2006年11月26日(日) |
『椿山課長の七日間』+11月の読書まとめ |
デパートに勤める椿山課長(西田敏行)は、バーゲンで大忙しの中、倒れて突然死してしまう。 そんな椿山が目を覚ました場所は天国と地獄の中間に位置する“中陰役所”だった。 ここでは「天国行き」か「地獄行き」かの審判を下されるのだが、自分の死に納得がいかず、かつ戻る事情があると判断された者は、3日間だけ現世に戻ることが許される。 突然死した椿山は、現世への“逆送”を希望。 戻ってきた椿山は正体を隠す為、美女(伊東美咲)に化けた。。。
珍しく相方が見たいと言って、半分、付き合いで見に行ったけど、終わってみたらジーンとして泣いてた私…。
「死んだ人が姿を変えて期限付きで生き返る」という超ファンタジー設定だけど、バカバカしくもありつつ、それに違和感を感じさせない上手な作りだったと思います。
椿山課長(西田・伊東)と一緒に生き返るヤクザの親分と少年が居るんだけど、この3人がいつの間にか絡み合って物語りをより盛り上げていきます。
化けた3人、伊東美咲・成宮寛貴・志田未来の好演が光りました。
特に伊東美咲はとっても良かったですねー。 彼女の演技は初めて見たし、別に好きでも嫌いでもない女優だったけど、この役は見事だったと思います。 演技が上手か?っていうと、また違うと思うんだけど、観客は伊東美咲を見ながら西田敏行を思い浮かべてるわけで…でも、これが不思議と違和感を感じないんです。
逆に、ヤクザの親分の綿引勝彦から化けた成宮くんは、けっこう似た路線で演じていて、こちらはこれがマッチしてました。 相方は、成宮くんの親分がカナリお気に入りだった様子。
椿山課長の家庭が実はハチャメチャになっていたオチがあり、これに関して「えぇー!?嘘でしょ〜」って感じだったけど、他は総じて良かったと思います。
これ、もう少し話題になっても良い作品だと思うのになぁ。 心温まる良い作品でした。
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11月の読書まとめ
・『名もなき毒』(宮部みゆき 著)★★★★☆ 宮部さんの新作ってだけで嬉しいので、★4つです。
・『栄光なき凱旋 上・下』(真保裕一 著)★★★★★ これは、なかなかの一冊だった! 真保さんの作品は好きで全部読んでるけど、いつものハードボイルドミステリーではなく、初の戦争モノ。 日系アメリカ人の3人を主人公にした話です。 いつも御世話になっているbobbidaさんからオススメされて早速読んでみたけど、想像以上に重く辛い内容で、下巻はページをめくっては溜息…これを繰り返して、全然先に進めなかったよ…。 今、ちょうどクリント・イーストウッドの硫黄島2部作が公開ですが、この小説も映画になってもいいような内容。 「日系アメリカ人」という、今までほとんど知らなかった人たちにスポットを当てていて、非常に考えさせられる内容でした。 舞台は第二次世界大戦ですが、日本人を主人公にした戦争モノとは一味も二味も違った切り口で、これは是非多くの人に読んでもらいたいなぁと思う一冊でした。 やるせない気持ちでいっぱいになる内容だけど、オススメの作品です。
・『求愛』(柴田よしき 著)★★☆☆☆
♪BGM〜『Nat King Cole At The Moveis』
<<昨日は『ウィンター・ソング』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『007 カジノ・ロワイヤル』
2006年11月15日(水) |
『ウィンター・ソング』 |
雪の降る夜、上海の街を走るバスの中で天使はつぶやいた。 「人はみな人生の主役。私はカットされたシーンを戻すためにここに来た」。 街では、映画の撮影が始まろうとしていた。 香港から来た俳優、見東(金城武)は、主演女優、孫納(ジョウ・シュン)とかつて愛し合っていたが、女優としての野心から二人は別れた。 見東は孫納への思いが断ち切れず、この映画に出演したのだった。。。
映画監督を夢見るしがない学生と、スターを夢見る貧しい女の子。 2人が出会い、恋に落ち、愛し合い、そして別れ、、、10年後、トップスターになった2人は、恋愛映画で共演。 と、、、ストーリーそのものが“映画みたいな”映画でした。
現実と劇中劇と常にシンクロしていくところが、また魅力的。 ミュージカル好きな私は、音楽やダンスシーンも楽しめました。 パッと見、『ムーランルージュ』のように映るけど、もっと哀愁漂う感じで(劇中劇の華やかなミュージカルとは対照的に)実際は、北京の寒々とした景色の方が印象的です。
恋愛の「別れ」って、2人が同時に完結する事はないと思う。 「別れたい側」と「別れたくない側」と、単純に区別できない。
