感傷的になるのは勝手だが、いつまでもそれに浸っていると進めないだけでなく、破滅へと追いやられる。繊細さゆえに感じる、感傷は何も生み出さない。感傷的な詩や歌があっても、それは哀傷がいつしか時に彩られ一種の美を備えた記憶となり、感傷を抱いたことそれ自身に対する歓喜をも伴ったときに描かれてものであり、感傷それ自体から直接生まれたものではない。センチメンタリストを私は信じない。ちょうど、旅立とうとしていたそのときに、ルディから一通の手紙を受け取る。なんだかんだ言っても、現実は面白い。どこを向いても、そこには駆け回る人たちで一杯。