海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年05月30日(金) 取材の取材(昨日の田植え取材に思う)

いやはや大変な時代になりました。

プロがお仕事でやっているNHKの田植え取材の様子を、わたくしたちアマチュアがデジカメで取材しているのです。ホームページの普及にともない、不特定多数を相手に個人の情報提供が可能になった現実を、このなんとも皮肉な光景で実感しました。

今はまだ、デジカメの画像と文章をのせるだけがせいぜいですが、光ファイバーなどの高速通信が今後普及していけば、動画や音声なども送れるようになり、テレビでやっていることと同じことが個人で出来てしまうではありませんか。

特に自分の専攻している学問のことや仕事のこと、趣味のことなど、専門知識が必要な分野は、報道のプロがほんの数日取材して、上っ面をなぜたような原稿を読み上げるよりは、もっと正確な用語をつかって、よりわかりやすい情報提供が個人で可能になるのです。

一億総マスコミ化とはいいませんが、ゆくゆくはマクロ経済はこの経済学者のサイト、地酒ならこの小売屋さんのサイトなどと、読者の批評に耐え、信用を勝ち得たサイトが各分野で出来上がっていき、情報発信のかなりの部分が、テレビや雑誌などの既存のマスメディアからホームページに移行してしまいそうです。

でも、いつの世でも必要なのは読み手の見識であり批判力です。ホームページにせよテレビにせよ、いつも本当のことを言っているとは限らないのですから。











2003年05月29日(木) マキノ山田錦田植え(金谷キャスター奮闘す)

4時30分起床。
絵に描いたような快晴! 
田植え日和です。

朝のうちにNHK大津放送局、金谷キャスターの依頼で過去7年の記録写真のうち、ほかの田んぼとの比較できる写真、鹿の食害にやられたときの写真、みんなで一杯やっているときの写真などをインクジェットプリンターで出力(ほんとの写真のように出力できるのですが、時間がかかるのが玉にキズ)。

田植えの取材のあと、蔵内の取材もあるということなので蔵の中も掃除をしたり、きき酒の準備をしたり、あっというまに8時になり、急いで田植えの現場にむかいました。

現地には、吉原さんがすでにスタンバイ中、いつでも田植えがはじめられる状態です。そのあと平井さん親子、NHK大津放送局取材クルー4人と、京都北白川の西村酒店さんからお手伝いの香西君も到着して、9時過ぎ田植えがはじまりました(1町2反のたんぼに田植え機2台、作業人員6人というとっても贅沢な田植えです)。

NHKの金谷キャスターは、今年4月に大津放送局に入社したばかり、非常に初々しく、熱心に取材をしておられ、吉原さんの奥さんから、田植えの服装をかりて実際に田植えを体験されました(へっぴり腰が御愛嬌、6月はじめ更新予定のホームページ表紙をごらんあれ)。

田植えの模様をとった撮影クルーは昼前に吉田酒造に移動、玄関や蔵内、マイナス3度の生酒用の冷蔵庫の様子をとった後、私にインタビューです。ふだんえらそうなことをいっていますが、こういうのはまったくの苦手、思っていることの半分くらいしかしゃべれません。

3時前にすべての取材が終了、クルーは放送局にお帰りになり、4枚の田んぼ(1枚3反)もすべて無事苗が植え終わりました。

田植えを終えた田んぼを見ていると、経営者としての責任が重くのしかかってきました。この日本酒不況の時代に、こんなにたくさんの人の力を借りて収穫したお米を買わせていただき、お酒に変え、販売する。ぜいたくでありがたい話なのですが、プレッシャーもまたひとしおです。

今後ともマキノ山田錦の成長の様子、仕込みの様子は、読者の皆さんに日記や、ホームページの中でお伝えしてまいります。よろしければ今後ともよろしくお付き合いください。








2003年05月28日(水) 若鮎の木の芽炊き

若鮎が美味しい季節になりました。

今、獲れているのは小糸(網の名前)漁と、えり漁(魚の習性を利用した琵琶湖独特の漁法)によるもので、とれた鮎はすぐに漁港近くの加工工場で、水飴と醤油、酒で味付けした飴炊きや、山椒の実を加えた木の芽炊きに調理されます。

知内漁港のすぐそばにある近江屋さんは酒販店経営のかたわら、手広く琵琶湖の魚を加工しておられます。売上額からいうとお酒より、水産物加工のほうが各段に売上がよいのですが、漁師町のお酒屋さんなので、どうしてなかなかお酒もよく販売され、弊社の大得意様です(ちょっと口が悪いのが玉にキズですが)。

6月になると鮎の「すくい漁」がはじまり、とれるはしからどんどん20キロ単位で大釜で炊いていかれます。今でも4時おきでお昼までかかって加工されているのですが、これでもっと獲れるとなると、もう体力勝負の世界です。

炊いた鮎は、これまで大半が食品の卸会社に販売され、最終消費者にはあまり販売されていませんでしたが、最近は加工工場の入り口に、炊いた鮎やエビなどを山盛りにおいて、一般消費者向けの量り売り販売もされています(けっこうお得な値段です)。

お酒にかかわらず、消費するお客さんの口元に、メーカーができるだけ接近していこうとする動きがここでも顕在化しはじめています。








2003年05月27日(火) 千客万来

来客の多い午後でした

午後1時すぎ、となりのとなり町、新旭町の教育委員会、青少年課の職員さんがおみえになり、地元の特産品について小中学生向けの副読本をつくりたいので、日本酒業界の動向、郡内蔵元の販売戦略について話を聞きにこられました。

これからの若い方に、地元の産業に興味を持ってもらうことは結構なことなので、酒米のことや、各蔵の個性を出した酒造りなど、本ホームページに掲載していることなどをお話しさせていただきました。

午後2時ごろ、醸造機械や消耗品を仕入れている安土町の「東洋商会」さんが来訪、これからヒマになる方なので注文するものもなく(お金もないけど)、先方のお出入りしている蔵元さんの動向や、本年度新酒鑑評会の結果などについて情報交換(本年度滋賀県は入賞をふくめて3蔵しか入っていないのはちょっと残念です)。

