2003年12月31日(水) |
ほろよいの一番長い日 |
4時に起床。
まず、ホームページの新年の表紙をかざる写真と新年のごあいさつ、1月のお酒「忘憂」のデータ、新年号のメルマガの原稿をウェブマスターの幡さんにメール。
品切れ寸前になっていた「にごり酒」のビン詰めを一人で9時すぎまでかかってすませ、ラベル貼りは帰郷している弟の毅君にお願いします。
何軒もの小売屋さんから、かけこみの注文があって商品を準備します。「初しぼり」や「にごり酒」のほかに、すでに完成品がなくなっているお酒もあって、今日もドロ縄でラベル貼りです(はーもう少したくさん作っておけばよかった)。
お昼過ぎに準備ができて会社を出発。あちらこちらのお得意さんに納品しながら高島郡を南下、安曇川町でようやく配達を終えました。
今日は配達であちらこちらの商店街を通ったのですが、おおかたの商売屋さんは寒寒として、お客がほとんどいらっしゃいません。
店舗の前に何台も自動車が止まって、にぎわっているお店は、やはり独自の強みをもっていらっしゃる「精肉店」や「製菓店」、「魚屋さん」などで、単に商品を並べているだけの小売店さんには、消費者さんも興味がなくなっているのだとつくづく思います。
景気が悪いとか、ディスカウント店や量販店が悪いとか原因を他にもとめるのではなく、もっと自分たちの商売を見つめなおしたほうがいいような気がします。「売ること」と「並べること」は根本的にちがうのですから。
5時すぎに会社に帰ったら、けさ作ったばかりの「にごり酒」もう4ケースほどになっています。詰める数も一人でやったので少なかったのですが、それにしてもよく売れました。
来年もこの調子でがんばりましょう。
30日は銀行の最終営業日。
ほろよいは地元の酒販店さんをまわって集金です。さすがに12月の集金だけは支払いのよくない小売店さんもキチンと払ってくれます。
地方発送した「初しぼり」の代金も今のところ順調に回収できており、両方あわせて、山ほどたまった請求書の支払いと、10月分の酒税の納付を終えました。
ハーなんだか右から左へお金が動いていくだけで、なかなか手元に残らないのは「なんでだろー」ちょっぴり脱力感を感じる専務さんです。
今日で営業担当さんは正月休み。 明日からは、ほろよいだけの営業です。
まだ積み残した仕事が結構あって、なかなか新年がむかえられません。
明日は銀行の最終営業日(零細企業は31日までがんばっているのに、なんで君たちは30日でおしまいなんだ)。
支払いやら、集金やらで明日はまたまた大汗をかきそうです。
いいお正月が迎えられるように、もうひと踏ん張りです。
2003年12月28日(日) |
黒ネコもおつかれの御様子 |
今日も蒸し米取りを1時間半ほど手伝い、そのあと出荷の準備にあけくれました。
蔵の方は、お正月は仕込みをしないので、麹の作業も少なく、正月休みの帰郷を前に蔵人さんは明るい顔をしています(杜氏さんはお正月も残ります)。
こちらはといえば、発送のほうはピークは過ぎたものの、駆け込みの注文があったりして、バタバタとしています。
「初しぼり」だけは充分に在庫しているのですが、大吟醸や生酒などの完成品が底をつきかけ、注文に必要な数がそろわず、ドロ縄で「詰め替え」(1.8リットルびんで貯蔵していたものを、720mlびんに小分けする作業)して、ラベル張りをするありさまで、作業効率が悪いったりゃありません。
お昼過ぎに、追い討ちをかけるように、ヤマトから「出荷した商品が破損したので代品をだしてくれ」という連絡、これで5件目です。
20日までは破損事故もなく「今年はえらく優秀じゃないか」とドライバーさんを冷やかしていたのですが、どうやら土壇場にはいってお疲れがでたのか、連日の破損事故でイヤになってしまいます。
到着期日指定とか、大切な大口のお得意さんの荷物とかに限って、破損事故がおきるのだから始末に終えません。
年末まであと3日、もう破損事故がないことを祈るばかりです。
お得意先の御婆様の御葬式。
近所のよく知った方の奥様の訃報。
会社の車の追突事故(ドライバーはほろよいではありません)。
配達中に見かけた野猿、十数匹。
15日の「初しぼり」発売以来、配達や地方発送がはじまり、決まった時間に食事もできない毎日。
忙しいときにかぎり、不思議と事件や事故がかさなってしまうものですねえ。 平常心、平常心。
2003年12月14日(日) |
「初しぼり」発売前日 |
きのうビン詰めした「初しぼり」を丸1日かかって配達してまわりました。
12月6日に新聞折込チラシを入れ、「15日発売!」と大見得を切ってしまったので、マキノ今津の主だった酒販店さんには今日中に在庫をもってもらわねばなりません(お客さまは予定より早いのは何もおっしゃりませんが、遅いと怒られちゃいますので)。
1100本詰めた「初しぼり」の大方9割が、1日にしてお嫁にいってしまいました(残りもおおかた婚約済みです)。
手刷りのチラシから始めて、もう何年もPRしているおかげで、消費者さんもアテにしておられ「明日からやね」とか「出たらここと、ここに送っておいて」とおっしゃってくださいます。
酒販店さまからも、FAXで蔵元直送の発注書が頻繁に送られてきています。
あたりまえのことですが、ひとつの商品を会社の大きな柱に育てるには、時間と手間と工夫が必要だとしみじみ思います。
こんな商品があと3つほどあれば、会社ももっと楽なんですが。
めでたく本日「初しぼり」の作業を終えました。
