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 生活綴り  咲紀




2003年05月24日(土)  4年間


1999年6月末

私は地方の国立大学の1回生だった。18才。
GWに生まれて初めて染めた髪がやっとなじんできた頃だった。

大学から徒歩20分ぐらいのところにあるワンルームの
アパートに一人暮らしをしていた。

見るモノ聞くモノが全て目新しく
毎日が新鮮な驚きの連続という日々から抜け出しかけていた。

そんな時、友達の付き合いで付いていった学生課で
一枚のアルバイト求人票をみつけた。


『事務職アルバイト・長期勤務可能な方求む。
 電話対応・ファイリング等をして貰います(要スーツ着用)
 時給900円 交通費別途支給』


吸い寄せられた。特にアルバイトをしたいと思っていなかったが
「これは逃しちゃだめだ!」という気持ちに襲われた。

その日のうちに相手先の会社に電話し
翌日には面接。そして3日後には契約書を取り交わした。


1999年7月1日。初出勤の日。



もう、今年で4年になることを思い出した。
早いのか遅いのかさえ今の私には分からない。

ただ、もう4年になるという事実は変えようがない。

私はあの時とどうかわっただろうか?

恋をしった。
化粧はうまくなった。
髪色は少し落ち着いている。
お酒はのめるようになった。
遊び方をしった。

他には?

よく分からない。


でも、この4年間全く後悔はない。
これだけはいえる。


この日(2003年5月24日)、
私は彼氏さんと一日中遊んでいた。
夕食はいつも通り焼肉で
二人で「帰りたくないね」といいながら駅の改札でお別れした。


私は幸せだ。





2003年05月17日(土)  しばらく会わないでおこう

しばらく会わないでおこう。

彼氏さんは充分に優しいし、毎日電話をくれる。
嫌いな人間相手に毎日自分から電話を掛けないだろう。

卑屈な考えた方だけれども
少なくとも「嫌われてはいない」という確信があった。


もう、それだけで充分の様な気がした。


これが月曜日の晩に泊まり、火曜日の朝、
家に帰る電車の中で考えたことだった。


別に泊まった時に冷たくされたという訳ではない。
それどころかいつもと変わらない優しさに
一晩中包まれていて大変心地よかった。

その事が逆に、私に
「癖になっちゃダメだ。自分から離れないと」
と思わせた。

でも、その事は当たり前だが彼氏さんには
伝えなかった。


水曜日の夜もいつものように彼氏さんとの電話があった。
この頃の電話での私たちは大変仲がよい。
同じ職種についたことが幸いして仕事の話で盛り上がることも
しばしばでほぼ毎日1時間以上話している。

そんな会話の中で急に
「ねぇ、咲紀さん。こないだ泊まった時、
 咲紀さんがここに忘れ物してるんだけど気付いてた?」
と切り出した。

困惑する私。特に忘れ物なんてないと思う。
「分かんないよ。忘れ物なんてした?」
と問い返すと

「大切にしてるんじゃなかったの?w
 ダブルチェーンのティファニー、質にだそうか?w」

「あー、やめて!それだけはご勘弁を。
 大切にもっといてよ。」

「分かってるよ。咲紀さん、いつ取りに来る?」

「うん。そのうち・・・」

「はっきりしないねぇ。いつなの?」

「・・・7月に入ったら、取りに行くよ。
 それまでは会えない」

「・・・・分かったよ」

これで私がしばらく会わないつもりだという事を
彼氏さんは知った。

5秒間ぐらい気まずい雰囲気が漂ったが
何事もなかったように会話は続けられた。


こんな事があっても毎日の電話は続く。

彼氏さんと話すのは本当に楽しい。



土曜日の朝は彼氏さんからの電話で目が覚めた。

「本当に取りに来ないの?」

私にはこれが「会いたいよ」と言われているような気がした。
独りよがりの錯覚かもしれない。
それでも私には「会いたいよ」に聞こえて仕方なかった。


2時間後、私は彼氏さんの部屋にいた。
肌を重ねた。
天気がいいので、お昼はケンタッキーで買い込み
近くの巨大な公園の芝生にピクニックマットを引き
二人でたんまり食べる。お昼寝もした。

お互いに夕方から用事があったので
16時にお別れ。

駅の改札でお互いに姿が見えなくなるまで
手を降り続けた。






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写メール日記



掲示板・メールのレス、本当に遅れています。申し訳ありません。
遅れている私がこんな事を書くのは本当におこがましいんですが
みなさんの書き込みやメールはすごくパワーになってます。
本当に書き込みやメールの一通一通、全部宝物になっています。
ありがとう。