安土町の周辺には、東洋商会さんのほかに、醸造用品販売の業者さんがあと3社あり、なぜこんな特殊な業種が滋賀の1地域に偏在しているのか不思議だったのですが、どうも昔、酒樽の製造、修理をこのあたりで盛んにやっていて、のれんわけやら、社員さんの独立やらで会社が増えたというのが真相らしいです。

午後3時、弊社のラベル、化粧箱を一手にひきうける大阪「太陽堂印刷」の谷本専務が来訪、在庫がなくなっていた純米酒の三角ラベルと、大吟醸のケースに貼るシールをお願いしました。

商用のあとの雑談中、太陽堂さんのお仕事になる、「土佐鶴」の吟醸酒(海洋深層水仕込み)の話になり、その斬新なボトルデザインに驚きました。大きなメーカーもがんばっておいでなのですね(詳しくは土佐鶴のホームページで)。

午後からはこうしたお客様ばかりで、お酒のお客様はほとんどおいでになりませんでした。











2003年05月26日(月) 今日は銀紋普通酒のビン詰でした

6時起床。今日は午前中、銀紋(普通酒)のビン詰です。

週末にビン詰用の待桶に移動してあった18.2%の原酒に加水して、15.5%までアルコール分を落します。

加水後撹拌し、30分放置してサンプルをとりアルコール分を確認。いくらおおざっぱな専務さんでもこれだけはキッチリやります。

実は、年に1度市販酒調査というものがあり、税務署さんがお金を出して小売屋さんで各社の代表的な商品を買い上げ、アルコール分、日付、法定表示、品質などを検査します。

酒税法により1%ごとに酒税の額が異なってきますので、特にアルコール分のチェックは厳密です。分析値と表示が違うときには蔵元さんまでおいでになって、なぜそうなったのか帳簿をチェックすることもあるので油断できません(まあ、よっぽどルーズにしないかぎりそんなことはないのですが)。

社員さんパートさんがそろった、9時からビン詰め開始です。5月も末となると、従来タイプのレギュラー清酒の出荷は減ってきますので、最盛期の20〜30%少なめでちょうどよい位。お昼までかかるビン詰も、正午まで時間を余して終了しました。

花見や観光、お祭りなど春の需要期がおわり、ゴールデンウイークが終わると、日本酒の需要も一休み、とはいうものの、今年の落ち込みは異常です。がんばって生酒を売らないと、昨年の数字をクリアできません。がんばらなければ。






2003年05月25日(日) ならべること、売るということ。

酒販店さんを訪問すると、がっかりすることがよくあります。

お掃除が行き届いていない。
商品がほこりをかぶっている。
プライスがついていない。
お酒のポップがひとつもない。
直射日光にお酒がさらされている。

数年前のビールやお酒のポスターが色あせてそのまま張ってある(田宮二郎のお酒のカラーポスターがセピア色になってそのまま張ってあるお店を私は知っています。ある意味、お宝かもしれませんが)。

猫や犬が店頭を歩き回っている(飼っている自分は気にならなくても、お客様は気にするでしょう。口に入れるものを売っているんですよ)。

前に渡した試飲サンプルが、事務所の棚にほったらかし。
雑然とした陳列で、いったいなにが売りたいのかわからない。
などなどなど。

御店主はこぼします「お酒のディスカウントが近くにできて売れへんわ」。
なるほどそうでしょう。でも、御自身とお店がかわらないと、離れていったお客様もおいでにならないのではありませんか。

国の規制によって管理されてきた酒販業界では、ひと昔前まで、どこでも似たような価格で販売していましたから、価格競争というものがほとんどなく、メーカーや問屋さんから仕入れた商品を「ならべている」だけで売れていきました。

しかし、昭和の末年より酒ディスカウンターなる業態が勢力を増し、そこに大手スーパーが参入して今や酒の定価というものはありません。

従来型の個人酒販店が価格で勝てるわけがないのです。とすれば、価格以外で勝つ工夫をするのが商売人でしょう。「ならべる店」から「売る店」へ。ビールはともかく酒やワインならDSにならんでいない商品があるでしょう。なぜ、DSと同じ商品をエネルギーを使って販売するのでしょうか。

店頭や什器は古くても、お掃除が行き届き、お客様がおいでになったら、ハッキリした声で(安手の居酒屋のようにただがなるのではなく)「いらっしゃいませ」とあいさつをする。

自分が売りたい商品には、下手な字でも手書きのPOPをつくりアピールする。

必ず試飲をして、自分が売っている商品の味は自分のことばでしゃべれる。

精米歩合、日本酒度、酸度、本醸造、純米、吟醸、大吟醸、生酒、生貯蔵など、よく使われる業界用語は必ず説明できる。

全国の地酒を何種類も扱うのなら、必ず業務店をお得意にもち、商品の円滑な回転を心がける。

商品の温度管理を厳密にする。

自分の得意先の好みを知っていて、新商品がでたとき、あそことあそこのお家ならきっと興味をもってもらえるくらいの見当がつく。

プロなんだから、これくらいは生き残りの最低条件でしょう。












2003年05月24日(土) 5月29日山田錦田植え決定(NHK大津放送局取材つき)

NHK大津放送局から、来週に予定している山田錦の田植えの取材について、打ち合わせにおいでになりました。

おいでになったキャスターの金谷さんは地元海津の御出身で、そのお話を最初うかがったときには驚きました。お母様も弊社のすぐ近くにお住まいで、よく存じ上げている方です。地元の若い方がいろんなところで活躍しておられるのを見ると嬉しいものです。

田植えの現場で、平井(栽培指導)、吉原(栽培)御両名をまじえ、4者で打ち合わせ。でも、なんか話がかみあいません。取材する金谷さんの稲作に対する予備知識が決定的に足りないようです(私も米作りをするようになるまでは似たようなものでしたが)。

弊社のホームページやら、平井さんのホームページやらいろいろとコピーを取っておいでなのですが、どうもその理解までにはいたっていないようです。中学校の先生をご経験の平井さんや、いつも見学者相手に米作りの話をしている私は、ある程度かみくだいて説明できますが、ズブのお百姓さん相手の単独取材はまだ無理なようにお見受けいたしました。

大津放送局においでなら、これから、農業関係の取材もたびたびあるかと思います。この機会を有効に利用して今後の糧にしていただきたいと思います。

落ちあわせの結果、5月29日が田植えの日と決定いたしました。
田植えの模様は、6月はじめ更新予定の、拙ホームページ表紙に御紹介させていただきます。












2003年05月22日(木) 吉田酒造有限会社

一週間くらい前から、検索エンジンのgoogleで「吉田酒造」と検索すると、4番目に拙ホームページがヒットするようになりました。

では、1番目はどこでしょうか?

