足元を踏み外す度に僕が完全に轉ぶ前に支えてくれる人は咄嗟に傍に居る人の腕を掴める程運動神經が良いのだと思つてゐました。
其れだけでは無いのだと知つたのはつい先日。
いつ足を踏み外すかと心配してずつと見守つてゐたからこそ支える腕を差し伸べられたのだと知りました。
僕は獨りで立ち續けて居た心算でした。
差し伸べる手が在つたからこそ轉ぶ回數が少なかつたのだと思ひ知らされたのは、もう手を差し伸べてくれ無くなつた人の存在故。
2002年02月26日(火)
「男の腕にぶら下っている女は嫌い。」
そうはっきりと謂え無くなり始めたのは僕の周りに男の腕にぶら下る女友達が増えたから。
男の腕にぶら下って男に媚び諂っている同性を見ると如何しても侮蔑の眼で見てしまう僕が嫌いだから男の腕にぶら下る女が嫌いなのだ。
誰かに腕を組もうと謂われ拒否したら愛が無いと笑われた。
確かに愛は無かったけど僕が腕を組ま無かったのは相手が彼だからというじゃ無かった。
足元ふらついて居る僕が心配なら腕を組むのでは無く手を繋いでくれ。
男の腕にぶら下る女にだけはなりたく無いんだ。
2002年02月18日(月)
男になろうと思い始めたのは十四年前、女になろうとし始めたのは五年前、僕がどちらでも無いと謂われたのは八年前。
僕は本当に心から自分は男だと思っていたし、心の奥底から女になろうとしていた。此の矛盾が僕が度々抱える矛盾の切欠です。
男らしくしろと謂われた事があり、女らしくなれと謂われた事もあります。
僕はどちらにも反撥心を感じ従いませんでした。
本当はどちらなのかなんてもう考えません。
本当は僕はどちらでも無くなってしまいましたから。
2002年02月16日(土)
手の内に掴めた筈のものに手が届か無い。
手に入りそうな内に掴み取って其の侭繋ぎ止めておけば良かったのにそうし無かったから。
手に入ったもの何でも、繋ぎ止めて己のものにし続ける。
其の哀しさと虚しさを判っていたからこそ僕は伸ばしていた手を引込めた筈なのに、今度は手に入れ無かった所為で別の哀しさと虚しさを感じる。
こうやって生じた寂寥感を度々心の底から汲み出し表面に上塗りし、今在る幸福感を違うものに塗り替えて行く。
浮付いた紅色に成り掛けた僕の心情を心底に眠っていた深緑色の感情に塗り替えて行く。
空の蒼さに染まりつつあった僕の柔かな心の部分を闇の黎さに塗り替えて行く。
貪欲に己の悲哀を追い求めて、手の内に在ったかも知れ無いものの事を考え続けて行く。
2002年02月08日(金)
偏執的な程僕がweb上での僕の個人情報の公開を気にしていた時期があります。
web上では本名も住所も電話番号も性別も年齢も学校名も何もかもを明らかにし無い侭約一年間過ごした事があります。
全て僕の保身の為、web上で僕を追い詰め様としていた野郎に僕だと気付かれぬ為。
本名其の侭のHNを違う物に変え、携帯の電話番号を変え、キャラ作り上げてやっていた莫迦っぽい口調を素の侭の敬語に変え、ISPを変え、行くチャットサイトを変え、全て奴に僕だと気付かれぬ様に事を運んだのに奴は何処迄もしつこく僕を追い掛け僕が僕の情報の一部がチャットや掲示板で少し出る度に直ぐ僕だと気付き攻撃をし掛けて来ました。
いつも僕を見付ける度に如何にも嬉しくて堪ら無いといった風情で馴れ馴れしく僕に話し掛けてきた奴を僕は心底嫌い、奴を僕から遠ざけると同時に僕も奴から遠ざかろうとしました。
だから、ある時期僕は性別も年齢も職業も一切の僕に関する情報を周囲に与え様としませんでした。
チャットや掲示板で僕が僕に関する情報を一切述べ無くなってからも奴はweb上の僕を見付け追い掛けてました。
無料HPスペース提供サービスに登録する度に奴が僕を見付けるのだと気付く迄に随分掛かりました。
其れから僕は本名や住所の記入を求めるクセにセキュリティのセの字も無い状態のサービスには登録し無く為りました。いや、怖くて登録出来無くなりました。
自意識過剰なのでは無く必要に迫られて、自分の情報を公開出来無い人間も居るのです。
こんな理由もあるのです。
2002年02月07日(木)
女友達と僕の好きな人がかぶったら全力で自分の気持ちを忘れて別の方向に向かおうとする、此が僕の幼稚な逃げ方。
僕が付き合っていた人を僕の女友達が好きになった事がありました。
僕は「彼氏より友達の方が大事だから」と謂って直ぐ彼と別れ様としました。
本当は其の侭付き合い続けて女友達も彼氏も両方を失うのが怖かったから。
友達が好きだった野郎に告白された事がありました。
僕の気持ちなんて考えずに相手から逃げて嫌われる事をしました。
大好きだった其の友達が僕を悲しげな眼で見るのに気付いていたから。
女のこに刃物付き付けられ泣かれた事があります。
傷付けられたのは僕の右腕と心。
僕はそんな浮気性の野郎の事なんて如何でも良かったのに。
去年、学校でいつも一緒に昼御飯食べていた友達の一人に告白されました。
同じく一緒に食事をとっていた女友達が其の人を如何想っているのか知っていたから、僕は全力で誤魔化して逃げました。
此の逃げ方は卑怯だと判っていても僕は繰り返します。
他の方法を僕は知ら無いのです。
2002年02月01日(金)