東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ“マーニ”を始めた水縞尚(大泉洋)とりえ(原田知世)の夫婦。 尚がパンを焼き、りえがそれに合うコーヒーを淹れ、料理を作る。 そこには色々なお客がやってくる。 北海道から出られない青年、時生(平岡祐太)、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家、陽子(余貴美子)、口をきかない少女、未久(八木優希)と父親(光石研)、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部(あがた森魚)、沖縄旅行をすっぽかされた傷心の香織(森カンナ)、そして、想い出の地に再びやってきた老夫婦(中村嘉葎雄&渡辺美佐子)。 それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた心の中の“しあわせ”とは。。。
私は、「まったり」とか「ほっこり」という言葉があまり好きではありません。
一言で言うと、そんな映画でした。
映画だから、ある程度のフィクション性や非現実的な描写はありだと思う。 でも、ここまでファンタジー過ぎると…。
「この夫婦はいったいどうやって生計を立てているのだろう?」とか。 「お客さんはどうやって来るんだろう?」とか。 「生活は成り立つんだろうか?」とか。 …etc…
スクリーンに映し出される、非現実的な世界を見れば見るほど、ものすごく現実的なことばかりが思い浮かんできてしまい…。 なんとなーく冷めてしまった。
こちらでは少々遅れて公開が始まり、「やっと公開された!」と期待もあったので、ちょっと残念な作品だったなぁ。
ただ、朝ドラ『おひさま』で母娘役だった、2人が(原田知世&八木優希)再び見れたので、それは良かったかな。 『おひさま』での2人のシーンとは全然違う役だったし。 渡辺美佐子さんも、実は『おひさま』に出演していて、原田知世さんの母親役だったので、「祖母・母・娘の3代が揃ったなぁ」と思いながら見ていた人は多かったかも?!
先日、いつも聞いているNHKラジオ『ラジオビタミン』に監督の三島さんがゲストに出ていて、「スクリーンから(食べ物の)匂いを出せないから、撮り方を工夫した」「料理を上から撮るようにした」と言っていたけど、音や湯気を意識的にあらわしていて、料理を映す場面はほぼ全部、真上から撮られていた。
お料理を美味しく見せるのも技がいるよね。
<<昨日は『ものすごくうるさくてありえないほど近い』 ■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『ハートブレイカー』
2012年02月22日(水) |
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 |
9.11同時多発テロで父を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)は、父(トム・ハンクス)の突然の死を受け入れられずに日々を過ごしていた。 そんなある日、彼は父の部屋のクローゼットで、封筒の中に1本の“鍵”を見つける。 この鍵は父が残したメッセージかも知れない。 心配する母(サンドラ・ブロック)をよそに、オスカーはその鍵の謎を探しに、ニューヨークの街へと飛び出した。。。
私が今1番好きな監督。 スティーヴン・ダルドリー。 期待以上のデキ! お見事! 素晴らしい作品でした。
予告を見た時、トーマス・ホーンくんは「どことなく(リトルダンサー当時の)ジェイミー・ベルくんを彷彿とさせる雰囲気だなぁ」と思っていたけど、孤独感や悔しさを表す演技や眼差しがどことなく似ていた。
(撮影時)13歳の少年の子供っぽさとみずみずしさと屈託さと、全部の魅力を全部スクリーンにおさめていたように思います。
見る前、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」ってどういう意味なんだろう?と思っていたけど、私は、6番目の留守番電話のシーンに登場する電話のベルの音のことじゃないかな?と解釈しました。
