本日は「栄とこ」の店主、谷口義忠さんの上海進出壮行会の日(いやはや今週は能登出張からはじまって、蔵元の会の総会やら、和魂洋才の会やら、肝臓を酷使する週間になってしまいました)。
店主の解説つきで竹生嶋のラインナップを何種類も飲ませてくれるお店が、マキノからなくなるのは残念なのですが、人生に何度もない大きな決断をして、上海行きを決めた谷口さんなのですから、ほろよいとしても出来るだけのことをしてあげたくて壮行会を企画させていただきました。
今日の谷口さんの料理はごちそうづくしで「鮒寿しの飯のともあえ、栄とこ風」や、ヘシコなど、酒飲みには堪えられない逸品がならびました。お客としておいでになった方の「手製のお豆腐」や「アジの干物」など差し入れがあり、ほろよいの蔵から提供した大吟醸、純米大吟醸のシリーズも好評で、和気あいあいで会は進行しました。
谷口さんには、せっかく食の本場中国においでになるのですから、お寿司だけではなく、中国の食材をいかした料理なども研究いただいて、新しい境地を切り開いていただきたいと思います。
大酔したほろよいはいつの間にやら眠ってしまい、深夜12時すぎまで、栄とこさんのお座敷でイビキをかいておりました。
最後の最後まで御迷惑おかけしました。
きのう、総会終了後の懇親会を抜け、畑大治郎君と合流して大阪中ノ島のリーガロイヤルホテルへ、チーフソムリエの岡昌治さんが企画し、近畿清酒青年協議会が協賛する「和魂洋才の会」に3度目の参加です。
ほろよいのスケジュール管理が悪く、蔵元の会総会とバッティングさせてしまったため、懇親会の音頭取りを喜楽長の喜多社長に無理を言ってお願いしたら「吉田君こりゃあ高くつくよ」とニヤリと笑われてしまいました(さすが滋賀県若手醸造家の旗手ですなあ、貫禄がちがいます)。
ほろよいの蔵からは「辛口純米生原酒」「花嵐 生原酒」、畑君の蔵からは「大治郎 純米吟醸」と「大治郎 吟醸」が提供され、岡さんが事前にきき酒の上、料理といっしょにサービスされていきます。
いつもは純粋なフランス料理のコースなのですが、今回は食材を魚にこだわられ、和食の「鯛のカマの塩焼き」が最初に出て来て、そのあとフランス料理に転じ「サバのマリネ」、メインは蟹を素材にした料理がでてきました(いつもはメニューを記念にもらってくるのですが、今回にかぎって忘れてしまい正確な料理名が御紹介できないのが残念)。
魚料理とはいえ、リーガロイヤルの料理ですから、食材のレベルがちがいますし、味わい盛り付けともゴージャスです。これに地酒が4種類ついて、大阪ソムリエ界のドン岡さんと蔵元さんのお話が聞けて12.000円ならお徳だとほろよいは思いました。
こういうお酒の席にたびたび参加していると、お酒についてはもちろん、料理とか酒器とか、お酒についてまわる周辺の話題について、お客様とお喋りできることが大切だと痛感させられます。
主人役の岡さんは当然、ゲストとして招かれているわれわれ蔵元も、お金を払って参加しているお客様に、楽しい時間を提供する大切な仕事があると思うのです。
口八丁手八丁のほろよいは、「花嵐」のネーミングについてお話しする中で、今年の「花嵐の下で花嵐を飲む会」のエピソードに触れますと、お客様たちは身を乗り出してこられ、「来年は大崎の桜を見ながら『和魂洋才の会』をやってみたいねえ」なんてえ発言も飛び出し、みなさんニコニコでお帰りになりました。
2004年08月26日(木) |
近江銘酒蔵元の会総会 |
いま、ほろよいが会長を務めている「近江銘酒蔵元の会」の総会の日。構造不況業種などと揶揄され、焼酎人気に押されながらも、頑張っている蔵元さんが集まりました。
ほろよい会長1年目は、予算をけっこう使い残してしまったので、総会でお叱りをいただくかなあと案じていたのですが、事業・決算報告と、事業計画・予算案を無事承認いただけました(今年は思い切った事業展開を考えていかねばなりませんなあ)。
総会終了後は、11月からスタートする「近江銘酒蔵元の会・純米酒頒布会」に各蔵が出品するお酒の品質検討会です。