2003年05月12日(月)  弱すぎる私


22時半。
居酒屋というにはおしゃれすぎる店の個室に私は居た。

腰にまわされた手が不快で

「ちょっと親から電話がかかってるんで…」

と鳴ってもいない携帯を握りしめ席を立ち、
トイレに向かった。

「しっかりしろ!」と自分に言い聞かせ
頬を軽く叩く。

鏡にはうつろな目でだらしなく
酔っぱらっている私が写っていた。

そんな自分がとても滑稽だった。


しばらくすると頭が動き始めた。

このままだと終電がなくなる。
早く家に帰らなきゃ。
現金はあまりもってないけど、カードがあるから
タクシーでもいいから今すぐ帰らないと。

このままだと取り返しがつかなくなる。


深呼吸を一つすると酔っぱらっていた頭が
急にすっきりしトイレを出ようとすると

彼氏さんから電話があった。


「咲紀さん、今日もお疲れさま。・・・あれっ、
 もしかしてまだ外?」

「・・・うん。飲んでた」

「どこにいるの?23時になるよ。
 終電やばいんじゃないの?」

「うん。だから今から帰るの」

「大丈夫なの?」

急に涙がこぼれた。
「ううん。大丈夫じゃない。

 ・・・声聞いたら会いたくて仕方なくなった」


自分でもこんな事をいうとは思ってもいなかった。
付き合っているときでも言ったことがない言葉の類だった。

だが、この言葉で全てが決まった。

トイレから戻った私はすぐに荷物をまとめ
「親が心配してるので…」と言い、お金を置いて店をでて、
タクシーを拾い彼氏さんの家に向かった。

タクシーには20分しか乗っていなかったが
その間くだらないことをいろいろ考えた。

彼氏さん以外の男の人と二人っきりで食事をしたのって
実に3年振りだとか。
今晩カクテルを6杯のんでる。飲み過ぎだとか。
彼氏さんに酒臭いって思われるかもって思って
慌ててキシリデントを噛んだり。

とにかくずーっとそわそわしてた。

マンションについた。
エントランスで暗証番号を押す。
扉が開く。

はやる気持ちを抑えるためにも一歩一歩
階段を踏みしめて昇っていった。
彼氏さんの部屋の鍵は開けられていた。

中に入ると急に抱き締められた。

彼氏さんは笑いながら
「咲紀さん、酒臭すぎ」
と言いながらも私を離さなかった。

そうされると涙が止まらなかった。

ずーっと彼氏さんの名前を呼びながら
泣いていた。

お茶を飲み、歯を磨き、
服を脱がされ、パジャマに着替えさせられ
そのまま一つのベッドで眠りに落ちる前に
いつものように肌を重ね、
腕枕されたままで朝を迎えた。


私は翌日、日曜出勤の代休としてお休みだったが
彼氏さんはいつも通りお仕事だったので
6時半に起床。


目覚ましテレビを見ながら、今日の占いで盛り上がったり
していた。

そして、ワイシャツを着て、、ネクタイを締め、
一社会人として出来上がっていく彼氏さんをみるのは
いつもちょっと切なくなってしまう。

ボサボサの寝起き姿もメガネを日頃は愛用してるのも
みんなは知らないんでしょ?という優越感も少しあるが
やっぱりいつみても少し切なくなる。

彼氏さんはそんなちょっとブルーな私を見て
「咲紀さんはサラリ−マン嫌い?」
とニタニタ笑いながら聞いてくる。

嫌いな訳ないのに…


そして一緒に部屋を出て、駅に向かい
途中の駅で私は降り、家に向かった。




BBS






2003年05月10日(土)  鎖骨につけられた唇は

手を繋いだ。
指と指を一本ずつ絡ませて繋ぐ繋ぎ方だ。
いつもの繋ぎ方だ。

この繋ぎ方をするのは肉体関係のある者同士だと
ある恋愛心理の番組で言っていたことを思い出した。

少し恥ずかしくなって自分から繋がれた手を離してみると
いつものように

「どうしたの?咲紀さん」

と首を傾げる。


17時頃の新緑の公園は気持ちよく
5月末に買い換える携帯の最新機種のカメラが
凄いんだよと自慢げ言っている横顔を見る。

この人は大きな子どもみたいだと思う。


夕飯はその公園から20分ほど歩いたところにある
魚の創作料理の店にした。
お互いに初めての店だったが、この人の選ぶ店に
今までに外れはない。

文句なくおいしい。
この人の直感はいつも正しい。
その事を改めて痛感させられる。

そう言えばこの2年間一度もチェーン店の居酒屋に
連れて行かれた事がなかったのに気付いた。


夕飯で私はチューハイを2杯。
向こうはビールとチューハイを1杯。計2杯。


二人ともほろ酔いだ。


でも時間はまだ19時半。
お別れするにはまだ少し早い。


「まだ帰りたくない」ということを伝えると
「部屋に戻ろう」と言う。


部屋に戻る頃には、なぜか酔いがまわっていた。
よく考えるとお酒を飲んだのは2週間振りだ。
まわって当たり前かもしれない。


酔った私をベッドの上で膝枕をし、
頬を撫で、額にかかっている前髪を弄びながら

「1時間したら起こすから。それまでゆっくり寝なよ。
 こんな真っ赤な顔で帰ったらお母さんがびっくりするよ」

といい、楽な姿勢で眠れるように私のジーンズのボタンをはずし
団扇で風を送り続けてくれた。

「お茶、飲む?それともアイス食べる?
 チョコのとこだけ食べてバニラの部分は残しても、
 今日は怒らないから食べなよ」

と世話を焼き続ける。どれも拒む私。


からかうような口調で

「一緒に寝てくれないと大人しく寝てあげないよ」

というと、私の横に身を横たえ手はずっと背中をさすっていた。


「これでいい子に眠れる?」

と言われ、「うん」と頷いた。
 
「良い子で寝ようとする咲紀さんへのご褒美はないの?」

ときくと、額に軽く唇をつけてくる。

それが段々下に移っていっても拒まない私。

眉間、瞼、鼻、唇、そして鎖骨。

拒まない私。

鎖骨につかられた唇はとても熱くて
考える能力なんて一瞬でとんでいってしまっている。

耳を触る手や真剣に見つめている目。
全てが愛おしくて仕方がない。

「咲紀さん、イヤ?」

と聞かれると

「イヤだと思ってると思う?」

の言葉が最後の引き金になり
あとは流れに身をまかせたた。



帰りは玄関で軽く2回キスをした。
最後はお互いに軽く抱き合った。



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