世界征服日記…TITAN2


世界征服日記
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2001年01月31日(水):冷暖房
今日は比較的暖かだった。
いつまでも布団の中でくつろいでいたいような、
いい陽気だった。
冬ともなれば寒さに弱い俺様は、暖かなところを
探してまわる。
ファンヒーターの前、日溜まり、ホットカーペットの上
そして、布団の中。
MILETは俺様以上に寒がりだ。
冬になると、布団からなかなか出てこない。
では、暑い盛りはどうかといえば…
クーラーの利いた部屋から、一歩も出なくなる。
対して俺様は、あまりクーラーは好きではない。
自然の風の方が心地よい。
陋屋のある街は海に近いので、夏は潮風が吹く。
その匂いを嗅ぐのが、俺様は好きだ。
もちろん、クーラーなしの気温には限度がある。
三十度を超える猛暑になれば、当然クーラーが必要だ。
そういうときは、MILETに内緒でクーラーを入れる。
リモコンのスイッチを押すと「ぴっ」という音がして、
クーラーから涼しい風が吹いてくるのだ。
冬のファンヒーターは、そういうわけにはいかない。
クーラーと違って、MILETが俺様をそばに寄せ付けないからだ。
危ないからだ、といっている。
確かに、「とおゆ」とやらがなくなっても、俺様が給油できる
わけではない。
あんなイヤな匂いのするものに、触るなんてどうかしている。
もっとも、アレがなければファンヒーターは点かないらしいが。
俺様がファンヒーターの前で心地よく寝ているとき、
MILETがスイッチを切ることがある。
俺様が抗議の声を上げると
「上のストーブつけたらね。上においで」
と、俺様に言う。
俺様は、ここで寝ていたいのに。
だが、そういうときのMILETは毅然としていて、とても反抗できる
雰囲気ではない。
かといって、ほいほいMILETの後を追うと思ったら間違いだ。
俺様はわざと寒い部屋でそのまま寝続ける。
そのうち、MILETが負けて俺様を抱き上げて二階に連れて行くか、
俺様のそばのファンヒーターに火を入れるだろう。
まぁ、夜寝るときは大人しく従うがね…
布団をMILETの相方から略奪しなくてはならないからな。



2001年02月01日(木):イツモ
人にはクセがある。
なくて七癖とはよく言ったものだ。
俺様にもクセがあるらしい。
それは布団に潜り込むとき、前足で寝床を整えるとか、
じゃれるときに左前足の方を先に出すとか。
そういったことだ。
それがMILETには可笑しいらしい。
失敬な話だ。
自分だって、七癖どころではないほど
沢山の癖を持っているのにも係わらず、だ。
例を挙げるとキリはないが、顕著なのを一つ暴露しよう。
俺様が見ていないと思って、ヤツは油断している。
だが、こっちはじっくり観察しているっていうわけだ。
そのクセとは…
独り言を言うことだ。
それがかなり怪しい。
どうも小説のネタを考えているらしいのだが、黙って
思索すればよいというのに、MILETは口に出さないと考えが
まとまらないらしいのだ。
風呂に入っていようと、トイレの中だろうと、はたまた
眠っているときでも…
「このとき先生はあれだから、やっぱりあの時のあれを使うか」
とか
「伊右衛門のところに少女が現れて…いや、女かなぁ」
とか。
ぶつぶつ呟いているのだ。
ひとりごとに夢中になると、何も手に付かなくなる。
それも困ったものだ。
それが、毎日頻繁なのだ。
本人は無意識らしい。
…だから、友達が少ないのだろうか。
MILETの相方は知らないらしいが…あの男も鈍感なものだ。



2001年02月03日(土):フード
みなさんはどんな食事がお好きだろうか。
俺様は意外かと思われるかもしれないが
ドライフードが好きである。
あの歯応えが、堪らなく好きなのだ。
それに、鰹節をまぶしていただければ申し分ない。
だが、どんなフードでも良いというわけではない。
俺様はこう見えても食事に関してはストイックだ。
缶詰のフードもたまにはよいが、いつもでは飽きる。
仔猫の時、さんざん食べたからかもしれない。
その所為で、今や人間どもが缶詰の蓋を開けるたびに
ついつい、期待してしまうようになった。
俺様用の缶詰は人間どものものより、
数倍値が張るらしい。
ま、あんまり食べないから、どうということはあるまい。
話を元に戻そう。
俺様は「ヘアボールコントロール」用なるドライフードは
嫌いである。
なんでも、普通のものよりかなり高価だということだが、
あの味でそんなに高いとは暴利も良いところだ。
まずい、臭い、歯応えが悪いの三拍子が揃っている。
なんでそんなものを、俺様が食べなければならないのだ?
答えは俺様の胃にあるようだ。
俺様は、元々胃弱である。
医者がいうには「神経性のもの」だそうだ。
俺様が柄に似合わず繊細だと、あの医者は悟ったらしい。
余計なことをMILETに言ったものだ。
おかげで、俺様はくそまずい飯を食う羽目になった。
陋屋近辺では、幸いにも「ヘアボールコントロール」は
売っていない。
食料が底をつくと、近所のスーパーやコンビニで
俺様の食事を用意することになるのだが、
その時は俺様の好みにあったドライフードを購入する。
「売ってないのだから、仕方ない」と言い訳しつつ、
MILETは俺様に食事の支度をする。
俺様の好きなフードは「ヘアボールコントロール」の
半額だ。
安くて旨いのだから、そっちにして貰いたいものだ。
俺様の健康を気遣ってくれるのは結構なことだ。
だが、俺様の好みにも気を遣ってもらいたい。