全20蔵元の純米酒・純米吟醸酒がモレなくならび、当日の参加者が3点法できき酒していくのですが、さすがにみなさん秋あがりしていて、春に比べると味がノリノリです。
県外の有力ブランドの高価なお酒(四合で5000円以上のもの)も5点ほど、会の予算で購入してきき酒したのですが、こちらはやはりスッキリとしたものが多く、県外市場で滋賀県のお酒が、重いとか、味が多いとか、甘いとか評価されるのも一面では仕方ないかなあと思ってしまいます(かといって全国の傾向に迎合する必要もないのですが)。
残念なことに、数蔵の出品酒が平均評価2を超えてしまったので、出品するお酒を再考していただくよう、ほろよいから連絡しなければなりません。気の重いことです。
(1良い、2普通、3難あり/という採点で、各蔵元が出品予定酒をきき酒し、集計して平均値をとった結果、ほとんどは1〜2の評価だったののですが、評価が2を超えた蔵が数社ありました。御客様からお金をいただくわけですから、会としてある水準以上の品質を保証するためにも、酒質のチェックはしなければなりません。)
2004年08月25日(水) |
山田錦の出穂はじまる |
能登杜氏夏季講習会からトンボ帰りしてきました。
夕方、酒販店さんあての請求書を配りがてら山田錦の田んぼを見に行くと、出穂(しゅっすい)が始まっていました。
まだまだ田んぼ全体のごく一部で、特に日当たりのよい畦際(あぜぎわ)の株がポツリポツリと出穂していて、ヒゲのような白い稲の花が咲いていました。
ハナエチゼンなど早稲の品種は、1週間ほど前からいよいよ収穫がはじまり、山田錦の田んぼの周辺も何枚か刈られた田んぼがでてきました。
注意するとススキの穂も、少し出ているものもあり、いよいよ秋めいてきたようです。
きのう雨にたたられた地蔵盆の後片付けを、役員さんたちとお昼までかかって終え、「能登杜氏組合夏季講習会」出席と、西尾杜氏、蔵人の石垣さんと顔合わせの会をするため一路珠洲市へ、片道300キロ約4時間のドライブです。
金沢から能登有料道路を通るのですが、道路がますます良くなっています。能登空港も昨年開港したし、いやはや公共事業に恵まれたお土地柄です。
能登半島の背骨にあたる山々を、谷には高架をかけ、山塊はトンネルでうがち、切り崩して真っ直ぐに通じるこの道路を通っていると、昔、ここに住んでおられた方々は、冬場は杜氏や蔵人さんとして酒蔵に行くしか仕方なかっただろうなあ、と思ってしまいます。
なんで能登に興味をもったのか理解できないのですが、火星の研究や、当時未発見であった冥王星の存在を予言した、パーシバル・ローウェルなるアメリカ人が1889年に能登半島の穴水まで旅行し、帰国後『NOTO』という旅行記を出版しています。
数年前に出版された邦訳(能登印刷出版部)をほろよいは持っているのですが、そこに出ている写真にも、当時の悪路の様子がうかがえます(ローウェルは能登半島の先端まで行きたかったようですが、穴水まできてほっこりしたようです)。他にもボラ待ち櫓の写真をはじめ当時の写真がいくつか掲載してあり、当時の能登半島の様子を伝えています。
ちなみに、冥王星の方は、1930年ローウェルの弟子トンボーが発見したそうで、“PLUTO”の頭文字の部分PLはパーシバル・ローウェルのイニシャルになっているそうな(興味のある読者は三菱電機のHPのここのコラムを御参照あれ)。
今日は地蔵盆の日、ほろよいの地区では、30歳から50歳までの男性のグループ「里見会(さとみかい/里の面倒を見る会の意らしい)が中心になり、夜店をひらき盛大に地蔵盆を演出します。
ちょっと洒落て「夕凪カーニバル」なんてえ名前をつけているのですが、子供たちに喜んでもらおうと、運動会用のテントを5張も持ち出し、かき氷やら、焼きソバやらタコ焼きやらの模擬店を開くので準備が大変です。
今年、ほろよいは里見会の会長がまわってきたので、采配をとらねばなりません。どうやら天気も雨のようで、雨の対策で、きのうは11時まで役員さんと打ち合わせでした。
今日は、朝9時すぎに会場の宗正寺(そうしょうじ)に集合、テントの設営をすませたあと、ブルーシートをテントから軒を伸ばしたように張って、雨でも子供たちが遊べる雨よけのスペースを確保しました。