福井県の「吉田酒造有限会社」です。
となりあわせた2つの県に同じ「吉田酒造有限会社」があるという奇妙な偶然!

福井の吉田酒造は「白龍」というブランドでお酒をつくっておられます。九頭竜川が流れているからでしょうか、かの地には有名な「黒龍」という金看板もあり、福井にはホワイトドラゴンとブラックドラゴンの2頭の龍が棲んでいる訳です。

ホームページをごらんいただければおわかりになりますが、白龍さんは弊社同様、こじんまりしたお蔵ながら、若奥さんががんばっておられ、地元での山田錦の栽培や、プライベートラベルなど、ホームページを駆使して熱心に御商売をしておられます。

2年前、弊社のコンピューターにISDNがつながったとき、最初に検索エンジンで調べたのが「吉田酒造」と「竹生島」でした(自意識過剰ですな)。当時すでに白龍さんは立派なホームページを開設しておられ、思わずメールでエールの交換(洒落じゃないですよ)をしてしまいました。

先方からはすぐに丁寧なあいさつがメールで送られてきて、いつかこれくらいのホームページを作って、Web運営をしてみたいなと心に決めたものです。

ただ会社の名前がいっしょだと、たまにお間抜けな取引先が、先方の注文した資材や、請求書を、弊社に送りつけたりすることがありますので、その点は要注意です。

なにはともあれ、福井の「吉田酒造有限会社」さんはインターネット先進蔵です。これからいろいろとWebを勉強させていただき、弊社のホームページも充実させていきたいと思います。

いつか、弊社のホームページが検索エンジンでトップにくるようにがんばります。











2003年05月21日(水) 酒のない国に行きたい・・・・。

完全な二日酔いです。

きのう三重と愛知県の若手蔵元と一緒に、懇親会をやり、カラオケをがなり、知らないうちに旅館の自分の部屋で爆睡していました。

今日起きたら、頭がガンガン、胃はムカムカ、俺もヤキがまわったねえ・・・。

おまけに、今回の交流会の記録のために持参したデジカメには、昨日のコンパニオンさんとの恥ずかしい写真がいっぱい。
きっと酒か女性で身を持ち崩すにちがいありません(反省)

といいながら、好きな狂歌を一首ご紹介。
「酒のない国に行きたい二日酔。三日目には帰りたくなる」
私の場合、翌日には帰りたくなるのは、どうしてでしょうか。

立派な肝臓と消化器官をいただいた御両親に感謝!



2003年05月20日(火) 三重・愛知の若手醸造家

三重県、愛知県の若手醸造家のグループが、滋賀県の蔵元を見学に来られました。

見学先は、出荷量では滋賀県でも屈指の北島酒造(御代栄)と、本年より杜氏さんが引退し、3兄弟が酒造りをしている浪乃音酒造(浪の音)です。

いずれも頑張っておられるお蔵で、設備も充実していますので、一見の価値は充分にあります。

わたくしは両蔵に何度かおじゃましていますので(見ても、うらやましくてためいきをつくばかりだし)、宿泊先の雄琴温泉、湯元館での懇親会から合流しました。

三重、愛知といえば近所の県なのですが、案外行き来がありません。懇親会場できょろきょろしていると、東京滝野川の醸造試験所時代の知人、杉本さん(神杉)が来ておられ、久しぶりに旧交を暖めました。

初めてお出会いする方々も、そこは同じ商売をしている身、一杯飲んで盛り上がれば、もうお友達です。

お話を聞いていますと中京エリアの都市部は、やはり大手メーカーの勢力が強く、ディスカウンターを中心とした不毛な低価格競争があいかわらず続いているそうです。私が外から眺めていても、面白い個性のある地酒は、中京の周辺部の郡部に多い印象をうけます。

日本酒多難な時節で、あれやこれや悩み事が尽きませんが、皆で盛り上がって、元気を頂戴して帰ってきました。






2003年05月18日(日) 酒質設計

日曜なのにヒマです。
ゴールデン・ウイークが過ぎると、とたんに観光客のみなさんが少なくなり、これから暑くなるほうなので、地元消費もあまりふるいません。

きのうノン・アルコールビールの話から、酒質設計のことに話が展開しましたので今日はそのお話を少しばかり。

「竹生嶋は辛口ですか?」と質問される方がよくおいでになります。10年以上前、1級酒と2級酒だけで商売ができた時代は、おおざっぱな傾向についてお答えができたのですが、今は少量多品種が進み、私どものような場末の蔵元でも、原料米、酵母、仕込みの配合比率を違えて、9種類もの醪(もろみ)を立てています。当然味わいも違いますし、甘辛も商品によって意識的に変えています。

昔のように地元の米で、蔵内の井戸(発酵力に関係)で、蔵つきの酵母(協会7号酵母とか、9号酵母とか選択の余地がない)で仕込んでいれば、おのずと酒質も定まってきますが、今は酒質設計が可能になりました。

日本酒もすでに「原料や環境、杜氏の流儀によっておのずと酒質がきまる」時代から「意識的に酒質を決める」時代になっているのです。

ひと昔前、一世を風靡した「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」というお酒は、当時、愛飲家が志向していた(今でもこのタイプが好みの方は多いのですが)「淡麗で、香り高い酒」を、極端にまでデフォルメした酒質設計の結果、生まれた商品だと私は考えます。

