2007年03月30日(金) |
『麦の穂をゆらす風』+3月の読書まとめ |
1920年のアイルランド南部のコーク。 医者を志す青年デミアン(キリアン・マーフィー)はロンドンでの勤務がきまり、アイルランドを離れようとしていた。 そんな時、仲間の1人がイギリスから送り込まれていた武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行を受け殺される。 翌朝、デミアンが電車に乗り込もうとした駅のホームで、理不尽な事件を目の当たりにし、医師になる夢を捨て戻る決心をした。 そしてアイルランド独立を目指す戦いに、仲間とともに身を投じていく。 やがてアイルランドのゲリラ戦に苦しめられたイギリスは停戦を申し入れ、戦いは終結する。 しかし、両国間に結ばれた講和条約の内容の是非をめぐって、今度は、アイルランドの内戦に突入してゆくのだった。。。
日本では、一部のラグビーファンしか関心がない事だけど、毎年この時季、ヨーロッパでは『6ネイションズ』(欧州6カ国対抗)というラグビーの大きな大会があります。 参加国は、フランス、アイルランド、イングランド、イタリア、ウェールズ、スコットランド(←今年の順位)の6カ国。
これまた日本では想像できない事だけど、どの試合も8万人の巨大スタジアムが超満員の熱気ムンムンになるくらい、もの凄い大会なのだ。
2月24日、アイルランドのダブリンで、アイルランドvsイングランドの試合がありました。
アイルランドは、普段使用しているスタジアムが改装中の為、今回だけクロークパークでの試合。 82,500人収容の巨大スタジアム:クロークパークは、アイルランドの伝統競技ハーリングなどの専用スタジアムとして、外来スポーツや外国人を禁止していて、今回は上記理由で特別の使用です。
1920年の11月に英治安部隊がヘリから発砲して、射殺事件が起きたスタジアムに、イングランドを迎えるという事で、厳重な警備体制の中の試合だったようです。
この日、ド深夜のスカパー生放送を頑張って見ていた私は、スタジアムを埋めるアイルランド応援の、もっすごい熱気に眠い目も覚めたものです。 (試合は、43−13で、アイルランドの勝利)
そんなアイルランド魂を見た後で、しかも、ケン・ローチの作品。 好評を自分の目で確認したく、見に行ってきました。
エンドロールが終わった後、暫く立ち上がれなかった。 同じ列で見ていた人も、ぐったり座ったままだった。
残虐なシーンも多くて、途中から「なんで、こんな映画見ちゃったんだろう…」と思っていたくらい、悲壮感漂う内容でした。
前半は、デミアン達青年がイギリスの治安部隊に立ち向かっていく様子が刻々と描かれています。 どんよりとした空、寒々とした緑の景色が、デミアン達の心に重なって、戦いに挑まなければならない暗い気持ちを加速させていきます。
後半は、それまで強い絆で結ばれていたテディとデミアンの兄弟が(講和条約をめぐって)衝突していきます。
兄のテディはカリスマ性があり、どんな仕打ちにも立ち向かう肉体も精神も強い人間。 彼も正義感があり、また弟デミアンにも正義感があり、最終的には、どちらの正義が正しいのかを越えてしまいます。
テディもデミアンも、自分や家族や仲間、市民、国民を守ろうとして突っ走っているのに、その歯車がどんどん狂い始めてしまって…狂った歯車は、止まる事もできないなんて…。 こんな恐ろしい事は、嫌だ…。
最初から最後まで、本当にどんよりした気分のまま溜息がでる作品でした。 でも、多くの人に見てもらいたいと思う作品。
主役デミアンを演じたキリアン・マーフィをはじめ、役者陣の熱演がせめてもの救いかな。 アイルランドの色:グリーン一色のパンフレットも印象的。
自主上映会にて3日間の限定上映。 今日は初日でしたが、大入りの会場でした。
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3月の読書まとめ。
・『一瞬の風になれ 1』(佐藤多佳子 著)★★★★★ 評判とおり、凄く良い! 主人公が高校生という事もあり、全体的にとっても活き活きしている。 こんなに清々しい小説は久々です。 2巻、3巻も楽しみだな。
・『ダナエ』(藤原伊織 著)★★☆☆☆
・『見えない誰かと』(瀬尾まいこ 著)★★☆☆☆
・『所轄刑事 麻生龍太郎』(柴田よしき 著)★★★☆☆
・『また会う日まで』(柴崎友香 著)★★★☆☆ 1月に読んだ『その街の今は』に続き、この方の作品を読むのは2作目。 やっぱり、文中の大阪弁がちょっとネックだけど、普通の日常感が良い感じの作品だった。 この方は、この路線が得意なのかな?