オスカーのすぐそばに電話があって、けたたましく鳴っている電話。 その電話が意味するモノ(コト)を、オスカーは全部分かっているけど、どちらにも行動がとれない気持ち。
ただただ、電話のベルだけが「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」その事実だけ。 その状況だけを説明する言葉が、「事実」ということ。
あの場面は、トーマスくんも、間借り人役のマックス・フォン・シドーも迫真の演技でした。
9.11で父親を亡くした話しということで、もう少し「お涙頂戴」的な、ひたすら悲劇や悲しみを描いた作品かと思っていたけれど、オスカーの行動力や祖母と間借り人との交流など、本当に上手く出来たストーリーでした。
ラストシーンは、未来に向かって跳び出すオスカーかな。
<<昨日は『キツツキと雨』 ■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『しあわせのパン』
山師の岸克彦(役所広司)は、早朝から仲間と山林に入り、木々を伐採して生計を立てていた。 妻に先立たれ、今は息子の浩一(高良健吾)と2人暮らし。 定職に就かずにふらふらしている浩一に、克彦は憤りを覚えていた。 ある朝、田舎道を行く克彦は、車が溝にはまって立ち往生している2人を発見する。 ゾンビ映画の撮影にやってきた映画監督の田辺幸一(小栗旬)と鳥居(古舘寛治)だった。 なりゆきから、2人を撮影現場まで案内することになった克彦は、そのままゾンビのメイクでエキストラ出演する羽目になる。 現場では、大勢のスタッフやキャストから質問攻めにあい、頭が混乱して昏倒してしまう幸一。 父親が買ってきたビデオカメラをきっかけに、映画を撮り始めるようになったことを語る。 しかし、実家の旅館を継がなかったことで、父親は後悔しているだろうと。 克彦は“後悔なんかしてねえよ。自分の買ってきたカメラが息子の人生を変えたんだ。嬉しくてしょうがねえだろうよ。”と幸一を諭すのだった。 やがて克彦は積極的に撮影を手伝うようになり、撮影隊と村人たちとの間に、少しずつ一体感が生まれてゆく。。。
役所さんの「木こり」っぷりにあっぱれでした!!!
冒頭から、克彦の仕事のシーンが続きますが、チェーンソーで木を切り、木によじ登って枝を伐採する様子は、林業に携わる人の「1日密着」みたいな感じで、山の自然に役所さんの自然な演技。 自然+自然! すぐひきこまれました。
対する小栗くんは、顔をあげてしゃべるシーンより、俯いて「すみません」と謝っているシーンの方が多いんじゃないかな? 自信がなく、自分の意見がなく、オロオロ、おどおど…。
最初は、もの凄く頼りない青年監督なんだけど、終盤、山崎努さん演じるベテラン大御所俳優に何カットも撮り直しを要求する場面では、克彦と出会って、少しずつ自分の道を進んでいく積極性が表現されていて良かった。
山崎さんは、このシーンがメインのシーンで、出番は少ないんだけど、とーっても良い味出していました。
助監督役の古舘寛治さんや、カメラマン役の嶋田久作さんも良かったなぁ。
あと、劇中のゾンビ映画の主演2人、平田満さん&臼田あさ美ちゃんも。 (あの映画はB級どころかC級?D級???)
私自身も田舎住まいなので(この映画のような山間地ではないけど)都会のキラキラしたようなものに興味をそそられる気持ちはよく分かる。
林業を営む克彦は、普段(林業仲間は居るとはいえ)人間相手に仕事をしていません。
「人」と触れ合って様々なものを発見したり、自分の考え方が変わったり…影響を受けることって、人間、いくつになっても起こりうるんだなぁと思いました。
あと、我が家の朝ごはんはパンなので、「たまには御飯もいいのかなぁ」なんて思った食事シーンでした。
<<昨日は『きみはペット』 ■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『ものすごくうるさくてありえないほど近い』