ただしかし、どんな商品展開をするにしても、ひとつの蔵の商品群には一貫した理念なり方針が必要だと考えます。とくに個性が求められる地酒蔵ほど強く「自分の蔵の酒はどういう考え方で造っているのか」を意識せねばなりません。そうしなければ、大手メーカーの物量と声高な宣伝力の前にたやすく蹴散らされてしまうでしょう。












2003年05月17日(土) ノン・アルコール

ノン・アルコールビールがよく売れているそうです。

道路交通法の改正で飲酒運転の罰則・罰金が厳しくなったためで、料理と一緒にたのしめる、酔わない大人の飲み物が求められているのでしょう。

酔わない日本酒は先だって、石川県の「福正宗」さんが「宴会気分」という吟醸風の商品を販売開始されましたが、残念ながら私はまだ口にしたことはありません。

酒質設計の面から言えば、アルコールというのは、ちょうどバックボーンのような骨組みの部分にあたり、アルコール分を薄めていくとその骨組み部分が希薄になり、頼りない味わいになってきます。

それを補強するのが、炭酸の刺激か、クエン酸、コハク酸などの酸味、あるいはホップに代表される苦味になるわけです。

ビールの場合は、ノン・アルコールにしても、炭酸の刺激と、ホップの苦味が味わいの中に残っており、比較的容易に酒質設計ができると思いますが、日本酒はそういうわけにはいきません。

ノン・アルコールどころか、アルコール分5〜10%の低アルコール清酒にしても酒質設計がむつかしく、かって、滋賀県の蔵元の研究会で低アルコール酒を20点程度購入して、きき酒をしましたが、お金を払って、もう一度飲んでみたいというものは数点程度でした。消費者さんも「きわもの」イメージが強く、商品として成功している例もあまり耳にしません。

基本的に、こういう研究は優秀なスタッフがいる大手の酒造メーカーにまかせ、わたくしどものような零細蔵元は、低アルコール清酒やノン・アルコール清酒には手をださないほうが賢明だと考えています。

むしろ、飲んだら酔う従来型清酒の、味わいや風味を追求してくことが大切だと考えています。

なるほど、料飲店でお酒を飲むお客様が減り、廃業に追い込まれた飲み屋さんもけっこうあります。弊社の売上も、特に地元の居酒屋さんや家庭でお使いになられるレギュラーの金紋本醸造(いわゆる上撰クラス)や、銀紋普通酒(いわゆる佳撰クラス)の売上は、前年対比を下回り苦戦しています。

しかしそれは、新しい商品展開や、販売チャンネル、得意先の開拓、提供方法の提案などで対応していけばよいのです(ありふれた考え方なのですが、会社の幹となる商品戦略は本道を歩むべきで、奇策では対応できません)。

最後にクイズをひとつ、「完全に止まっている時計と、1日に1分ずつ遅れる時計とどちらが正確でしょうか?」








答えは、1日に2度正確な表示をする「完全に止まっている時計」です。
(たしか出典は、1970年代にベストセラーになったカッパブックスシリーズの多胡輝『頭の体操』だったと思います。)

市場の浮き沈みにいたずらに右往左往することなく、確固たる自分のスタンスを堅持していきましょう。ただし情報のアンテナは高くかかげ、敏感に。


















2003年05月16日(金) Face Hugger

成人病検診で胃の内視鏡検査をうけてきました。

数年前、胃のポリープが見つかって呑んで以来2回目です。
そのときは、組織検査で良性とわかり経過観察をつづけてきたのですが、今年はもう一度呑んでみようと受診いたしました。

前夜9時から絶食、当日の朝6時からは水もダメという状態で京都府立医大の内視鏡検査室に出頭いたしました。

蔵元の近くの病院でも内視鏡検査をやっているのですが、もし万が一何かあったときは大学病院の方が話がはやいので、こういう検査のときは県境をこえることにしています。

のどの麻酔薬を口に含み、たった3分でノドの奥がマヒ状態、ツバがうまく飲みこめません。マウスピースを噛まされ、ベッドに横向き寝て、まな板の上の鯉状態(こういうときは、あわてずさわがず、相手のなすがままにしているのが一番賢明です)。

さっそく女医さんが、直径1センチ強ほどのファイバースコープをスコスコと挿入しはじめました。

喉から食道へはいるときにちょっと抵抗がありましたが、案外抵抗なく入っていきます。痛みは感じませんが、やっぱり「入ってくるな」という感覚はあります。スコープの当たり加減で時々ウッと嘔吐しそうになりますが、胃の中はカラッポ悲しいかな出るものがありません。

映画「エイリアン」に出てくる、宇宙飛行士の顔にへばりついて、尻尾を口中から挿入していき、体内に侵入していくエイリアンの幼虫(face huggerというらしいです)のシーンをつい思い出してしまう、おバカな専務でした。

どんな姿か知らない方は、検索エンジンで“face hugger”あるいは「フェイス ハガー」と打ち込むとSF関連のサイトがヒットして、グロテスクな姿がみられます。ちなみにこんなモンスターをモデルにしたマスクやモデルが販売されているのですね。知らなかった。

操作している女医さんは気さくな方で、私が涙目でモニターを見ていると、「はいここが声帯、今食道を通っています。これは胃のヒダヒダ、ちょっと荒れていますねえ、ポリープは見当たりませんねえ、なくなっちゃったのかなあ」などと説明してくれますが、マウスピースを噛んでいるのでしゃべれません。

結局、胃や食道に軽い炎症があるけど、気にするほどではないというお話でした。はじめたばかりの「ほろよい日記」が「闘病日記」にならず、まずは一安心。












2003年05月15日(木) 保育器(サーマルタンク)

