十年前、葬儀全てを執り行つた後、泣き過ぎて赤く腫れた目元を抑えつつ更に込み上げる涙を抑えて獨りで全て抱え込まうと決意した彼女の、あの時の彼女の眞一文字に結んだ口元を僕はまだ覺へてゐる。
ごめんなさい。貴女が僕に促した選擇に逆らつて。
ごめんなさい。貴女の言葉を蔑ろにして。
ごめんなさい。貴女が大事にしてゐた人を殺してしまつて。
2002年04月28日(日)
ごめんなさい。僕は貴方を信用する事が出來ませぬ。
貴方だけを信用出來無いのでは無く僕に其の類の言動を取らうとする男性全てが信用出來無いのです。
貴方の氣持ちも行動も言葉も、全て僕は貴方が込める氣持ちの半分も受取れないのです。
信じられ無いのは信じやうとし無いからで、信じやうとし無いのは其の類の言葉を僕に謂つてゐた嘘吐きが居たから。
僕は如何しても貴方迄もが嘘を吐いてゐると疑つてしまふのです。
何處迄も僕は貴方を信用出來無いのです。
2002年04月19日(金)
何と無くルーズリーフに書いてたメモと送信し損ねたメール。
11/15
・言葉を飲み込む。
12/4
・気を抜くと涙が出そうになる。あかん。精神的にやられてる。
12/9
・一人で居る時の独りより誰かと居る時の独りの方が哀しみが深いのは…当然か。
1/14
・幸せになってね。其の侭幸せで居てね。
1/24
・僕は重たいものを求めて居るのだろうか。何も求めて居無い心算なのに。
2/2
・会場近くでアパート雑誌配っていたバイトさん、面白過ぎ。僕一人を五人で取り囲んでも無駄だと思うな。僕は既に住む所あるから雑誌要ら無いし。
3/23
・君が求めていたのは造花だったのだろう
4/1
・老樹立ち並ぶ様十有余町先より遠望すること城地の如し
4/7
・有難う。君の姿を見て少しだけ安心しました。
4/12
・蜻蛉の如、汝は消え逝く。
4/16
・渦の中の人を救う手段を考えていたらいきなり襟首掴まれて巻き込まれた気分。
・突然出現一隻如雪花
・花中的涙是我滴的是又如何
・『凡てに捨てられた人の、凡てから返事を予測し無い、真実の告白。』
4/17
・「ちょびっツ」の「パソコン」は「火の鳥」の「ムーピー」なんじゃ無いだろうか。相手の望む様に振る舞い行動し様とする、彼等は同じ類のものなのでは無いだろうか。
・”Nosce te ipsum.”,”Know Thyself.”,”汝自身を知れ”
4/18
・嗚呼、そうか。僕は怖くて仕方無いから捨て掛けたカードを再び拾い集めているのだな。
2002年04月18日(木)
考えてしまった。電話の際の無言の時間が齎すものを。一方的になりがちな御喋りの理由を。
無言で相手の存在を感じ乍時間と空間を共有するのが僕は好きで、其れは実際に傍に居る時も電話している時も変わら無い。
相手も其の無言の過ごし方を好んでいるものだと僕は思っていた。
違うのかも知れ無い。
無言は状況に拠って否定にも肯定にも受取れるのだから、僕が心地好く感じる無言の共有を苦痛と感じていたのかも知れ無い。
何を考えて居るのか判ら無い。
そう謂われた事を思い出した。
判ら無いからこそ無言の瞬間を恐れて次々と話題を繰り出してくれるのだろうかと考えて居る。
2002年04月07日(日)
絲が切れさうになる。
惱み事が溜まり過ぎて涙の理由が増え過ぎたから、全部飮込んで解決したかの樣に振舞はうとしてゐる。
空元氣を出し、無闇に明るく行動し、笑顏を浮かべて應對をする。張り切つて空に向けて腕を衝き伸ばしてくるゝゝと走り回る。
そして、僕の居る空間から人の目が消えた瞬間にふつと泣きさうになる。
今僕が心の中で紡がうとしてゐる絲は悲しみや寂しさで擦り切れ無い強さを持つた絲。
胸に滿ちた重い痛みを丸ごと包み込める大きな布地を織る爲の絲。
僕の空元氣の明るさが途絶え涙する度、紡ぎ掛けてゐる絲が度々切れさうになる。
此の絲は最後の頼み、此れを失つたら僕は這い上がれ無くなるのに。
2002年04月04日(木)