ネタバレですって感想は読まないで行くった方がいいと思いました。 その方が真相が語られ初めた時、ぞっとしますから。
と、いうことを踏まえてネタばれです。
その前に、ギリシア神話は出来るなら復習した方がいいです。 アポロンとダフネとアルゴスは特に。。。。 後、ヘルメスとプロメテウスくらいはね。 ついでにゼウスさん家。
現在も裁判中のある新興宗教の起こしたテロがラスト場面なのですが、 そこが出てくるまで、どこの新興宗教でも、 いや、一般的な集団でも、起こりうる閉じられた空間の、 狂気を覗いていると、いう感覚が大変、恐ろしいです。
彼らが自分たちを取材していたTVを見ているという場面が随時あって、TV側もこんな感じだったんだから、あちら側も、もしかして、本当にこんなんだったんだろうな〜というのが気味悪い。
部類的には、ホラーより怖いホラー。人間が兎に角、恐ろしい。
これは風化してはいけないことではなく、 自分が家族が片足でも突っ込みそ〜になったら、 逃げろという教訓……とも違うか。
もしかしたら、加害者の身内になるという想像力なのかな。 そんな落とし穴は本当は至る所にあるとのだろう。気が付かないだけで。
パンフレットにもありましたが、アレ以降の事件って、 理解しがたいものが多く、だけれども、 その一端の社会の一員は確かに私たちということを、 キモに命じなくてはいけないなあと。
なんにせよ、野田さんが演劇人で良かったなあと、思います。
あれだけ多量の若手の出演を引き受けてくれる演出家もこれからの演劇界を考えたら、大変ありがたいです。
……あっ、でも、あまりの話というか、 題材のインパクトにラストが思い出せない。
会場の戸惑ったような拍手の後は一目散に劇場を後にしたせいかしら? ←同僚のウェディングパーティーがあった。
えーと、とりあえず、以下一行感想。
うさんくさい古田さんが好きな方は、観た方がいいです。
ダプネーは新人さん、チャレンジシリーズかと思いました。 ごめんなさい。が、台詞無いとウマいね彼女。
オバチャンは年いった女でないと成立しないので、 銀粉蝶さんの復帰をお待ちしております。高橋惠子さんのも見たかった。
橋爪功さんの役、最初は古神だったのね。というのが興味深いです。 パンフも衣装の文字も、『古神』と書いてありましたが、 舞台上(決定稿)では大家さんと呼ばれてました。
舞台上には現実時間と神時間とマドロミ時間があるらしいのですが、 ↑ちょっとあやふや、 この時間の移り変わりというか、空間の跳躍がもう少しこなれた頃、 もう一度、観たいけど無理そ〜だな。←時間的に。
りえさん、アフロディーテになったんだけど、アフロディーテが黒髪長髪かよと、ちょっとつっこんでました。←局地的ネタ。
ちなみに彼女の衣装は好きです。
社会を描くってこうゆうことなのねと、ちょっと反省しました。
つらつらと、ちょっと考えてみました。以上。
東京裁判シリーズといっても、東京裁判そのものではなく、 証人喚問に呼び出された紙芝居屋の男やら、 証人台に立つ彼らを弁護する弁護士をやらを主人公にした、 三部作の三番目。 しかも、”東京裁判”がほとんど出てこないシリーズ完結編。
終戦から二年目後。 天皇陛下の東北行幸がまもなく行われるという夏の日。 その宿泊先の候補に上がった大地主宅が、 行幸に備えて、模擬訓練をすることに。
その指導をかっての陸軍参謀である男にお願いします。
彼は敗戦の責任を感じ、自殺を試みるが、失敗して、 今は親戚の手伝いをしている男、三宅徳次が角野卓三造氏。 陛下に顔向けできないとしながらも、一目お逢いして、 お詫びがしたいと、この任を引き受けます。
彼が陛下、そのもになり、奇妙な形で模擬訓練は進行していくのですが、、 次第に熱を帯び、天皇陛下そのものになっていく男。 そんな男に対して、その地主の娘、佐藤絹子@三田和代さんは、 陛下に戦争責任の所在を問いかける。
実は、絹子さんは大地主の娘ながら、アカ思想の持ち主と恋に落ち、 しかし、彼を兵隊に取られ、飢え死にさせられたという過去を持つ女。 今もたくさん来るお見合い話を袖にしています。
今のままでは前に進むことが出来ない彼女は、 天皇陛下に一言、謝罪を求め、そして、陸軍参謀は、偽りの陛下は、 彼女の想いに応え、そして、ついに……という話が本編の縦糸。
横糸には、女学校の国語の先生でもある佐藤絹子さんが、 その時々の状況を主語とする日本人にも、問題はなかったのか?と、 天皇陛下の戦争責任だけではなく、日本人全体の責任をも広い意味で言及しています。
その上に、泣けて、笑えて、戦後風俗を盛り込みながら、 歌もありなんて、井上先生やはり偉大だわ。
実は私はこの話は、二度目で、初演の時も、 そして、再演も筋は判っていたのですが、 やはり、ほろほろ泣いてしまいました。
内容そのものだけではなく、恐らく、 演劇の持つ力にもう、涙してしまいました。
目の前に居る陛下に謝罪を追及する娘。 すまないと、実はずーーと思っていたことを、とうとう口にしてしまう男。 その言葉を聞いて、つき物が落ちたようにほっとする娘。
一種の代替行為、それは絹子さんだって充分判ってはいるのですが、 この場面を見て、きっと多くの人が彼女のように、どこかほっとした気分で、 涙するんだろうなと。それが演劇がある意味で、芝居の力なのだと、 なんだか妙に納得してしまいました。
だからというわけではありませんが、他の井上作品よりも、 一直線に目的に向かっている気がします。
いつもより2時間(休憩15分)というコンパクトさもあいまって、 初演の時って、井上先生の時間が無くてもしかして、 1エピソード減らした説がにわかに浮上しました。←ひどい。
でも、初演よりはなんか、遊びの場面が多くなっていて(多分) 熊谷真美さんなんて、こんなに面白かったんだなと、素直に脱帽。 単にこなれただけなのかもしれませんが、でも、可愛くて面白かった。
後、三田和代さんはやっぱり、良いです。 正直、声が辛そうでしたが、ちゃんと可愛いを演じられるんですもの。 絹子さんがラストに徳次にラブラブが成立するのも、 その可愛らしさのおかげかも。
この駆け込みラブストーリーのおかげで、最後なんとなく、 幸せな気分で終演を迎えられて、東京裁判三部作を飾るオオトリの 役目を果たしているのかなと思いました。
さて、お亡くなりなってから作成されたパンフレットだったので、 井上先生の、に簡単な上演歴史とチラシとかも載ってました。
その中には上演中止の運命になったものも多々ありまして、 その一つに【オセロゲーム】というお芝居がありました。 夏木マリさんが出演予定だったみたい。 そして、背後にはシェースクピアと思しき人物が。
見たかったなあ。
【ロマンス】のチェーホフから先、モリエールとシェースクピアをお書きになると、 仰っていられたのに、本当に勿体ないなあ。
今なら、もう少し、【ロマンス】の価値が判るのに。
改めて、先生のご冥福を祈るとともに、 その創作意欲に、改めて、敬意を表したいと思います。
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