生酒とか、吟醸酒とか、デリケートな赤ん坊を造っているものですから、吉田酒造の保育器(サーマルタンク)は相変わらずフル稼働です。

花見、センキョ、お祭りの需要と、いわゆる上撰とか佳撰とかいう、野太い酒質のクラスのビン詰めが連続した4月の需要期の合間をぬって、3月末にかかえこんでいた生酒をビン詰めし、だいぶ冷蔵庫に片付けたのですが、まだサーマルタンク2本分残っています。

3日前まで3度の冷水マットで囲っていた生酒が過熟気味でなんらかの処置をしないとちょっと出荷できないくらい味が乗ってしまい、サーマルタンクが空いた昨日、速攻でサーマルに移動しました。

2年前に清水の舞台から飛び降りたつもりで設備したサーマルタンクのおかげで、なんとか時間稼ぎをしている状態です(なんとマイナス3度で1000リットル強の生酒を余裕で囲えるなんてとっても便利)。

しぼったらすぐに、フィルターでろ過し、ビン詰めして、生酒ならマイナス3度、過熱処理済みで10度から15度というような理想的な温度管理ができるのは、よっぽど恵まれた蔵元さんです。

わかっているのに設備投資やら人の問題でできない、このくやしさはやはり場末の蔵元なのでしょう。

もっと稼いで後ろ指をさされない蔵元になるぞお!

PS 明日は年1度の健康診断で、胃カメラを呑んできます。その模様についてはまたレポートいたします。











2003年05月14日(水) 女将の会

地方を旅行して楽しみなことは「その土地の美味しいものと、地酒を楽しむ」ことだ、という人はけっこうおいでかと思います。

大都市ならともかく、地方にでかけナショナルブランドのお酒が出てきた日にはゲッソリです。

東北や、北陸地方では、県産酒をつかう居酒屋さんやホテル、旅館が大半で優等生なのですが、滋賀県はまだまだナショナルブランドの比率が、県産酒よりも高い県なのです。

灘、伏見という二大生産地の近くにあったこと、県内の蔵元がその下請けを長年やってきたという歴史が、県産酒メーカーを卑屈にさせ、ナショナルブランドに県内市場を奪われる大きな原因になったのです。

昭和30年代から50年代ごろのナショナルブランドの地方侵略たるやすさまじく、リベート攻勢、10本に1本どころか2本を無料でつける現物付きサービス(2本つけるので○○盛と揶揄されたメーカーがありました)、新規開店の飲み屋さんに対する自蔵ブランド名入りの看板、酒器、お燗器の無料提供など枚挙にいとまがありません。

今でもパレット単位で買ってくれるディスカウンター相手には、似たようなことをやっているんでしょうなきっと。

先月、発泡酒の増税をあおりたてディスカウンターと結託して、あらけなく発泡酒をうりさばいた大手ビールメーカーと同じです(たかが350缶1本で10円の値上げなのに、今買わないと損なようなムードにさせ、ケースにおまけのラップまで貼付けて、個人に何ケースも売りつけるなど催眠商法まがいではありませんか。売れれば何をしてもよいのか?君たちは!)。

当時は地酒メーカーの大半もまた、ナショナルブランドと同様の勝ち目のない値引き合戦に参戦していたのですが、1部心ある地酒メーカーが志向したのが、品質向上による商品差別化です。

最初は添加する原料アルコールを減らしたり、精米歩合を5%でも向上させたり、ブドウ糖やアミノ酸、酸味料を使ったお酒を全廃することからはじまり、本醸造酒や純米酒、吟醸酒など特定名称酒へのシフトにつながりました(ちょうどこの頃が第1次地酒ブームとよばれ、越乃寒梅などがもてはやされはじめた時分です)。

その後、値引き競争に疲弊した地酒メーカーもその潮流に合流し、努力した結果、「量販のナショナルブランド」VS「品質と個性の地方地酒ブランド」という対立構図が、現在、漠然とではありますが消費者さんに出来上がりました(残念ながらそのどちらにもあてはまらない清酒メーカーが実際にかなりの数存在し、経営難に陥っています)。

これから、私たち地酒メーカーがやらねばならないのは、圧倒的な量販力によってナショナルブランドに席巻された地元市場の失地回復であり、そのための武器は地酒のもつ、品質と個性を前面に押し立てた販売戦略です。

前振りがながくなりましたが、その一環として、本日、仲立ちしていただく方があって、滋賀県の旅館経営者の女将さんたちが組織する「女将の会」の代表者に、滋賀県酒造組合連合会・需要開発委員長としての立場でお会いしてきました。

滋賀県の地酒の良さを実際に知ってもらい、滋賀県の食材と地酒を、最高の条件でお客様に提供していただく。そうした勉強会をぜひとも実現したいとお伝えしてまいりました(決して難しい講話ではなく、こうしたらもっと美味しく料理と地酒がたのしめますよ。そうしたらお客様と地酒談義に花が咲くではないですか。という体験会のようなものです)。

スケジュールと概要がきまれば、拙ホームページでもお知らせいたします(あくまでも酒食を提供しているプロの方を対象にした勉強会なので、一般の方は御遠慮ください)。

一般の滋賀県地酒ファンの皆様には、県産酒のおいていない居酒屋さんや、旅館、ホテルなどに不幸にしておいでになった折に、「なんで滋賀県の地酒がおいてないのお!いつも飲んでる○○なんて最高よお(ちょっとふてくされた桃井かおり風に)」などと御意見いただき、援護射撃をお願い申し上げます(なんてったって消費様は神様ですから、わたくしたちが100ぺん言って実現できないことを一言で実現させてしまうかもしれません)。







2003年05月12日(月) Yellow Flag 21

なにやら、わけのわからない和製英語ですが、春の交通安全週間最初の登校日の朝、PTAや老人クラブ、町会議員さんなどなどが、マキノ町最大の交差点(JRマキノ駅前通りと湖周道路との交差点)にずらりと並び、黄色い旗を振って交通安全を呼びかけるというイベントです。

立場上私も参加、7時20分現場到着、すでに50人以上の皆さんが黄色の蛍光色のジャンパーを着用してずらり。そのうちに町長さんや、今津警察署長さんもおいでになられ、パトカーも赤色灯を点滅させて2台横付け、なんとも仰々しいことです。

