2008年03月21日(金) |
『ONCE ダブリンの街角で』 |
アイルランドの首都ダブリン。 多くの人が行き交うグラフトン・ストリートでボロボロのギターをかき鳴らし自作の歌を唄う男がいる。 そこに1人の女性がやってきて、彼に質問する。 男が修理屋と知るや、翌日、壊れた掃除機を持ってまた女が現れた。 途中、ピアノを弾かせてもらえるという楽器店に立ち寄った。 彼女の腕前に感心した彼は、一緒に演奏することを提案するのだった。。。
主演のグレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァが見つめ合って歩いているポスターの写真に惹かれて(この雰囲気から)「恋愛映画かな」と思っていたら、「ソウルメイト映画」という感じでした。
「男女の友情は」なんてテーマは腐るほど語られているけど、「友達以上・恋人未満」というより、もっと同士的な結びつきを感じる主人公のストーリーです。
しかし、実生活で2人は恋人同士ということで、それを知って見ると、2人のシーンは、微笑み1つとっても演技+アルファなモノを感じます。 (1970年生まれのグレンと、1988年生まれのマルケタ…18歳も歳の差カップル!)
音楽が主題になっているので、歌のシーンは満載。 グレンの歌声が素晴らしい〜! 俳優が歌を歌っているのではなく、本業ミュージシャンが演技をしているので、歌のシーンが素晴らしいのは当たり前なんだけど、熱い歌声が心に響きます。 (アカデミー賞もとっちゃったしね!)
マルケタも本当に可愛くて可愛くて♪ (ちょっぴり昔のクレア・デインズに似てる?) 彼女は、チェコからの移民で、路上で雑誌や生花を売りながら生計を立てている役なので、劇中の衣装も、ほとんど着たきりスズメのような格好ばかりです。 それでも、とっても可愛かった。
音楽を中心に物語が進んでいくので、2人のパーソナルな部分は描写が少ないです。 だいたい、2人は役名がない…クレジットも「男」「女」。 バックをほとんど描かないシンプルさも良かったけど、マルケタの役は、チェコ移民の背景など、もう少し詳しい展開が欲しかったなぁと思いました。
ラストシーンがとっても好き。 これはハリウッド映画では絶対にありえない展開だろうね。 こうゆう終わり方、余韻があって良いなぁ。 好きだなぁ。
自主上映にて、今日から3日間の限定上映。 アカデミー賞効果?今夜は大入りでした。
いつも楽しみにして、ちょこちょこ通っている自主上映。 いつものようにカウンターに置いてある『通信』を手にとり読んだら、主催者の田中氏が2月に急逝したと書いてある…。 ビックリ…。
平成元年にスタートした“ムーンライト・シアター”、それが終了した後は“シネマ・シンドローム”、そして現在の“シネマアジア”…良作は、全てこの自主上映で見たといっても過言ではないくらい御世話になっていました。 4月までの上映予定は全てそのまま上映で、5月に追悼上映会があるそうです。 ご冥福をお祈りします。
これでもう自主上映の火は消えてしまうのかな。
♪BGM♪〜『EXILE LOVE』by:EXILE
<<昨日は『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『魔法にかけられて』 『ポストマン』 『フィクサー』
2008年03月17日(月) |
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 |
恋人にフラれたエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は彼のことが忘れられず、彼の行きつけのカフェに乗り込む。 そんな彼女を慰めてくれたのは、カフェのオーナー・ジェレミー(ジュード・ロウ)と、甘酸っぱいブルーベリー・パイ。 それからのエリザベスは、夜更けにジェレミーと売れ残りのパイをつつくのが日課になる。 しかしそんなある日、彼女は突然ニューヨークから姿を消す。 恋人への思いを断ち切れずにいたエリザベスは、あてのない旅へとひとり旅立つ。。。
初期のウォン・カーワイを思い起こさせるような作品だなぁというのが第一印象でした。 初のハリウッド作品ということで、私を含め、王家衛ファンからすると「期待半分・どうなるんだろう半分」と予想してたと思うけど、とっても良かったです。
失恋の痛みから立ち直れない主人公のストーリーですが、しめっぽくなくて、むしろ前向きな展開も好感度でした。 演じるノラ・ジョーンズも、とても映画初主演とは思えないほどのデキ。
95分の中に、旅の途中で出会うエピソードを上手に入れて、また、それぞれのキャラクターも抜群だったと思います。 レイチェル・ワイズは、ちょっと出番が少なくて残念だったけど…。 彼女の夫役のデイヴィッド・ストラザーンって、『グッドナイト&グッドラック』でエド・マローを演じた俳優さんでしたねー!
