ひっそりと ひとりで過ごしていた図書室に アサキが訪れるようになった
アサキとわたしは別々の机に座り めいめい好きなことをする
ときどきこちらから話し掛けたり アサキがそばへ来たり
このあいだ気付いたのだけど アサキ、かすかに青竹の香り
今日みたいな雨の日は その青竹がいっそう冴えて
1時間目から6時間目まで 体育だったらいいのになぁ
うんとうんと走って からだが足になるくらい走って いつのまにか 向こうの空が赤く染まってる
とつぜん ものすごくお腹がすいてる事に気づくんだ そんで慌てて家に帰るんだ 走ってさ
ながれてくるのは 恋な歌ばかり
歌をつくる人たちは 恋きちがい
人間だけじゃない あの雀も ちょうちょも 死んでた猫も
みんなみんな 恋きちがい
「トマトとマヨネーズは別々に食べるんだよ」
「どうして」 「素材の…」 「の?」 「素材の… 素材の… なのだ」
「わかんないけど、わかったわ」 「よし♪」
その針が
いつかこの指を 打ち抜きそうな気がして
おとうさん 帰ってこない土日は 何して過ごしてるんだろう
寂しくないのかな どんなこと考えるんだろう
ちょっとはぼくたちのこと 思い出したりしてるのかな?
キヨちゃんと真理奈と 家庭科で使う布を買いに出掛けて
青いデニムと 木でできた大きなボタンを選んだ
これでお弁当袋つくるの
姉ちゃん。
オレ、玉子は好きだよ 好きだけど
中華丼にニワトリの玉子って
なんでかあんまり 嬉しくないっぽい
2003年05月15日(木) |
もしもし、算数の神様 |
もしもし、算数の神様 福音なんていらないから
かわりにわたしを 一枚の紙にしてください
ああしてそうしてこう折れて
わたし 紙ヒコーキになります
すぅっと窓から飛んでいきたいんです
2003年05月14日(水) |
わたし、みつばちなの |
サツキの 白い花をちぎって くちびるにはさみ 蜜を吸う ひとつ ふたつと 蜜を吸う
わたし みつばちなの
でも 自分だけのためにこれしてるから 悪い子なみつばち
工作箱からハサミをだして 消しゴムのカバーを少し切る
消しゴムは ono になった
なんかすごく 5月な感じがした
2003年05月10日(土) |
わかるような わからんような |
「行けるわ」 「休んどけよ」
「ううん、土曜だし…」 「土曜って何かあんの?」 「好きなの」 「何が」 「土曜日が」
…わからん。
「計っとけよ」 「え」 「熱、出てんだろ」 「…そぉなの?」
姉ちゃん。 なんでいつも気付かないんだ?
ショウタと帰る 白線の上だけ歩いて帰る
下は谷底で 落ちたらピラニアに食われる
ショウタは2回落ちて 両腕なくなってる
キビシーよなぁ って声かけたら え?別に… とか言ってる
こいつ 白線じゃなくても きっとすぐ落ちるんだろな
放課後、図書室にいるとアサキが来た
わたしの手にしていた本をのぞき 「おまえ、そんなん読むの」 と驚いてる
「写真だけを見てる」 と答えると 「…ヘンなやつ」 と笑った
それはあなたでしょう、と思い そのまま言ってみたら 「うぉっ」 と痛い顔で笑った
ぼくとナカヤンとショウタ 腕を見せ合ったら ぼくは2番だった
そのショックで 一時間目の国語は ごんごん眠ってしまった
おとうさんは、顔と腕と足が日焼けした
ぼくはすでに焼けてるから とくに変わらなかった
夕方、駅の改札口。 じゃあ、と手を振るおとうさんの歯が キランと白く光って
「いまの何か、ヒーローみたいだったね」 と言ったら 姉ちゃんが大ウケしてた
昨日から、おとうさん帰ってきてる
今日はどこ行こうかって話をしてたら 姉ちゃんが 「あたしはいい、本読みたいから」
ぼくとおとうさんは 釣りに行くことにした
おとうさんがウトウトしたり エサとられたりしてる間に、ぼくは4匹釣った
2003年05月03日(土) |
アサキ・4 (アサキ→4月17日) |
アサキと本屋で待ち合わせ。
時間より早く着いちゃって マーガレット読みながら(でも頭に入らない)待った。 しばらくして後ろから膝カックンされて 振り向くとアサキ。
雑誌と文庫本の棚をなんとなくまわり あとはそれぞれ好きな本を探した。 アサキがどんな本を読むのか、すごく興味があった。 彼女が手にとるものをさりげなくチェック。 わたしの知らない作家の本、あと大人の雑誌…
それから駅ビルに行って、お洋服とか雑貨をみた。 彼女は洋服屋で 「どこも同じだな。」 かなり大きな声で言うから、ヒヤヒヤした。
私服の彼女は、オトナっぽかった。 あっさりしたジーンズにスキッパーシャツ、 鞄もなにも持たないで、ポケットにお財布いれてた。
ハンバーガー屋の2階で休憩。 「おまえ、もう歩けないだろ」と言われて 「え、そ、 …うん」 つい正直に答えてしまった。
「病弱だろ」 「そうでもないよ」 「じゃあ病弱ってことにしとけ」 「どして?」 「似合うから。」
けっこう色々しゃべったはずなのに なにを話したのか、家に着くと忘れてた。
でも…
どうしてわたしを誘ったんだろう
「あ〜 寿司食いてぇ」 「いいわよ」
「え! なんでなんで!?」 「なんでも」
姉ちゃん、ヘンだ。
連休ヒマ? なら、どっか行かん?
アサキが、いきなりそう言ってきた
わたしはもうびっくりして 何て答えたのかよく覚えてない
でも
3日にどっか行くことになった
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