すでにFAXやら、メールやら、お電話で「初しぼり」の御注文を多数いただいております。
明日ビン詰めして、順次配達、発送をしていく予定ですので、注文された方は今しばらくお待ちください。
ちなみに、新酒第1号のデータは、日本酒度−1.5 酸度1.6 アミノ酸度0.6 アルコール分18.5%です。
ひとくちにいいますと「軽快でさわやか、しっかりとした輪郭の、ほんのり甘口の味わい」といったとこでしょうか。
鍋物や、寒ブリのお刺身といっしょに呑むと、こたえられないおいしさだと思います。
ひとあし先に日記を書きながら、ほろよい自身が「初しぼり」を毒味させてもらってます。いろいろしんどい商売ですが、誰よりもはやく新酒が呑めるのは蔵元ならではですねえ。
どうも先週末より風邪気味で、鼻づまりとセキ、からだの節々が痛い、ほろよいです。
蔵元直送の御注文も順調にいただいて、ありがたい話なのですが、体調が今一つで精彩に欠きます。
うちに限らず、家業で「造り酒屋」をやっている蔵の多くは、家族と数人のパートさんや、社員さんで営業していますから、こういう忙しい時期に風邪や、トラブルで1人欠けただけで、会社の生産効率が低下します。
先日はうちの息子が急性中耳炎になってしまい、奥様が朝から長浜の病院に受診させにいきました。その日は「銀紋」のビン詰で、奥様がラインにつくことになっていたのが、アテがはずれてさあ大変。
結局、大奥様と、社長さんが変わりばんこにラインについて、無事作業を終えました。
専務の甲斐性がないために、まだ隠居できない父と母。まったく申し訳ない話です。
もう数日すれば「にごり酒」や「初しぼり」のビン詰めがはじまり、吉田酒造の1年で最も熱い1週間がはじまります。「撃ちてしやまん」の精神でがんばるしかありません。
2003年12月08日(月) |
県境は、うっすら雪化粧 |
仕込みとビン詰めと発送の間をぬって、国境スキー場にお酒の配達です。
あす9日は、いよいよスキー場開きで、山小屋ではテーブルのセッティングや、お掃除でお忙しいようでした。
こちらは、スキー客さんを相手に湖西のおみやげコーナーを設けておられ、少しながら、ほろよいの蔵の本醸造と純米酒もならべてもらっています(暖房が効いた山小屋にならべるわけですから、あんまりデリケートで高価なお酒は置けないしねえ)。
お客様はスキーをめあてにおいでになり、お土産を買われる方はあまりおいでにならないので在庫は少なめです(シーズンオフになって返品が何本も帰ってきたら目も当てられません)。
人工雪の製造機がフル稼働している脇をぬけて帰ろうとしたら、山の上のほうが本物の雪でうっすらと白くなっています。
ほろよいの蔵のある琵琶湖岸では、さほど冷え込まなかったのですが、やはり福井県と滋賀県境の豪雪地帯はちがいます。
この調子で、どんどん冷えてもらいたいものです。
2003年12月07日(日) |
微生物にホリデイなし |
静岡県の、かの有名な醸造指導技術者の方がのたまわれたお言葉です。
生まれて死ぬまで数週間くらいしかかからない、単細胞生物なら話はわかりますが、世話をするこちらは、子供やら嫁やら、会社の銀行口座の残高やら気にしながらの仕込みですから「たまには休ませてくれよう」というのが、正味の気持ちです。
とはいうものの、12月はほろよいも、単細胞生物のようにがんばってます。
今日は日曜なのに、先日お送りしたDMに反響があり、たくさんの御注文をいただきました。
こんな、場末の造り酒屋でも「気にしていただいているお得意様」がおられるというのはありがたい話です。
まだ第1週が終わっただけの師走。お正月まで、まだまだ、たくさんの悲喜劇がありそうです。
今日、高島郡内全域に「初しぼり」の折込みチラシを入れました。
例年、発売1週間前くらいに地元マキノ町と隣の今津町に入れていたのですが、今年は思い切ってエリアをひろげました。
いわゆる「上撰」「佳撰」といったレギュラー酒の販売が低迷し、年末商戦がけっこう厳しい様相になりそうで、今一番消費者さんに「引きの強い」商品を前面に押し出そうと考えたからです。
10数年前なら1級酒(現在の上撰)200本とか、2級酒(現在の佳撰)300本といった注文をいただいたのですが、今はそんな御注文は間違ってもいただけません。
元旦にうまいお酒が呑めるよう、ここが踏ん張りどころです。
ちなみにチラシの「ばぶるはじけてます」は、ほろよいのコピーです。「蔵元秘伝」とか「伝統の杜氏の技」とかお酒のパンフには難しいお題目が多いので、逆にくだけたユーモアーのあるキャッチフレーズを考えてみました。
週刊文春に昔連載されていた糸井重里の「萬流コピー塾」は、学生時代愛読したものです。
いま、もしこれを応募したら「梅」か「餅」くらいはもらえるでしょうか?
12月にはいり、いよいよお仕事が煮詰まってきました。
乙類焼酎に押されて日本酒不況とはいえ、平均月の2.5倍から3倍を売り上げないといけない12月は毎年大変です。
先日発送したDMからのご注文もいただきはじめましたし、明日は「初しぼり」の折込チラシが郡内全域に配布されます。
百万単位の原料米仕入れで会社の銀行口座の数字はみるみる減っていきます。
ボイラーからは変な音がするというんで、急遽メーカーに点検を依頼(なにかあったらお米を蒸すことができず仕込みが全面ストップです)。ハーこりゃお酒の量がふえますわ。
肉体的にも精神的にも、とってもストレスを感じる師走の入りです。
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