これだけ並べばドライバーの皆さんは圧倒されてスピードが落ちるというものですが、それでもいるのですね、平気でぶっ飛ばしていく無神経な輩が。

今日1日で、ネズミ取りにいく警察の車を2回も見かけました。けさは、今津警察署のまん前でシートベルトの検問があったそうで、ごっそり違反者が切符をきられたそうです。

近頃は違反の罰金もばかにならず、飲酒でつかまったらサラ金で借金しないと払えないくらいです。安全運転しなければ。





2003年05月10日(土) PTA総会に思う

今日はうちの豚児たちが通っている、マキノ東小学校のPTA総会です。
親御さんたちが出席しやすいように土曜を通学日にし、午前中は授業参観、午後から総会のスケジュール。

授業参観は嫁さんにまかせ、総会は恥ずかしながらPTA会長の私が出席しました。

現在、小学校のかかえる1番の課題は、「子供たちに土、日をいかに有効に過ごさせるか」という問題です。

そもそも、私たちが子供のころ、塾通いや受験競争が激化して、こどもたちが勉強ばかりで、家の手伝いや、体作り、基本的な礼儀やしつけなどができていないという反省のもとに、ゆとり教育が提唱され、今、ようやく実現したわけなのですが、休みをふやし、学習要領も3.14が3になるような改善(改悪?)をおこなったものの、実際に子供たちが休みに何をやっているかといえば、コンビニやショッピングセンター、ファストフード店をうろついたり、TVゲームでピコピコというお粗末。

先生が勉強を教えるのはもちろんのこと、週休2日を有効に利用して、地域社会や親、家族がもっと子供の教育にかかわっていこうというのが総会の趣旨でした。

きちんと靴のひもが結べ、箸がきちんと持て、カッターや包丁などを危なげなく使え、雑巾がきちんとに絞れる(「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」など宮崎アニメで、子供が雑巾をしぼるシーンが出てくることの意味をかみしめてみたことはありませんか)。

基本的な体力が身についていて、子供たちだけで遊べて、けんかをしても相手に再起不能になるような精神的、肉体的打撃をあたえない(同種の野生動物間では普通の行動だそうです)。

あたりまえの子供が今、少なくなっています。

勉強は中学生、高校になったらいやでも集中してやらねばならなくわけです。人間として、動物として身につけておくべき基本的な事柄を、小学生のときにまず学んでおくべきだと考えます(それで、まだ余裕がある子供は塾通いでも習い事でもなんでもやってよいではないですか)。

知識があるということと、本当の意味で賢いということは違うと思うのです。




















2003年05月09日(金) 「鳰」がとれた

今日、商標の登録管理を依頼しているI特許事務所から、商標登録証が送られてきました。

商標登録4660075号 竹生嶋(ちくぶしま) 指定商品区分33類 です。

じつはこの商標、ずっと埼玉県の造り酒屋さんが押さえておられ、祖父の芳太郎が登録しようとして果たせず、やむなく頭に「鳰」をつけて、「鳰竹生嶋(におのちくぶしま)」として登録したいわくつきの商標です。

地元では事実上、「ちくぶしま」と呼ばれ不自由はなかったのですが、遠方のお客様や取引先、出版関係の方は、正確を期するために「えーっと最初の文字はどう読むのですか」と気を使って問合わせいただいたり、「ワープロでは簡単に出ないので苦労しました」とか御負担をかけていました。

なにしろ「におのちくぶしま」では、発音がもたついてしまいます。ようやく商標登録でき、名実ともに「ちくぶしま」と名乗れるようになりました。

とはいうものの、「ちくしょう島」とまじめな顔でおっしゃるお客さまや、酔っ払って「ちくび島」などとのたまう方も現実においでで、専務の苦労はまだまだ続きます。

近江商人が関東や東北、北海道に進出してそこで根をおろし、造り酒屋(ほかには辛口純米酒が人気上昇中の「琵琶のさざなみ」さんもそうです)や、銀行(下北半島の先端、むつ市で信用金庫の役員をしている方にお出会いし、先祖は滋賀県人ですと自己紹介を受けびっくりしたことがあります。)商社やデパートなどを経営されている例はたくさんあります。

この埼玉の蔵元さんも出身が滋賀県で、御先祖が関東にいて故郷を想い「竹生嶋」という商標で御商売をされていたようですが、最近はあまりつかわなくなったのか、更新をされませんでした。

こういうことは、インターネットが発達したので、これまでのように特許事務所にお金を払って調査依頼しなくても簡単にできてしまいます。

御興味のある方は、特許庁ホームページ http://www.jpo.go.jp/indexj.htmからはいりこみ、資料室→特許電子図書館トップページ→商標出願・登録情報で検索することができます。お気に入りの銘柄を検索してみると、蔵の歴史やら、雑学、話のネタなどが発見できて面白いものです。

ちなみに「竹生島」と検索すると、現在この商標を持っているのは、竹生島にあるお寺、宝巌寺さんと、お灸の会社、日本セネファの2者がヒットするはずです(ちなみに島と嶋ではコンピューターは別の認識をしてしまいますので御注意ください)。

弊社の新商標も電子図書館に書きこみが終わっていれば「竹生嶋」でヒットするはずです(今確認したところ、現在メンテナンス中で12日の朝8時まで検索サービスが停止しているようです)。

こんな仕事でもしていないと、特許庁の商標登録証など目にされないでしょうから、参考までに「竹生嶋」の商標登録証の写真を、ウェブマスターの幡さんにお願いしてホームページのどこかに貼り付けてもらいました。

さてどこでしょうか。御笑覧あれ。















2003年05月08日(木) 74式

払暁 雷鳴と豪雨の中で朦朧。
疲れがたまっているのか、布団からなかなか出られません。
6時45分のマキノ町防災無線定時放送(毎日マキノ町の情報を大音響で茶の間に押売りしてくるニクイやつ)を聞いて、エイヤと羊水の中から飛び出しました。