テントと雨よけのシートが張り終えるのを待っていたかのように、雨が振り出し、シトシトと雨が降る中で、5時すぎに子供たちが到着、いつものようにカーニバルが始まりました。
雨よけに張ったシートのおかげで、子供たちは濡れずにすみましたが、終了後のあとかたづけがまた大変。大人は半ば濡れネズミになって片付けを終えました。
はーしんど(ぬれたテントは、天気がよくなって乾いてから撤収しなければならないので、明日まわしになってしまいました。平日が2日つぶれるのはちょっとつらいですねえ)。
きょう、あまから手帳の編集部より見本誌が届きました。
実は9月号(8月23日発売)に湖北・湖西地方の料理屋さんや料亭の特集があって、ほろよいの蔵も2ヶ月ほど前に取材を受けていたのです。
以前から、桜の名所や観光地のスポットとしてテレビや雑誌の取材は受けていたのですが、料理雑誌の取材ははじめてでした。
いつも通り、3軒となりの名料理旅館「湖里庵」さんの刺身のツマ程度の取り扱いだろうとタカをくくっていたのですが、ほろよいが取材で申し上げたことが、かなり記事になっています。
商品写真も、はやりの純米吟醸やら大吟醸ではなく、地元の晩酌酒「銀紋 竹生嶋」で、地元の食材との相性やら、海津の町の歴史にからめたお酒の味わいへのコメントは「我が意を得たり」といったところです。
早朝やたそがれ時の海津の風景写真も秀逸で、やはりプロはいいところを撮られますねえ。
本屋さんに行かれたら、ぜひ御一読ください(できればお買い求めいただくとありがたいです)。
2004年08月20日(金) |
「栄とこ」上海進出壮行会 |
吉田酒造のよき理解者で、私設応援団長でもある「栄とこ」の店主、谷口義忠さんがこのたび縁あって上海でお寿司を握ることになりました。
マキノ駅前のお店は8月末日で閉店し、10月には上海へおいでになるとのこと、町内で、地酒について一見識をもつプロがいなくなるのは非常に残念で、断腸の思いです。
谷口さんの了解を得て、せめてもの思いを込め、壮行会を企画しましたので、「栄とこ」ファンの皆様は万難を排しておいでください。
日時 8月28日(土)午後1時より 場所 栄とこ(JRマキノ駅前 0740−28−0506) 会費 5.000円 栄とこさんの心のこもった料理に 吉田酒造のとっておきの酒を大放出! 「別れは竹生嶋の大吟醸を垂直に飲ろう!」 1995年 常温熟成 大吟醸原酒 黄檗(きわだ) 2001年 竹生嶋 大吟醸(火入/冷蔵) 2002年 竹生嶋 大吟醸(火入/冷蔵) 2003年 竹生嶋 大吟醸(火入/冷蔵) 2002年 竹生嶋 純米大吟醸(火入/冷蔵) 2003年 竹生嶋 純米大吟醸(火入/冷蔵) 2004年 竹生嶋 純米大吟醸生 (全国新酒鑑評会入賞酒) 2004年 竹生嶋 純米大吟醸生 発泡性オリ酒 申し込みは、メールかお電話で ●吉田酒造 専務 吉田肇あて(0740-28-0014/kaizu@pastel.ocn.ne,jp)
●栄とこ(0740-28-0506/ee15@mx.biwa.ne.jp)
2004年08月19日(木) |
山田錦は出穂(しゅっすい)目前 |
おなまけの虫がでてHPの更新と日記をサボっておりました(けっして病気ではありませんし、商売がむちゃくちゃ忙しかったわけでもありません)。
山田錦の方もそろそろ幼穂(ようすい)ができている時分じゃわいと、おっとり刀で久しぶりに山田錦の田んぼへでかけてみると、幼穂どころか出穂(しゅっすい)直前の状態でした。
茎の中にすっかり稲穂ができあがっていて、引っ張り出してみるとごらんの通りです。もう1週間ほどすれば若い稲穂が田んぼ一面に出てくるころでしょう。
人間でいえば、成長期から生殖期をむかえるあたり、中学生から高校生くらいの状態でしょうか。
親はなくても子は育つといいますが、成長期の個体は動物、植物にかかわらず生命力に満ち溢れておりますなあ。
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