旅先での出会いって、よっぽどの事がない限り、もう二度と逢わない人とのめぐり合わせだと思うけど、そのドライな雰囲気(でも、決して冷たくはない)が、とっても良く表現されていたと感じます。
『ホリディ』で、ジュード・ロウのかっこよさに目覚めた私…今役も凄くかっこよかった〜♪ あんなステキなオーナーが居たら(彼目当てに)絶対に通っちゃうよね。
あ〜、やっぱりウォン・カーワイ作品好きだなぁ。 今度は、香港映画でこうゆう雰囲気の作品が見たいなぁ。
♪BGM♪〜『EXILE LOVE』by:EXILE
<<昨日は『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『ONCE ダブリンの街角で』 『魔法にかけられて』 『ポストマン』 『フィクサー』
2008年03月14日(金) |
『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』 |
1956年、ソ連支配の共産主義政権下にあったハンガリーの首都ブダペスト。 改革を求め学生運動に身を投じる女子学生ヴィキと、メルボルン・オリンピック出場を目前にした水球チームの花形選手カルチが出会う。 それまで政治に無関心だったカルチも、秘密警察アーヴォや軍の横暴に傍観者ではいられなくなる。 同時にヴィキを愛するようになったカルチはオリンピックよりも彼女の傍にいることを決意する。。。
この手の作品を見ていつも思うことは、「自由がある」という当たり前の暮らしが、当たり前じゃない暮らしというのが、頭では理解できるけど、想像を絶するということ。 しかも、何百年も前の話ではなく、ホンの50年前の出来事という事実に驚きます。
ハンガリーといえば、レイフ・ファインズ主演の超大作『太陽の雫』が思い浮かびます。 確か、ラストの3役目は、ハンガリー動乱のエピソード辺りで幕を閉じているけど、ユダヤ人一族の100年を描いた話なので、同じハンガリーを題材にしていても、今作とは少々違うし、動乱事件そのものはあまりよく知りませんでした。
『トンネル』にしても『グッバイ・レーニン!』にしても『善き人のためのソナタ』にしても、共産主義を描いた作品は、とにかく色がない。 街の景色、人々の服装…明るさは皆無で、映画が始まった瞬間の、この色の無さが「あぁ…こうゆう時代だったんだなぁ」と、いつも感じます。
物語は、女子学生ヴィキの革命運動と、カルチの水球チームのオリンピック話、そして2人の恋愛と3本柱で進んでいきます。
やはり1番は動乱に至るまでのヴィキを中心としたエピソードが印象的。 戦車に向かって銃を撃ったところで勝ち目はない。 けど、立ち上がらずにはいられない。 そこまでしても欲しいのが「自由」ということ。 街中で火を噴く戦車を見て、日本は本当に平和なんだなぁと溜息が出ました。
今作、英語原題が『Children Of Glory』。 ラストシーンの先には、このタイトルがあってほしいと思いました。
自主上映にて、今日から3日間の限定上映。 ホワイトデーの夜だから?はたまた早めの歓送迎会?…今日は少々寂しい観客の入りでした。
ハンガリーのプチ情報(?) 宮本輝の小説で、『ドナウの旅人』という作品があります。 タイトルどおり、ドナウ川に沿って旅をするストーリーで、好きな作品だけど、内容よりも1番印象に残っているのが、「ハンガリー人は、日本と同じく名前が『名字+名前』の順」っていうくだり。 もしハンガリー人に逢ったら、真っ先に尋ねてみたいとずっと思っていることです。
♪BGM♪〜『EXILE LOVE』by:EXILE
<<昨日は『バンテージ・ポイント』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 『ONCE ダブリンの街角で』 『魔法にかけられて』
2008年03月13日(木) |
『バンテージ・ポイント』 |
スペイン・サマランカでの演説中にアメリカ大統領アシュトンが何者かに狙撃される。 そして、演壇が爆破されるテロが起こった。 シークレットサービスのバーンズはTV中継車に乗り込み、撮影された映像をチェック。 そこに怪しい何かを見つけた。 同時刻、サマランカ市警のエンリケは事件の容疑者として拘束されそうになり、サマランカ市街へと逃亡を謀る。 アメリカ人旅行者のハワードは、ビデオカメラを片手に周囲を撮影していた。。。
ここまでスピード感に(スピード感のみに)こだわった映画も珍しいくらいに、とってもテンポが良い作品でした。
