思考過多の記録
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このところ、あの幻覚のような悪夢は姿を消し、その代わり、時折凶暴性を発揮するような夢をたまに見るようになっていた。 夢の中で僕はいつも家族や知人を罵倒し、ときには実際に攻撃したりもしていた。 医者の見立てでは、それは薬が変わったことによる副作用としての想定の範囲内のようだったが、当該の僕としてはそういう夢の時はいつも寝覚めが悪く、もやもやとした気分になったものだった。
しかしそれも徐々に減ってきて、夢も覚えていないほど熟睡するときもあって、状態は落ち着いてきたかに見えた。 そして今日、僕は久々に恐ろしい夢を見た。 何のいきさつでか、僕は町の小さなパン屋で店員と諍いを起こし、包丁を持ち出して騒ぎを起こしていた。 店員の首に包丁を突きつけたりして暴れ、知らせを聞いた知り合いだか会社の人だかが僕のことを追跡して店にやってくるところだった。 僕は急いで店を出て、逃走を図った。
途中、僕は久々に僕の生まれ育った「あの町」へ戻ろうと思った。 そうすれば、気持ちが落ち着くかも知れないと思ったのだ。 しかし、その町へ向かう道の途中で、僕は奇妙なメモ書きを見つける。 そこには、僕自身の筆跡で、子供の頃に自分が同じように暴れて誰かを傷付けたことが書いてあった。 びっくりして思わず後ろを振り返ると、無表情の男の子が僕をじっと見ている。
それは、幼い頃、まだ小学校中学年頃の僕だった。
僕は怖くなって逃げ出した。 が、その少年は僕を追いかけてくる。 たまらずに僕は小学校に逃げ込んだ。そこは、その少年の通う小学校だった。 まだ追ってくる少年から逃れるために、そして、自分が犯してきた今までの罪を償うために、僕は教室の窓のさんに手をかけ、そのまま一気にダイブした。
そこで目が覚めた。
一般的にいって、確実に死ぬためには5階以上の高さから飛び降りる必要があると『完全自殺マニュアル』には書かれていたような気がする。 僕が飛び降りたのは校舎の3階だった。 だから、僕が死んだかどうかは分からない。 しかし、奇妙にリアルな夢だった。 僕が自殺を決行する夢を見たのは初めてだ。
朝の6時頃に目が覚めて、もう寝たくないと思ったのだが、いつの間にか寝てしまった。 そして僕は、また夢を見た。
今度は、髭面の男がビルのベランダで何か叫んでいた。 何かに抗議しているようだった。 その模様を、テレビカメラが捕らえている。 暫くして男は、やおら近くにいた男の肩に手をかけ、それを足がかりに柵を乗り越えて、下の地面に向かってダイブした。 その模様は、今度は白黒の写真の連写のように見せられた。 最後のカットは、男が頭を下にして落下していく途中の姿だった。 まだ何か叫んでいるように見えた。
そこで目が覚めた。
一体僕の精神状態はどうなっているのだろうか。 確かに、この木曜日あたりから、意味も分からずに気分が落ち込み、観劇の予定をカットしたほどである。 あまり外に出たくなく、何かする気もあまり起きなかった。 でも、僕自身はそれ程深刻には考えていなかった。 が、夢の中で、これまで専ら他人に向けられていた暴力の刃が、ついに自分に向けられたことの恐怖感は大きい。 まさかとは思うが、現実でも僕はふとした瞬間に、反射的に何処かからダイブしてしまうのではないか、と思えてきてしまう。
以前のような、「闘志」もなかなか自分でかき立てることは出来ない、 出口が見えない闘病の中、僕の精神は何に蝕まれているのだろうか。
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