♪BGM♪〜『五線譜のラブレター サウンドトラック』 <<昨日は『ホリディ』
■感想予告■(映画見済・感想暫待)
傷ついた心を癒すため、見知らぬ土地に旅立つ事を衝動的に決心したアマンダ(キャメロン・ディアス)とアイリス(ケイト・ウィンスレット)。 ネットの「ホーム・エクスチェンジ」を通じて知り合った2人は、ロスとロンドン近郊にあるお互いの家を2週間交換して生活をする契約を交わす。 こうしてロスからロンドンにやってきたアマンダは、同棲していた恋人と手ひどい別れをしたばかり。 一方のアイリスは、片思いしていた同僚の婚約発表により失恋したばかり。 新しい土地で彼女たちを待っていたのは、美しい家と思い掛けない出会いだった。。。
これは良い! 凄く良かった!
ラブコメ(というほど、「コメディ」要素は強くない作品だけど)少々苦手な私が、ここまで気に入る事が、自分でもビックリするくらいステキな作品でした。
お互いの家を交換するなんて、いくら期間限定とはいえ、私の感覚からすると、あんまり気分が良いものではありません。 監督のインタビューを読むと、実際にあるシステムみたいだけど、決して一般的ではないし、現実離れの設定だと思う。 この現実離れした「半夢の世界」を、大袈裟にならずに、でも程よくロマンティックに描いて、見ていてとても良い気分になりました。
予告から受ける印象では、2人の主人公が、それぞれ現地で新たな男性と知り合って、ベタベタな展開で恋愛に発展していく…というのを想像していたんだけれど、(まぁ、半分はそんなような流れだけど)アイリスの兄:グラハムを演じるジュード・ロウのキャラクターには、ちょっとした秘密が隠されていたり、すぐにジャック・ブラック演じるマイルズと知り合ってラブラブになると思っていたアイリスは、近所に住む老人:アーサー(イーライ・ウォラック)との絡みの方が多かったり…。
特に、アイリスとアーサーの展開は、とっても心温まる流れで、心温まるセリフがいっぱいでした。
それぞれ主役を張れる4人の役者陣の共演もバッチリ! 甲乙つけがたいほど4人とも素晴らしかったけど、特にケイト・ウィンスレットとジュード・ロウが良かったかな。 (この2人は兄妹の関係を演じている)
『ネバー・ランド』を見た時のレポだったかなぁ、、、私、「ケイト・ウィンスレットって良い女優さんになったよね」と書いた記憶があるんだけど、今回も本当にそう思った。 本人のインタビューでも、「いつもコルセットを着る役ばかり」と言ってるし、実際、クラシカルな雰囲気や衣装がとっても似合う女優さんだと思うけど、この手の役もかなりイケてます。 これから、こうゆう役もどんどん見てみたいなぁ。
そして、超ーーーーーーーかっこよかったジュード・ロウ♪ 今までほとんど意識したことがなかった俳優さんだったけど、彼のファンが多いのが、遅まきながら納得しました。 いやぁ、マジ惚れた。 いつも御世話になっているリネさん(←ジュードのファン)に、「40歳過ぎてるかと思ってた…」と言ったら叱られちゃったけど(笑)、今までずっと、凄い年上だと思ってたんです。 レイフ・ファインズ世代だと…。 そしたら、1972年生まれって…私と3つしか違わないじゃん。 ビックリ。 監督のインタビューでも、アメリカとイギリスで衣装の対比も表してると載ってたけど、劇中では、英国男性を意識した衣装が多くかっこよく似合っていました☆ 彼のイギリス英語のセリフもステキ☆
欲を言えばクリスマスシーズンに公開して欲しかった作品だけど、心温まるステキな作品でした。
個人的には、同監督の『恋愛適齢期』よりも断然こっちが好き。
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今日、母から「エグザイルの新メンバーって町内の子って知ってた?」と言われ、その新メンバーとやらは見たことも聞いたこともないけど、「へぇ〜」と驚いた。
今や超人気女優となった長澤まさみちゃんも、うちのすぐ近所の子だし、こんな田舎のいち町内で、芸能人が2人もいるとはねぇ。
♪BGM〜『ヘアスプレー』サントラ
<<昨日は『明日へのチケット』
■感想予告■(映画見済・感想暫待)
2007年03月23日(金) |
『明日へのチケット』 |
インスブルック駅。 (エピソード1) 1人の老教授がローマ行きの列車に乗り込んだ。 満席の為、食堂車のイスに座る教授は、現地で便宜を図ってくれた女性秘書に想いをふくらませる。 彼女へのメールを書きかけた彼の前に、将校が座った。 扉の向こうの通路には席が取れなかったアルバニアからの移民一家が身をよせあって固まっていた。 将校がその赤ん坊のミルクを蹴散らかした後、教授はある行動をとる。 (エピソード2) 翌朝、駅で太った中年女性が若い青年を連れて列車に乗り込んでくる。 傲慢な女性の態度に、青年は嫌気がさしてくる。 (エピソード3) スコットランドからローマへチャンピオンズシップの試合を見にやってきた3人の青年がいた。