午前は純米大吟醸の新酒を1.8リットルビン600本強、生酒のままビン詰め、午後と明日ですべて火入れしてしまいます。

午後は火入れを小林、早藤両君にまかせ、近江銘酒蔵元の会・純米新酒頒布会のお酒を滋賀酒販本社まで配達です。

滋賀酒販は滋賀県卸会社の雄(というかライバルのO酒販が倒産したため一人勝ち状態)で、大津市の玉野浦に本社ビルをかまえておられます。

お酒を納品後、経営相談室のS氏と意見交換。
蔵元の会は20の蔵元の寄り合い所帯、滋賀酒販さんは県下6ヶ所に支店をかまえておられ、メーカー各社、卸会社の各現場が、ひとつの目的意識ををもって、頒布会を実施する難しさを感じました。

帰りに海津大崎のお花見でご一緒した浜大津のO酒店を表敬訪問。帰途につきました。

夜9時ごろ今津までたどりつくと、積載重量40トンの大型トレーラーが自衛隊のジープの先導で移動するすぐ後ろについてしまいました。

何事かと乗っけているシートをかぶった大きな鉄の塊をまじまじ見ると、大砲がこっちを向いています。74式戦車を搬送しているところにぶつかってしまいました。

マキノ町のとなり今津から新旭町にかけては饗庭野演習場という旧陸軍から使われている演習場があり、現在、戦車の部隊と、航空自衛隊の地対空ミサイル、パトリオットのサイトがあります。地雷の処理も行なわれており、小泉総理も現場を視察においでになったことがあります。

どうやらそこで運用している74式戦車をどこかへ移動するようでした。

昔は自衛隊員のみなさんも、よくお酒をお呑みになり、今津の居酒屋さんもはやったようですが、いまではそれほどでもないようです。

たまに、北海道や九州の自衛隊の駐屯地近くの方に「竹生島」を発送してほしいという注文をいただくことがあり、自衛隊つながりで弊社のお酒も全国にひろがっているのだなと感じています。






















2003年05月07日(水) アクセス1000突破御礼(30日目)

本日、弊社のホームページへのアクセス数が1000を突破いたしました。

4月8日にアップ以来、ちょうど1ヶ月、おつきあいいただきました皆様には厚く御礼申し上げます。

専務の私は文章とデータを提供していくだけで、これを編集しているウエブマスターの幡さんの力によるところが多いと思っています。

ちいさい蔵ですが、地酒の蔵元ならではの酒の情報、地元の情報を発信していきたいと思います。今後ともよろしくお付き合いください。


本日は6時すぎ起床。先月末のお祭りや、町会議員選挙、ゴールデンウイークのおみやげ需要などで、在庫が3ケースになっていた金紋、本醸造のビン詰を9時より開始、これから1.8リットル瓶の出荷は目に見えて少なくなるので、最盛期の半分の量をビン詰め、11時前に終了し、午後からは小口の配達にまわりました。

連休中にある程度はけたのか、純米酒の720ml詰とか、辛口純米生原酒や吟醸生の300ml詰など特殊物の注文が多かったです(ビン詰めやらラベル張りやらこまこまと手数がかかるのですが、この御時世注文をいただけるだけありがたいと思わなければ)。

社員のみなさんには、ビン詰めの後始末の後、近江銘酒蔵元の会の頒布会の5月分のお酒の準備と、明日詰める純米大吟醸のビン詰め準備をしてもらいました。

この頒布会、20の加盟蔵元から、それぞれ純米酒、純米吟醸クラスのお酒が、つめ合わされ、価格も300ml詰1本440円程度とけっこう出血価格で提供している割に発注が少ないのです。

滋賀県の本気でやる気のある蔵が、商売気を出さず、自分の蔵の自信作をリーズナブルな価格で出しているのに総口数が県下で500セット以下(県下20の蔵元の、本年の仕込み結果が一目瞭然でわかるというこんな企画は他の県ではやっていないぞう!)

あまりにふがいない小売店さんが多く、出品している蔵元にも購入の依頼がくるという情けなさ(ちなみに弊社は10口頼みました)。

ビールや発泡酒はディスカウンターにお客をとられ、ワインは専門知識がなくてダメ、焼酎も「いいちこ」の割り当て待ちで、宮崎の有名焼酎蔵と直取引もない。
利益商品は自分の足元にある、昔からお取引している地酒蔵しかないと思うのですが。

もし地元の地酒蔵がなくなったら小売屋さんは何で商売するんでしょうか?
酒団法成立50周年記念事業とか雲をつかむようなことを言わずに
もっとがんばって地酒を売ってくれい!














2003年05月05日(月) 好きなもの(1)

連休最終日、足りないお酒のラベルを貼ったり、店番をしたり、ゆっくり一日ゴロ寝ができないのはつらいものです。

というわけで、日記のネタがきょうはありません。
たわむれに専務の好きなものをあげていきましょう(案外性格がわかったりして)。

●好きなマンガ作家
星野之宣(ブルーシティー、2001夜物語/魔王星の設定とストーリー展開がまことに秀逸。ヤマタイカ、ブルーホール)

諸星大二郎(生物都市、暗黒神話、孔子暗黒伝)

萩尾望都(11人いる、100億の昼と1000億の夜)

鴨川つばめ(初期のマカロニほうれん荘、機関銃のようなパロディとギャグの連発が心地よい、ギャグマンガ界の華麗なる一発屋)

秋月りす(OL進化論、最近は朝日新聞日曜版にも描いてますね)

●好きな小説家
山本周五郎(樅の木は残った、青べか物語、赤ひげ診療譚、山彦乙女、寝ぼけ署長、武家わらじ/しっとりと練りに練ったコシのある文章が大好きです)

池波正太郎(鬼平犯科帳全シリーズ、心付けの渡し方がにくい)

松本清張(初期の短編、真贋の森、張り込み、青のある断層、天城越え)

渡辺純一(初期の作品、花埋み、ダブルハート、当時より女性の艶みたいなものを書くのはうまい人でしたが、最近のものはちょっと食傷)

