海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2004年09月30日(木) しんどい月末

なんとか月末が越せました。

9月は日本酒にとって中途半端な季節(暑くても海やら山やら消費者さんが遊びまわる8月の方がまだマシ)で、思うような売上ができず、資金的にとってもタイトな月でした。

10月ともなれば、またまた酒造の準備がはじまります。12月上旬に「初しぼり」を発売するには、遅くても11月上旬には酒母を立てねばなりません。今月中にあれこれ気になっていることを済ましてしまわないと。

貧乏ヒマなしとはよくいったものです。



2004年09月25日(土) 雪花ちゃん

8月のはじめ、こんなお酒の注文をメールでいただきました。

実は、いとこの娘が生まれ、名を「雪花(せつか)」といいます。
両親の赴任先のドイツで1昨年に生まれ、昨月日本へ帰ってきました。
御社の純米吟醸「雪花」のことは、両親も知ってはいるのですが、
なにせドイツでは入手も難しく、今回、日本にいるので、送ってあげようと思っております。季節柄、あるのかないのか、分かりませんが、あれば、私といとこへ1本づつ送ってください。

さっそく雪花ちゃんの御両親のもとに「雪花」をお送りしたのですが、その御注文主さんが、本日弊社にお見えになりました。

なんでも、町内のホテルでイギリス車を愛好する人たちの集会があって、はるばる佐世保から車を運転してこられたそうです。

生酒を中心に何種類か店頭できき酒していただき、雪花ちゃんについていろんなお話を聞かせていただきました。

お酒の取り持つ縁というのは、味なものですなあ。



2004年09月24日(金) ゆく川の流れは絶えずして


↑パネル交換のため看板屋さんに持っていく「栄とこ」の看板、これが見納めです。

大将が上海に栄転したために閉店した「栄とこ」の次の御主人が決まりました。什器や造作を触らない「居ぬき」という形で、経営者の交代です。

今度も和食を中心にお酒を飲ませるお店だそうで、来月5日(大安)オープンとのことでした。

いくら「居ぬき」とはいえ、お店の名前は変わりますので、看板屋さんにたのんでスタンド看板のパネルを入れ替えねばなりません。

店舗引渡しの際の谷口さんのお口添えもあり、お酒は「竹生嶋」のラインナップをある程度まとめて御取り扱いいただけるということで、看板のパネル入れ替えの経費は弊社もちとなりました。

初期投資が有効に働くよう、がんばって「竹生嶋」を勧めていただきたいと願っています。

新しいお店の名前は何かって? ほろよいはもちろん知っていますが秘密です。
ちょっとビックリするような斬新なネーミングなので、乞う御期待!



2004年09月23日(木) スズメ蜂襲来!

久しぶりの金紋本醸造のビン詰。

レギュラー酒の売れ行きはあいかわらず悪く、2時間半ほどかけて720mlを150本、1.8リットルを1000本ほどビン詰めしました。この時期で普通に売れて、だいたい1ヶ月分くらいの在庫です。

ほろよいは検ビン係で、ビン詰めを終えた製品を検査し、異物の混入やらヒビ割れのチェックをやっています(65度くらいの熱酒をビン詰めするので、熱衝撃で時たまヒビ割れたりすることがあるのです)。

順調にビン詰めが進み、半ばまで終えたところ、どこから現れたのか大きな黄色スズメ蜂が充填機の上をブンブン飛び回っているのを発見しました。

お酒の匂いに惹かれたのでしょうか、刺激しなければ悪さはしないとはいうものの、刺されたら大変です。

一番近くにいた、充填係の竹縄さんを後ろに逃がし、小林君とほろよいで追いまわし、なんとか窓から追い出しました。

のどかな風景とはいうものの、HACCP(ハサップ)にまじめに取り組んでいらしゃる食品関係の皆さんから見たら、目をむいて驚かれるでしょうねえ。








2004年09月19日(日) ドキッとしたこと

ほろよいが毎日チェックしている溜池通信という日記があります。

筆者はアメリカの現代政治が御専門の吉崎さんという日商岩井の商社マンで、今は米国大統領選挙についての分析が多いのですが、広く日本経済なども守備範囲で、ユーモアーのある語り口で読ませてくれます。

9月13日の日記のこの一節「お馴染みさんを大事にしていたら、新しいお客が来なくなる」に、ほろよいはドキッさせられました。

馬券の投票方法やテレビゲームの操作の複雑化、パチンコのリスク(コスト)の拡大を例にあげ、吉崎氏は「どんな業界でも、新しい客を開拓することを忘れてはならない。言い換えると、初心者が入って来やすいような仕組みを作っておく必要がある。」と論じておられます。

日本酒の業界も、日本酒度とか酸度とか精米歩合などなどテクニカルタームが飛びかい、マニアが新潟酒だ、静岡酒だ、酵母はなんだ、アルコール添加はいかん純米酒でなければなどと言いつのっている現状は、初心者に対して妙な参入障壁をつくっていると感じられてなりません(テクニカルタームやスペックを不要だと言っているのではありませんので誤解なきよう)。

ほろよいの店でも、入店したもののお酒の選び方がわからず困った顔をしているお客様をたまにおみかけします。お酒の説明やおいしい飲み方についてはそれなりにプライスカードに書いているのですが、納得してお買い上げいただくためには「どんなお酒がお好みですか」とか「おみやげですか」などと話しかけ、会話をやりとりする中で、お客様が求めておられるお酒をみつけてさしあげることが必要だと痛感しています。