90分という短さなので、登場人物の背景はほとんど描かれていません。 どの登場人物にも、「過去の諸々事情があって現在がある」って感じのキャラクターなんだけど、それは一切振り返る描写はなくて、「きっとこうなんだろうなぁ〜」という想像をして見ていくだけです。 この辺を突き詰めて+重厚感を出したのが『クラッシュ』かな?なんて思ったり…群像劇のスピード版といった雰囲気でした。 じっくり見たい場合は、その諸々の事情がないと物足りないけど、今作はそんな事を吹き飛ばすぐらい、早送りのように進んでいくので、「これもありかな」と思えば、まぁそんなに物足りなさも感じないかも。
それぞれのキャラクターを中心に見たストーリーが時間軸を逆に進んでいくので、何度も同じ場面が出たりして、少々くどさはあるけど、とにかくテンポが良いので、その辺はさほど気になりませんでした。
後半は、デニス・クエイド演じるシークレットサービスのバーンズにスポットが当たります。 バーンズは大統領の護衛だから、体力だってあるだろうけど、『ボーン・アルティメイタム』の時と同じく、全てのカーアクションシーンが交通事故みたいなのに死なないのが凄かった(笑)。 こうゆうカーアクションを見るといつも思うんだけど、車って本当にあそこまで頑丈に出来ているんでしょうか…?
予告の印象とは違って、良い意味で気軽な作品で良かったです。
♪BGM♪〜『EXILE LOVE』by:EXILE
<<昨日は『僕のピアノコンチェルト』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
2008年03月04日(火) |
『僕のピアノコンチェルト』 |
「神童」と呼ばれる天才児ヴィトス。 初めて買ったおもちゃのピアノで「ハッピー・バースデー」を弾きこなし、幼稚園で地球温暖化について語り、お遊戯そっちのけで辞書を読みふける日々。 IQは高すぎて計測不能だった。 そんなヴィトスに両親は輝かしい未来を夢見ていた。 ヴィトスに高い教育を受けさせるために仕事を始めた母に代わり、ベビーシッターのイザベルが雇われた。 嫌がるヴィトスだが、やがてイザベルに淡い恋心を抱き、英才教育を受けていることへの反発が始まった。。。
少年が主人公という事で、どことなく『リトルダンサー』に雰囲気が似ているところがあり、私好みの作品でした。
ヴィトスを演じた2人の少年が素晴らしい。 (幼少期と少年期と2人の子役が演じています) その非凡な才能を限りなく発揮する場面と、苦悩する場面と、どちらも生き生きしていた。
そして、ヴィトスが唯一、心のよりどころとするお祖父ちゃんを演じるのがブルーノ・ガンツ。 『ヒトラー最後の12日間』の時とは全然違って(当たり前だ…ヒトラーなわけない!)田舎町にのんびり気ままに暮らすお祖父ちゃんを好演していました。 お祖父ちゃんとヴィトスの場面はけっこう多く、重要な役なんだけど、ただ優しいだけじゃなく、いつまでも夢を追っているようなお祖父ちゃんで、常に現実を見つめるヴィトスのパパとママとの対比も良かったです。
私は子供がいないので、実体験としての「親の心」というのは分かりません。 でも、劇中で描かれているような「我が子を天才への道へ!」と、狂ったように情熱を傾ける両親の気持ちは分からなくもない。 それは、例え平凡な子供だとしても、親ならば誰しも感じる部分じゃないのかなぁ?と思います。
私自身、3歳からピアノ、小1から習字、小2からそろばん、小6から進学塾、、、オンパレードで通いました。 ほとんど自分の意思で「やりたい」と始めた習い事だったので、「やらされている」感はなかったけど、ピアノに関しては、母はかなりスパルタだった記憶があります。 でも、ピアニストになるわけでもなく、大人になれば、ただの平凡な人。 たいていこんなもんです。
子供が生まれる前は、よく「五体満足なら…」と言うけど、人はいつから欲が出てくるようになるんだろうなぁ…。
昔からある古い映画館が(シネコンに対抗して?)2週間単位で、ミニシアター系を上映する方向になったみたい。 田舎は上映作品が少なく、2つあるシネコンは両方共、TOHOという最悪な環境なので、私としては嬉しい限り。
♪BGM♪〜『EXILE LOVE』by:EXILE
<<昨日は『いつか眠りにつく前に』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『バンテージ・ポイント』 『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』
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