2001年02月04日(日):桜咲く
今日は熱海の方までドライブに行った。
本当は山中湖へ行くはずだったのだが…
俺様の具合が悪くなったので、途中で引き返した。
時々俺様は、急に勘が鋭くなる。
そういうときは攻撃性が増す。
つい、MILETの相方に攻撃的になってしまうのだ。
そんな俺様をMILETは抱き上げると、頭を撫でる。
そして、哀しそうに呟くのだ。
「お前の言いたいことが分からないよ」
俺様も、時々分からなくなる。
目の前が真っ赤になって、何がなんだか…
今日もその発作が出てしまった。
おかげで、楽しいはずのドライブが苦渋の道行きに
なってしまった。
熱海は梅祭りが行われていて、道が大変混雑していた。
咲競う梅…
良い香りである。
その梅に混じって桜が咲いていた。
狂い咲きと思いきや、一本二本ではない桜の木に
見事に花が咲いている。
なんでも、熱海には温泉が沸くので地面が暖かいそうだ。
その所為で、桜が早く咲くのだという。
早咲きの桜を横目にしながら、MILETの顔は哀しそうだった。



2001年02月05日(月):春の香
立春が過ぎた。
暦の上では春だ。
そして、俺様の体も春を告げる。
俺様は子孫を残さないようにしてしまった。
だが、体の中に流れている血が
春を教えてくれる。
そのせいだろうか。
どうも最近、自分でも落ち着きがないとおもう。
突然、目の前が真っ赤になるのも
その所為かもしれない。
今日は朝早くに、ベランダに出た。
日が登り切れていない時間。
ベランダにはうっすらと日が差している。
春とはほど遠い、冷たい日差しだ。
俺様はすぐに部屋に戻った。
MILETは昨夜からMacの前に座り続けている。
仕事らしい。
時間配分が下手なのだ。
だからこうして、時々徹夜している。
そして、昼近くになって
太陽が部屋いっぱいに日差しを届けてくれる。
やはり、春なのだ。
日差しが部屋の奥まで入らなくなっている。
それでも、充分暖かい。
俺様は昼夜逆転したMILETとともに、
春日の中でまどろんだ。
今日は平和な一日だった。



2001年02月06日(火):息抜き
MILETは息抜きの合間に人生をやっているそうだ。
だが、そんなMILETも時にはまじめに仕事をする。
今日もまじめに仕事に取り組んでいた。
ヤツの悪いところは、切り上げると言う言葉を
知らないことだ。
やり始めたら最後、その作業が終わるまでは
休憩すらしない。
食事はおろか、眠ることも忘れるのだ。
今日もそうなりそうな勢いだった。
そこで、俺様はMILETの気を惹いて
ヤツを休憩させることにした。
まず、引きつけるために隣の部屋で暴れてみた。
…反応はない。
次ぎに、ヤツの足下で「魅惑的な表情」攻撃。
…頭を撫でたに留まった。
最後に、俺様のオモチャを足下に置いた。
「なに?遊びたいの?忙しいんだよ」
そういいつつ、MILETは立ち上がると
オモチャを手に、隣の部屋へ行く。
俺様はMILETの誘いに乗った振りをして、
一暴れした。
休憩を入れたMILETは満足げに作業に戻った。
俺様は暴れたりなかったので、しばらく一人で
暴れていた。
だが、それにも飽きたので、一眠りしたが…
MILETは大人しく仕事に励んでいたらしい。
時には仕事を忘れることも大切だ。



2001年02月07日(水):虚栄心
誰だって自分を良く見せたい。
人間どもは特にその思いが強い。
犬には虚栄心はないらしい。
猫には有る。
俺様はかなり強い方だ。
俺様の場合、相手に隙を与えないように
虚栄心が逞しくなった。
必要悪とでも言おうか。
自然体でいられるのが、理想かもしれない。
だが、こちらが隙を見せると
相手はつけあがってくるのだ。
MILET相手に虚栄をはっているのは
MILETにバカにされないためである。
俺様の手記を読んでいただいた方には
おわかりだろう。
MILETは時々、何もかもを見透かしたように
俺様と接するのだ。
もちろん、分かっていない事の方が多い。
だがMILETの相方に比べれば、分かっている方だろう。
その程度だ。
だからといって、油断は禁物である。
女というのは、常に相手を窺って支配しようと
目論んでいるからだ。
支配するのは俺様であるべきで、MILETではない。
いわば俺様の地位を保つためには、多少の虚栄心も
必要というわけである。







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