若い頃は、なんにでもなれると夢を追うし、目の前の恋愛か夢かをじっくり考えるより、瞬間で判断して走り出してしまう時もあるでしょう。 「別れたい側」が悪人で、「別れたくない側」が善人とは言えない。 「完結できない恋愛」が、冷たい北京の景色に凄くマッチしていて、切なさをより強くしていました。
主人公3人の演技も歌も見事だったし、楽曲やダンスも良かったけど、ヒロインの感情の動きをもう少し掘り下げてくれたらなぁ…。
1つのお鍋を2人で啜り合っていた北京時代〜トップスター〜ミュージカル劇中劇と、色々なシーンが登場するので、なかなか感情を深く掘り下げるところまでは表現できなかったのかもしれないけど、ジョウ・シュンの、貧乏女の子とトップスターになってからの対比が良かっただけに、残念です。
ジョウ・シュンちゃんは、『お針子』の時に比べるとグッとオトナっぽくなった感じね。 金城くんは相変わらず超かっこよかった〜。 あと、ホンの脇役で『インファナル・アフェア』のエリック・ツァンが出てました。
悲恋モノを好む私は、ストーリーも良かったけど、とにかく凍りつく冷たい北京の景色が凄く印象的でした。
金城くんのセリフにも「北京を忘れないで」ってあったけど、タイトルは、『ウィンター・ソング』ではなく、『Beijing』の方が良かったんじゃないかなぁ?
♪BGM〜『Nat King Cole At The Moveis』
<<昨日は『手紙』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『椿山課長の7日間』
工場で働く20歳の武島直貴(山田孝之)は、職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。 それは唯一の家族である兄・剛志(玉山鉄二)が、直貴の学費欲しさに盗みに入った邸宅で老婆を殺してしまったからだった。 兄が罪を犯したのは、自分のせいだ。 そう自責する直貴は、せめてもの償いにと服役中の兄から届く手紙に丁寧な返事を書き続けていた。 そんなある日、更生した元服役囚と出会った直貴は、一度はあきらめたお笑い芸人の夢に再び挑戦しようと決意する。。。
近頃、毎日新聞に記事が出ている「いじめ自殺」。
ニュースを見ながら相方と話している時、彼が、「世の中の親は、“自分の子がイジメられてるかもしれない”ではなく、“自分の子がイジメをしているかもしれない”と心配した方がいい」と言っていた。
この映画は、犯罪の加害者側を描いた作品で、映画の内容よりも、今、世の中で起こっている事を凄く思いました。
私は「感動」はなかったけど、見て良かった作品でした。
♪BGM〜『Voices』by:Keiko Lee
>>昨日の映画は『太陽』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『ウィンター・ソング』
1945年8月。 その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。 その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。 宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被災を免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。 戦況は逼迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。 その苦悩は悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。 焦土となる東京に自分自身の孤独。 やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。。。
昭和天皇がお亡くなりになった時、私は中学生でした。
「そういえば、昭和の天皇陛下ってこうゆう顔していたなぁ」というのが第一印象。 劇中、始めの方はそうでもなかったけれど、燕尾服をまとったシーンぐらいから、「あ、天皇陛下」と思ったくらい、イッセー尾形は、仕草や風貌をよく研究して演じていました。
側近の人たちが「おかみ」と呼びかける度、今更ながら、「天皇陛下=かみさま」だった事をズシリと思い出した。
今の天皇陛下しかり、皇太子様しかり、はたまた愛子様しかり、“生まれた時から天皇陛下”。 赤ちゃんでありながら赤ちゃんでない人生…1つの命にかかる責任の重さって、もしかしたら世界で1番重いのかもしれないですね。
淡々と流れる映画でしたが、陛下の生活はもしかしたら(きっと)こんな感じだったのかもしれないなぁと感じた作品でした。