まるでひと昔前のワインのように、初心者さんが「日本酒を呑んでみたいのだけれどよくわからない」とか「日本酒を注文するのがこわい」と思ってしまうようでは、この業界の未来はないように思います。

●米国現代政治を中心に展開するdiaryの他に、週に1度のreportも出色、商社を辞め海外を放浪している御友人の旅日記を連載しているjourneyのコーナーも楽しく読ませてくれますので御一読のほど。



2004年09月08日(水) 昼遊び



↑これは夜ではなくて、お昼の光景です

池波正太郎の「鬼平犯科帳」は、しっとりとした語り口で展開する捕り物劇に、巧みに江戸の風物やグルメが織り込まれていて、お江戸愛好家ほろよいの愛読書のひとつです。

主人公である、火付盗賊改長官、長谷川平蔵の部下に、風貌が「うさぎ饅頭に似ていることから兎忠とよばれている、木村忠吾という若い同心がいるのですが、剣も達者で、盗賊を追い詰めていく平蔵や同僚たちの中で、食いしん坊で遊び好きな彼は、非番の日に「真昼間っから、お白粉くさいのを思いっきり……ううっ、たまらぬ。」などと怪しからぬことを考えながら遊女の元へ向かいます。

そんな、けだるく怠惰な1日をほろよいは味わってまいりました。

「マキノ酒友会」という町内酒販店さんの親睦団体があって、今日は久しぶりの日帰り旅行でした。

跳梁跋扈する量販店や酒DSのおかげで、地元の酒屋さんたちも売上を思っきり減らしていて、1泊旅行どころか日帰り旅行も相談がまとまらないほど結束力が低下していますが(遊びってやつは、忙しいなかで時間をやりくりして出かけるのが楽しいものなのです)、なんとかマキノ町の酒販店さんたちは結束を保っています。

朝9時前に迎えのバスがきて、会長さんのあいさつが終わったとたんに、ビールやら酒カップの栓を開けて乾杯、いつものように朝酒を飲みながら、北陸の温泉地「粟津」に突撃です。

ゆっくり温泉に入って、昼食が二の膳付の大ごちそう!思い切り酒を呑んで、仲居さんをからかって楽しいひとときとなりました(アーなんてオレは怠惰なんだ)。

いつまでこんなことができるのか心もとないのですが、地元の蔵元としてできる限り地元の酒販店さんを応援していきたいと思った一日でした。



2004年09月07日(火) 台風18号




強くて大型の台風18号のおかげで、朝から琵琶湖は大荒れです。

山口や北九州では船が座礁したり、車が横倒しになっているようですが、琵琶湖の今日の波は、ほろよいもあまり見たことがありません。

台風が昼間最接近するのは久しぶりで、雨もほとんど降らなかったので、琵琶湖の荒れる様子がよくわかります。

御近所の皆さんも仕事の手を休めては、琵琶湖の様子をながめておられました。

琵琶湖岸側のほろよいの蔵の敷地には、樹齢200年以上というケヤキの大木があり、近頃、樹勢が弱り気味で、けっこう太めの枝(直径10センチ以上)が、何本か枯れてしまっています。

これが落ちて屋根を直撃しないかと、ヒヤヒヤしながら台風をやりすごした1日でした。



2004年09月04日(土) 今森カード



御存知の方も多いと思いますが、今森光彦さんは琵琶湖周辺の里山の小さな自然を題材にしている写真家です。

その作品のいくつかはポストカードとして販売しておられ、手軽に入手することができます(このあたりではマキノピックランドで販売しています)。

作品を1枚1枚みていると、地元の人間にとって見なれた風景や小動物、自然と人間の営みを、もっとも輝いた瞬間にフィルムに焼き付けるすばらしい才能を持っておいでだなあと羨ましく思ってしまいます。

(技術的な話は別にして)ほろよいがホームページに載せる写真もそうですが、こういう写真は取ろうと思ってとれるものはありません。その地に愛着をもち、使命感をもって何度もその地を訪れる中で、僥倖ともいうべきシャッターチャンスに出会えるものだと思います(1年をマキノに過ごすほろよいも、ああ、今カメラをもっていたらという場面が年に何度あることか)。

「こんな恵まれたところでお酒を造っているんですよ」という思いをこめて、もう1年ばかり(カードが品切れになったときは一時中断しましたが)、吉田酒造の通販で3000円以上御注文いただいた方には、請求書に同封する形をとって今森カードをプレゼントしています。

「竹生嶋を注文したら、もれなく今森カードプレゼント」などと大々的に宣伝はしていませんが、けっこう評判で、楽しみにしておられる方もでてきました。

今後も吉田酒造の裏サービスとして続けていきたいと思っています。



2004年09月03日(金) 健ちゃん逝く

ほろよいの親戚、田中健二さんが65歳で亡くなり、今日お葬式でした。

農業と漁師を生業としておられるかたわらで、吉田酒造の蔵人として、人手の手薄な年は酒造りのお手伝いもしていただいた大切な人でした。

消防団に所属し副団長までつとめ上げ、西浜区の役員も歴任されて人望の厚い方でもありました。

漁師を長年やってこられましたので体は頑健で、お酒好き、酒量は軽くほろよい以上という人でしたが、数年前に体を壊されて、静養しながらできる範囲で家の仕事をしておられました。

それにしても人間80年という時代で、享年65歳とは若過ぎます。

ほろよいももう少し酒量をひかえ、健康には注意しなくては。


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