偽善的な君
 だって君は「少しだけなら背負ってあげる」と言ったんだ。
 そう「少しだけなら」と。

 其の科白が僕に如何聴こえたのか判るかい。
 どれほど偽善に満ち満ちて聴こえたのか判るかい。
 全部では無く一部だけを、君は「背負ってあげる」とのたまいたのだ。
 「少しだけ」、そう言われたら何も言え無くなる。全部自分の内に篭めて独りで押し潰されていく。

 全てを背負ってくれる心算が無いなら理解せぬ振りをし続けてくれれば良かったのに。
 本当は何も知ら無いくせに、君は理解した顔付きで僕にそう言ったのだ。
 僕がどれほど突き放された心持になるかなど考えもせずに。

 君も彼奴と同じなのだね。
 「少しなら担いであげますから」、彼奴はそう書いて寄越したのだから。
 同じ様に偽善ぶって僕を突き放すのだね。

 だから、僕はもう君を信用し無い。
 だって君は「少しだけなら背負ってあげる」と言ったのだから。中途半端な同情で更に僕を苛んだのだから。

 きっと次に君に会った時僕は笑顔で言うのだろう、「大嫌い。」とね。
2001年10月27日(土)


 睡+涙
 断続的にしか眠れないのが辛い。
 今の僕は晴明の結界の中に居るのだと思っても矢張り気休めでしか無い。
 あれは外から来る鬼では無く、僕の中に九年前から居るものだから。

 どんなに短い眠りの間にも必ず彼の人が夢に出て、僕は己の涙の冷たさに目を覚ます。
 何度眠っても同じ夢を見る。そして涙を流す。
 目を覚ます度に涙の冷たさと顔が溶けそうな熱さを感じる。
 そうやって何回も目覚める内に、何か僕の大事なものが少しずつ疲弊して取り返しの付かぬ程に迄損なわれていくのが僕には判る。

 うまく眠れたうちはうまく泣けた。
 今はうまく眠れず、うまく泣け無い。
 だけど、まだ眠れる。まだ泣ける。
2001年10月26日(金)


 今日一日
 朝起きたら昨日・一昨日と同様に瞼が腫れて居た。
 腫れた理由は既知。
 亦泣きそうな己を堪えてカーキ色の服に着替えて外出。

 着いて直ぐ、携帯でwebmailチェックし、自分の板の新着書込の転送を読む。
 更に泣きそうになった。一緒に頑張ろうと思って居たから。

 涙が出そうになる度に持参の御菓子を口に抛り込んで抑えて居たら、「泣いた方が楽だと思う。」と年下の野郎に言われ反発。
 泣いた方が己に負けた気がして余計辛いんだ。
 だから、亦口にものを詰め込む。

 昼過ぎに帰宅して黄色の封筒と財布を持って出掛けた。
 郵便局で書留を出し、今日発売だった『呼吸』を探し、食料を買い漁る。
 蜂蜜、納豆、牛乳、バナナ、ゼリー、チーズ、ポテトチップス、ミニトマト…プルーン。何も考えずに目に付いた食べたいものを買い物籠に入れて購入。

 千本と堀川の間を行き来し乍、何度もショーウインドウに映る泣きそうな己の顔を確認。
 何度見ても泣き顔にしか見えなかった。

 帰宅し、ずっと考えていた文章を彼女へのレスにする為にネットに繋いで板を見た。
 余計なものを見た。だから、違う言葉を彼女へのレスにした。
 僕は泣きそうだったから、どんどんものを口に詰め込んだ。

 現在、十九時前。是が今日十九時迄の僕の行動。
2001年10月17日(水)


 美しく醜い花
 セイタカアワダチソウが茂って居る川原をぼんやり眺めてました。
 遠くから見ると鮮やかな黄色が美しいが、近付くとおぞましい程大量の黄の花粉を撒き散らす莫迦でかい花。
 綺麗だけど醜い花。

 彼岸花も綺麗だけど醜い花。
 咲いてる内は艶やかなのに直ぐに枯れて醜くなる。
 僕は綺麗だけど醜い花ばかりを好む傾向がある様です。
2001年10月09日(火)


 首輪
 実家にて。
 TVをぼんやり眺めながら、何か甲高い声でぐちゃぐちゃ喋ってる女子アナの首を見て、「嗚呼、好いなあの首輪。」と思ってしまった。

 首輪が欲しい。
 出来るだけ大きくてごつい感じの赤い首輪が。
 別に色は空色でも黒色でも何でも良いのだけど。
 兎に角首輪が欲しい。

 知ってる?
 首輪をしてる間は僕は人の顔を殴れ無いのだよ。
 背の低い僕が首に何か着けた状態で上方に拳を突き出すと苦しくなるから。
 圧迫感を感じて手を伸ばしたきり、其れ以上何も出来無いから。

 誰かがクリスマスプレゼントに何が欲しいか訊いて来た様な気がする。
 誰だか忘れたけど僕に首輪を下さい。
2001年10月07日(日)


 既視感
 亦、web上で僕と類似した症状の人を見付けました。
 事故の後遺症の方では無く、精神の方の類似した人。

 其の人の日記を読めば読む程、「嗚呼、此の人は僕と同じなんだ。逃げる前の僕と同じなんだ。」と思う。
 きっと彼女は本当にはまだ逃げて無いのだ。
 だから僕はこんなにも昔の己に似た文章を書く人の事が気になるのだ。

 彼女の日記を読めば読む程、僕の事を思い出してしまって辛い。
 彼女の体験は僕のものと酷似して居る気がしてならない。
 実家を離れて居る間は考え無い様にして居る事ばかりが脳裏に浮かぶ。
 僕を本名で呼ば無い母親、帰ると僕の机の上にある彼の人の写真、今と昔を区別せずに生きている祖母、僕を自分の所有物だと勘違いする従兄…。
 全部要ら無い。考えたく無い。

 余分な事を書きそうになる自分を抑えてます。
 何処を切ったかなんて、何という名前の薬を飲んだかなんて、僕は此処で言うべきでは無い。
2001年10月03日(水)
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