3人の監督が描くオムニバス作品だけど、登場人物もストーリーもちゃんと繋がりがある1本に仕上がっていた。
私は、電車の長旅というと、「青春18切符」で東京往復ぐらいしか経験がないけど、本当にいろんな人が乗ったり降りたりするものです。 ほとんど眠って過ごしているから、じっくり観察はしたことがないけど、(まだ目が開いている)乗ってすぐの早朝は、部活の朝練や大会に行く高校生が多く、伊豆方面に近づくと、温泉地の観光客が増えてきたり、東京に近づくと、サラリーマンが大勢いたり…etc…もしかしたら、映画の題材になるようなエピソードを抱えた人もいるかもしれません。
この作品は、「関わらなければ何もなしで過ぎていくようなこと」+映画ならではのエピソードが混ざり合って出来上がっていました。
個人的には、(エピソード2)が好き。 自分勝手を絵に描いたようなというか、顔に「我が儘」って書いてあるような傲慢なオバサンの態度が強烈でありながら、人間ドラマをよく描いていました。
ケン・ローチ監督のエピソード3は、ケン・ローチならではの作品といった感じで、主人公3人の訛った英語のセリフが聞こえてくると、「あ〜、ケン・ローチだなぁ」と思いながら見てました。
アルバニアの少年が、セルティックサポーター3人に向かって、「ラーション!ラーション!最高!」と掛け声をするセリフがあり、、、今、セルティックといえば、中村俊輔クンがいるチームとして日本では有名だけど、ラーションが在籍してるなんて聞かない…。 帰宅後、相方に「ラーションって、どこのチーム?」って聞いたら、「昔はセルティックに居たんだよ」と言っていたので、納得しました。
ラストは明るくまとまっていたので、悲観的にならずに救われたかな。
自主上映会にて、今日から3日間の限定上映。 張り切って初日に出掛けてきました。 会場はそこそこの大入り。 シネコンに比べると、スクリーンやシートはお粗末だけど、シネコンみたいにガヤガヤ煩くないし、ここは本当に落ち着く。 なにより、わざわざ夜遅くに見に来る「映画好き」の匂いがプンプン漂ってくる観客が多くて好き。
「久し振りに自主上映に来たなぁ」と思ったら、8月の『かもめ食堂』以来…結婚してからは初めてだった。
結婚してから次から次へと病気になり、環境の変化から精神的にもどんより落ち込んでる日々が続いていたけれど、(【パート2】にアップしてますが)目の大出血も綺麗に治り、子宮癌の検査もパスし、最近、やーーーっと、買い物や映画など、いろいろ出掛ける気分が上向きになってきた。
生活面でも、最初は「あれが足りない、これも足りない」発生し、休日ごとにショップめぐりやホームセンター通いをしていて、当然ながら、出費も多かったけど、やーーーっと家計の1ヶ月のお金の流れも落ち着いてきた感じ。
ゼロからスタートすると、いろいろ調和がとれてくるまでには、半年ぐらいが必要な期間だなぁ〜。
♪BGM〜『ヘアスプレー』サントラ
<<昨日は『ナイト・ミュージアム』
■感想予告■(映画見済・感想暫待)
2007年03月17日(土) |
『ナイト・ミュージアム』 |
ニューヨークに住むラリー(ベン・スティーラー)は、バツイチで現在失業中の男。 最愛の息子ニッキーは、元妻に引き取られ、しかも再婚相手になついてしまっている。 父子の絆を取り戻すため、まずは仕事を持とうと決心したラリーは、自然史博物館の夜警の仕事に就く。 しかし勤務最初の夜、ひとり見回りを始めたラリーは愕然とする。 ホール中央にあったティラノサウルスの骨格標本が、忽然と消え、追いかけられるハメに。。。
予告を見た時、もっとサスペンス風(というか、怖いシーンが多いような)予感がしてたんだけど、小さい子でも安心して楽しめるようなコメディタッチの作品でした。
もうチョット大笑いできるようなシーンが欲しかったなぁと思うけど、恐竜から古代人、果ては大統領やエジプトの王子まで、いろいろなキャラクターが登場して、賑やかに楽しめました。
ほっとんど出ずっぱりのベン・スティーラーは、一歩間違えると、くどすぎるキャラクターを上手に演じていたなぁ。 彼のキャスティングは凄く良かったと思う。
ラストは、あのルーズベルトのラリーへの挨拶で、全て終わりになって欲しかったかな。 個人的には、そうゆう展開の方が、より夢を大きくさせて好き。
アメリカ自然史博物館って、架空のモノかと思ってて、何度か映る立派な外観を、「この外観は、どの建物を撮影に使ったんだろう?」と思いながら見ていた私。 帰宅後、念のために、一昨年の旅行で使ったニューヨークの『地球の歩き方』を見てみたら、実際に存在する博物館だった…失礼…。 セントラルパークを挟んで、西にこの自然史博物館、東にメトロポリタン美術館があるのね。
ガイドブックをよく読むと、展示物も多そうだし、今度、NYに行く機会があったら、是非あの恐竜をナマで見たいなぁ。
♪BGM〜『ヘアスプレー』サントラ
<<昨日は『ボビー』
■感想予告■(映画見済・感想暫待)
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