ファッション雑誌の編集者、チ・ウニ(キム・ハヌル)は、仕事で左遷されたり、友達は子育てや結婚の話ばかりでうんざりしていた。 ある日、ウニは自宅のバスルームに見知らぬ男の子がいるのを見つける。 彼はカン・イノ(チャン・グンソク)という名前のダンサーで、イギリス留学中にプリマドンナに大怪我をさせたことを悔やみ続けていた。 ウニの弟ウンス(チェ・ジョンフン)が、家を追い出されたイノを泊めて部屋代を稼ごうと連れてきたのだ。 ウニは反対するが、雨の夜、家の前で段ボールに入って待っていたイノを家に入れてしまう。 リビングに飾られていたモモの写真を見たイノは、自分がペットになるとウニに告げる。 ウニは呆れながらも了承し、2人の同居生活がスタート。。。
この作品、日本の漫画が原作で、更にドラマ化もされていたんですね。 全然知らなかった…。
ずーっと前からキム・ハヌルちゃん大ファンの私…チャン・グンソクお目当ての韓流おばさまに囲まれて見て来ました。
久し振りに見るキム・ハヌルちゃんは、「オネエサンぽくなったなぁ」というのが第一印象。
実年齢、私より1つ歳下だから(オネエサンというより、オバサンの域…)当たり前といえば当たり前なんだけど。 彼女には、いつまでも明るくてみずみずしいイメージがあるから、部下を持つキャリアウーマンの役は、「こんなオネエサンぽい役をやるようになったんだなぁ」と、なんだかしみじみ。
物語の設定自体が非現実的で、ほとんどファンタジーの世界なので、ウニが、モモと先輩との間で揺れ動く過程が、後半の後半ぐらいからしか描かれていなくて、その辺がチョット物足りなかった感はあったけど、主演2人の魅力は全開だんたんじゃないかな。
キム・ハヌルちゃんが着こなすファッションが凄くステキで! 様々な洋服を着こなす様子も楽しめた。 とってもキュート! 彼女は、特別「美人」な顔ではないのに、あの独特の雰囲気とオーラ。 本当に魅力的な女優さんだね。
しかし、「あんなファッション会社に行くわけがない!」というのは置いておいて…。 女性はあんなに下半身を冷やしてはダメだよ。 それが気になって気になって(苦笑)。
後半の1部シーンは、「チャン・グンソクPV」化していたけど、ごめん、やっぱり私はキム・ハヌルちゃんしか目に入らなかったわ。
でも、チャン・グンソクが歌って踊る音楽は、耳に残るポップなメロディーで良い感じでした♪
<<昨日は『ペントハウス』 ■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『キツツキと雨』
マンハッタンにそびえる65階建ての超高級マンション“ザ・タワー”。 管理マネージャーのジョシュ・コヴァックス(ベン・スティラー)が、居住者への最上級のサービスを取り仕切っている。 ある日、ペントハウスに暮らすウォール街の大富豪アーサー・ショウ(アラン・アルダ)が証券詐欺罪でFBI逮捕された。 ショウを尊敬していたジョシュは、裏切られた思いを隠せない。 しかもショウは、ザ・タワーの従業員の年金運用を請け負い、そのお金を私的流用していた。 ジョシュはショウのもとに乗り込むが、謝罪もせず開き直るショウに怒りを爆発させ、リビングに飾られたフェラーリをゴルフクラブで叩き壊す。 総支配人からクビを言い渡されたジョシュだったが、FBI捜査官クレア(ティア・レオーニ)から、ショウが逃亡資金として用意していたはずの隠し金20億円が見つからないという情報を得る。 ペントハウスの壁に埋め込まれた金庫に金があると睨んだジョシュは、コンシェルジュのチャーリー(ケイシー・アフレック)、新米エレベーター・ボーイのエンリケ(マイケル・ペーニャ)、ザ・タワーを強制退去させられたウォール街の負け犬フィッツヒュー(マシュー・ブロデリック)、幼なじみの泥棒スライド(エディ・マーフィ)、錠前職人の父親を持つメイドのオデッサ(ガボレイ・シディべ)とともに、ショウの財産強奪を計画する。 感謝祭の日、ジョシュたちは、FBIの24時間監視態勢に置かれたペントハウスを目指す。。。
ものすごいスリリングな展開があるわけでもなく、緻密な作戦があるわけでもないけど、最後まで楽しめたのは、ベン・スティーラーとエディ・マーフィーの力なのかな?