山口瞳(江分利満氏の華麗な生活、酒呑みのサラリーマンの心理にシンパシーを感じてしまいます)

アーサーCクラーク(2001年宇宙の旅の原作者。個人的には「地球幼年期の終わり」が好きです。

●好きな映画
ゴジラ(初回作)、地球防衛軍、赤ひげ、ファンタジア、蒲田行進曲、天城越え、影武者、大脱走、愛と青春の旅立ち、太陽がいっぱい、カサブランカ、渚にて

好きだったTV番組
ウルトラQ(ケムール人大好き、ガラモン、バルンガ、ペギラ)

ウルトラマン(定番のバルタン星人、メフィラス星人、ゼットン、ブルトン、ペスター)

ウルトラセブン(オープニングシーン、ウルトラホーク1号射出シーン、チャームなエレキング、あぐらをかくメトロン星人、チブル星人、悩むモロボシ・ダン)

謎の円盤UFO(スカイダイバー隊員の網シャツユニホーム、ムーンベースの女性隊員のメタリックなウイッグ、インターセプター発進シーン、コンピューター衛星シド)

サンダーバード(1号、2号発進シーン。ジェットモグラ)

飛び出せ青春(あの熱血教師、村野武範が食いしん坊万歳に!トホホ)

男たちの旅路(若き日の桃井かおりのけだるい演技と、鶴田浩二の渋い演技)

電子立国日本の自叙伝(トランジスターから始まる半導体、IC、超LSI、電卓戦争など戦後日本の物作りの現場を丁寧に取材した秀作)

新八犬伝(豪華絢爛な辻村ジュザブローの人形は子供心にすごいと思った)

赤ひげ(NHK版、赤ひげ役の小林桂樹はハマリ役。脇役の若き浜木綿子はしっとり和服美人で小学生ながらポッとしたもの。1年間の放送で、赤ひげのメインストーリーの中に、山本周五郎の短編ストーリーがちりばめてあり、各話充実してました)

まだまだ出てきますが、次回のネタ切れの時に取っておきます。
















2003年05月04日(日) 日給と時給

「昔は一日働いて、酒が1升買えんかった。いまは安くなったものだ。」
もう数年前に他界された酒販店の御主人が、よく口にしたお話です。

昭和20年代から30年代当時、土木作業場に人足にいき、夕方もらった日給で酒屋さんに行っても1升買えなかったそうです。

酒飲みはやむをえず、量り売りで2合とか4合とかのお酒を買い、残りを家計に入れたそうですが、この当時は御主人が大酒飲みだと家が傾くということが現実にあったようです。

今では家が傾く前に、自分の体が持たないでしょう。お安い酒なら時給程度で1升買えてしまうのですから。

現在の物価水準に比べ、相対的にお酒の価格が安くなったわけで、この稼業がはやらないわけです。

ここでちょっと算数の問題を・・・。
アルコール分13%(お安いお酒は、酒税節約のため、アルコール分が2%ほど低いものが多い)、1.8リットルで小売価格1.000円のパック酒の酒税はいくらでしょうか?

ヒント
アルコール分15%の清酒1000リットルにかかる酒税は140.500円で、これを基準とし、1%増減するごとに9.370円増減します。

答えは
(140.500ー9.370×2)÷1000×1.8=219円
(円未満切り捨て)


それではここから原材料費を推定してみましょう。
1000−219=781円として

ここから小売店さんの利益、問屋さんの利益、メーカーの利益を差引き、

さらに、広告宣伝費、流通経費などを差し引き、
そこからさらに、製造と販売にかかわる社員さんの人件費、燃料費、電力費、容器包装費などを差し引いた残りが、中に入っているお酒の原材料費です。

なにやら物悲しくなってきませんか。
















2003年05月03日(土) ハリーポッター

妻が「ハリーポッターと秘密の部屋」のビデオを購入
連休の初日に見ていました。

初回作に比べると、ポッター君は肩幅が少し大きくなり、ハーマイオニー嬢はチャーミングになりましたねえ。この時期の子供は成長が早い。

ぼんやり屋のロン君だけが、あんまり代り映えしない様子。そのわりには自動車を暴走させたり、いっぱしに不良しています

この映画には、ゴブリン鬼やトロール鬼(たしかムーミンもトロールという設定で原作者のヤンソン女史が日本のアニメを見たとき「これはムーミンでない」といったとか。)、屋敷しもべのドビーなどの妖精やモンスターが出て来たり、ひねくれ屋のイギリス人らしいブラックユーモアーがちりばめてあったり、昔読んだ「マザーグース」の世界と相通じるところがありそうです。

英語力のない私としては、この映画を充分に咀嚼できないのですが、”Rain rain go to Spain.”ばりの韻を踏んでいたり、飛び交う魔法の呪文にもなにかイミがありそうで、その道に詳しい人ならもっともっと楽しめるのではないかと感じています(英文科卒の愚妻はどうもラテン語ぽいと申しておりました)。





2003年05月02日(金) 新企画

Aコープ今津店様より、問屋さんの滋賀酒販を通じて弊社に依頼がありました。
地酒を前面に押し出した売り場を作りたいので協力してほしいとの依頼です。

新規の酒販免許をもらった売り場は、えてしてディスカウンターもどきの販売手法で顧客を確保するのであんまりお付き合いしたくないと思っているのですが、地酒は利益商品として認識していただいたのか、定価販売を前提に売り場の一番よい場所を竹生嶋に貸してあげましょうとの好意的なお話で、私もひと肌ぬごうと思いました。

基本的にAコープさんは農協なので、お米の専門家としてのスタンスを大切にした売り方がよいのではないかと考え、「酒造りは米作りより」というキャッチフレーズで売り場を装飾しようと考えています。

「武士は自らを知る主君のもとで死す」わたくしは死ぬつもりはないですが、うちのお酒のことを理解し、なおかつ拡販しようとする小売店さん、消費者さんのためには一肌でも二肌でも脱ぐつもりでいます。








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