に使いようだなを実感した数ヶ月でした。 世の中には、いろんなスタンスのいろんなレヴェルのコンペがあります。 それぞれの子に合ったコンペを、 それぞれの子に合った目的で利用していきたい。 そんな風に思えるようになりました。
そして、私も今回の経験で、 いろぉんなことが「わかる」ようになりました。 こういった基本的なことを振り返る機会を与えられると、 自分自身の演奏にも反映されてきます。 本当に有意義な数ヶ月でした♪
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