具体的に言うと『オーシャンズ』みたいに華やかでもなく、『ミッション・インポッシブル』のようにスリリングでもなく。 極々、オーソドックスな感じ。 もっとコメディ要素が強く、終始、大笑いしながら見るかと思っていたので、この辺は予想外でした。
ベン・スティーラーは、落ち着いた接客業のプロ、マジメなマネージャー役がけっこう似合っていたんじゃないかな。
最初、「うわぁ、老けたなぁ」と思ったけど、役柄上、落ち着いた雰囲気は必要だし、この役には、あのくらい抑えた感じがいいのかもね。
エディ・マーフィーは、前半はほとんど登場せず。 後半になって存在感をあらわす役柄。 こちらも、最初からずーっと出ずっぱりより、あのくらい抑えた感じがいいのかもね。 と言っても、後半からはうるさいくらいだけどね。
リーマンショック以降、アメリカの経済も不安定だし、富裕層だけが更に富みを得ることに対しての批判も含まれたストーリーは、現代を皮肉っていて良かったと思います。
最上階からの車のシーンは、個人的には『ミッション・インポッシブル』のトム・クルーズ(ドバイのシーン)より、「ひぃぃー」怖かったよ。
<<昨日は『家族の庭』(キネ旬 2011年 外国語映画10位作品) ■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『きみはペット』
地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と、医学カウンセラーのジェリー(ルース・シーン)は誰もがうらやむおしどり夫婦。 30歳になる弁護士の息子(オリヴァー・モルトマン)にはステキな彼女ができ、私生活は非常に充実していた。 ある晩、ジェリーは同僚メアリー( レスリー・マンヴィル)を夕食に招待するが、彼女は酔ってしまい自分には男運がないと愚痴って。。。
原題は『Another year』 トム&ジェリー夫婦と、その家族や友人達の1年を追った作品。
派手な演出があるわけでもなく、あっと驚くエピソードがあるわけでもなく、どちらかというと「地味」な物語。
仕事をして、市民菜園で野菜を育て、堅実に暮らすトム&ジェリー夫妻の日々の様子を、「春・夏・秋・冬」と季節の訪れと共に描いています。
学者と医療関係の仕事をしている夫妻、そして息子の職業は弁護士と聞けば、私の勝手なイメージでは、アッパー層のカテゴリーに入るんだけど、劇中の夫妻の様子を見ると、いわゆる「お金持ち」オーラは全くといっていいほどない。
ステキなおうちがあって、お庭があって、ボルボ(だったと思う)に乗っている姿は、それだけで十分にアッパー層なのかもしれないけど、トム&ジェリーの人柄や暮らしぶりからは、そういう雰囲気は全然感じなくて、きっと皆から慕われて信頼されている2人なんだなぁというのが凄く伝わってきます。
物語が進んでいくと、主役はトム&ジェリーではなく、メアリーということに気付く。
もし自分がメアリーなら、彼女の悩みや孤独や苦悩は本当によく分かる。
さほど個性がないトム&ジェリーのキャラクターより、メアリーの立場になって見ている人はきっと多いんじゃないかなぁ?
「幸せ」や「豊かさ」の価値観は、他人が決めるものではないけど、自分でも、その物差しがよく分からなくなってくるメアリーの様子も凄くよく理解できる。
人間、誰だって「隣の芝は青く見える」けど、どこで「これでいいか」と線を引けばいいか、バランスは大切なんだなぁと思わされた。
いろいろと不幸の多いメアリーに同情もするけど、力になれることとなれないことってあるんだよね…どうしても。
この辺りのメアリーの気持ちも、メアリー以外の人の気持ちも、非常によく分かる展開と俳優の演技が素晴らしかった!
メアリーを演じたレスリー・マンヴィルはいくつも賞をとったそうだけど、うん、納得! すっばらしい演技でした。
ラストシーンも切なかったなぁ…。
なかなかの作品でした。
今日も会員になっている小さな映画館で鑑賞。
<<昨日は『今ごろ“コンマリ”』 ■2012年 1月の日記■
■感想予告■(映画見済・感想暫待)
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