直ぐ物事を忘れてしまう僕に何時も何があったのか懇切丁寧に教えてくれるお嬢さん、今度のは貴女に言われ無くても思い出せます。
　だって亦僕は同じ事を繰り返したのですから。前回と同様に心にも無く拒絶した後、己の行為を悔やんだのですから。

　同様の事…思い出したらキリが無い位ある…。
　大丈夫だよ、と差し伸べてくれた手を撥ね付けた…。
　待ってるから、と言う笑顔に偽善だと吐き捨てた…。
　声を出さずに泣いてた僕を、抱き締め様とした腕を振り払った…。
　傍に居てあげる、という申出に要ら無いと言った…。
　おいで、と広げられた腕に飛び込むのを拒んだ…。
　本当に大丈夫なのかという問いに、抛っておいてくれと答えた…。

　誰に如何とまでは憶えて居無い。
　けれど、其の瞬間の相手の表情の印象だけはしっかり憶えてる。

　己の為した行ないがどれ程愚かしいのか判っている筈なのに繰り返すのは本当は判って無いから。
　小学校の頃と全く同じ過ちを未だに繰り返すのもそう。

　「後悔してます。」其れだけでも素直に言える様に努力すべきなのに。

　ヤだねぇ…。
　「君の為に僕は生きて居るんだ。」なんて台詞で今更君を困らせる気は毛頭有りませんよ。
　確かに僕は君に言われたから生きて居るのかも知れない。だけど、其の言葉を君に押付け返す気は無い。

　確かに僕が逝か無かったのは君の言葉が切欠だったかも知れ無い。
　僕の生きて居る理由の何割かは「君の為」かも知れ無い。
　でも、僕は僕の為に生きて居るし僕自身の為に生き続け様として居る。

　今更君に重いものを押付けはし無いから安心して。
　「大好きですよ。」と僕は何度も言うけれど、「僕には貴女が一番大事なのですよ。」と僕は何度も笑って言うけれど、君が重いと思うものを押付けはし無いから安心して下さい。

　ある意味、僕には「君が全て」です。
　だから、今更君を縛る気も重いものを押付ける気も無いですよ。

　僕の事を疑いたくなったら先ず僕に問質して下さい。
　僕が何を考えて行動したのか、言葉を放ったのか、全て訊いて下さい。

　直接訊きもせずに間接的に誤解している内容を伝え無いで下さい。
　僕の行くであろう箇所に書かれても、他人から伝え聞いても、貴女が本当は如何僕を感じているのか判らないのです。
　ですから、何か言いたいのであれば、直接僕に訊いて。直接僕を罵れば良い。

　間接的に言うのは直接は関わりたく無いからだと受取っていいのですか。
　なら、関わらずに居ます。
　僕を排除したいのであれば其の侭勘違いした侭で居て下さい。
　排除したく無いのであれば直接僕に問質しなさい。

　僕の作ったHPを大雑把に言うと「緑のと白いのと赫いのと黒いのと橙のと空色のと黄色いのと紺色の。」
　凄く大雑把に言うとそうなる。

　今の処、ある程度HPっぽく見える程度に作ってあるものは五十個以上。
　未だにHPとして稼動しているものは少数。

　どうせ僕のは自己満足ですから。
　どのHPにも日記らしきものが置かれ、僕が思い出した時に書いた呟きで埋まっていく。
　HPを大量に次々と作っていく意味なんて無い。ある様で無い。
　僕以外の者にも見出せる意味なんて無いのだ。あるのは僕にだけ判る意味。

　黒と赫のHPは未だに半放置の侭記録だけ書いている。
　僕は僕を忘れちゃいけ無いから。
　僕は常に書き続けなければならないから。

　道化師として振舞え。

　違うんだ。
　そんな事をして欲しくて僕は居るんじゃ無い、と言いたいのに僕の涙目は違う意思を示す。

　彼の人の将来や進学や此れからの人生を邪魔したくは無いのだ。
　好きな研究は続けて欲しいし、好きな人とうまく行って欲しいと願える。
　何かを犠牲にして欲しかった訳では無いのだ。
　寧ろ、僕は彼の人の好きな事も生活も行動も全て何もかもにおいて負担になる存在には成りたく無かったのだ。

　嬉しく無いと言ったら嘘になる。嬉しい、だけど哀しい。
　違うんだ。僕は彼の人の重荷に成りたいのでは無い。
　如何言えば伝わるのだろう。如何したら僕は彼の人の人生の邪魔者に成らずに此処に居られるのだろうか。

　言葉に成ら無い言葉は涙になって、目から零れ落ち、ほら、下睫毛がべったりと顔に張り付いて即席のピエロが出来上がり掛ける。
　血の気が無くなった白い顔、泣いて赤くなった鼻、メイクの様な涙の跡。
　後はひっそり笑うだけで僕は即席の道化師になれる。

　道化師として振舞え。泣き乍笑え。
　そして是以上彼の人の道を塞が無い様に此処から離れるんだ。