♪BGM〜『Voices』by:Keiko Lee
>>昨日の映画は『父親たちの星条旗』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『手紙』
2006年11月01日(水) |
『父親たちの星条旗』 |
ウィスコンシン州で葬儀社を営むひとりの老人が、長い人生に別れを告げ、最期の時を迎えようとしている。彼の名前は、ジョン・“ドク”・ブラッドリー。 1945年、海軍の衛生兵として硫黄島の戦いに赴き、激戦を戦い、そこで撮られた1枚の写真によってアメリカ中から“英雄”と讃えられた男だ。 しかし彼は、その後の人生の中で硫黄島について家族にひと言も語ろうとせず、アメリカ中に知れ渡った写真についても、ひたすら沈黙を押し通した。 硫黄島で何があったのか。 父は何故沈黙を続けたのか。 父親の人生を知るために、彼の息子が硫黄島の真実をたどり始める。。。
「戦争映画」というより「戦争から帰還した人のその後映画」といった方がいいかもしれません。
戦争で死ぬより、生きて帰って来た方が良いに決まってる。 でも、帰還した人には、死ぬまで戦争は続くんだろうなぁと思いました。
フラッシュバック映像が多くて、最初は、いったい誰が誰だか(主人公3人はいったいどれ?)分からなくて少々混乱したけど、「戦争の悲惨さ」ではなく、「帰還兵の悲劇」という切り口で描かれているところに、うったえかけられるものがありました。 日本ではどうだったんだろうな…。 生きて帰って来た人はどんな思いで戦後をむかえ、今日を暮らしているんだろうか?
今年は戦後61年。 当時20歳の兵隊だった人も既に81歳です。 あと10年経ったら、戦地に赴いた人で健在の人は本当に少なくなってしまうでしょう。 こういった題材の映画もだんだん少なくなっていくのかな…。
印象的だったのが、劇中、何度か「戦友のために」というセリフが出てくるけど、「天皇陛下のために」戦っていた日本人との違いが決定的にあらわれている部分だと思いました。
『硫黄島からの手紙』と2部作ということで、イーストウッドがこの辺りをどう表現しているか興味深いです。
耐えず続く爆撃音。 大砲やピストルの撃ち合い。 戦闘シーンはすさまじかったです。 血ダーダー苦手な私は、ほとんど目をつぶっていたけど、一緒に見た相方と「砂埃とか砂利とか、チョット手についただけでも凄く不快じゃん?でも、戦地ではそんなもん本当にどうってことないわけでしょ?血が出てようが弾がささってようが、息があれば何とかなる…」と、溜息をつきながら話しました。
「殺さなければ殺される」…「殺されるから殺す」…戦争は、身体も心も狂わす化け物です。
主人公3人は、それぞれ個性を発揮していて好演だったと思います。 ライアン・フィリップは『クラッシュ』に続いて目立つ役を手にしてるねぇ。 個人的には『クラッシュ』の警官役の方が好きだったけど、今作も良かったと思う。 ってか、リネさんの情報で初めて知ったけど、彼、リースと離婚?! ビックリ〜。 これから更に良い方向に一皮向けそうなのは、リースじゃなくてライアンの予感がするんだけどな…。
1番目立つ役を演じたライアンが話題だけど、私としては“ビリー”こと、『リトルダンサー』のジェイミー・ベル君が見れて満足でした! 『キングコング』の時は、ちょっと長髪だったので、「あぁ、ビリーも変わってしまったわ…」なんて淋しく思ったけど、今作では、ビリー当時と同じ髪型をしていたせいか、あのまんま大きくなったって感じで嬉しかった。 セリフもけっこう多くて、しゃべり方も当時の面影があって、またまた『リトルダンサー』を見たくなりました。
ジェイミー君が演じるイギーは、『硫黄島からの手紙』の予告にも登場してました。
ほとんどの爆撃シーンや死体シーンを見れなった私は、イギーのシーンも見れなかったんだけど…彼の死がどんなんだったか安易に想像できて怖い…。
今、『硫黄島からの手紙』で渡辺謙さんが演じる栗林指揮官の本『散るぞ悲しき』を予約しているので、映画を見る前に順番がまわってきてほしいなぁと思います。
って事で、リネさん…こんなレポでいかがでしょう?(笑) ライアン・フィリップよりジェイミー君に注目していたので…すみません。 でも、ライアンは、海軍の制服(←この姿での登場シーンも多い)なかなか似合ってましたよ!
♪BGM〜『Voices』by:Keiko Lee
>>『フラガール』
マルタの写真up⇒⇒⇒【パート2】の“旅”
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『太陽』 『手紙』
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