ほっく。

2003年05月31日(土) アサキ・6  放課後


ひっそりと
ひとりで過ごしていた図書室に
アサキが訪れるようになった


アサキとわたしは別々の机に座り
めいめい好きなことをする

ときどきこちらから話し掛けたり
アサキがそばへ来たり


このあいだ気付いたのだけど
アサキ、かすかに青竹の香り


今日みたいな雨の日は
その青竹がいっそう冴えて







2003年05月22日(木) うんとうんと走って


1時間目から6時間目まで
体育だったらいいのになぁ


うんとうんと走って
からだが足になるくらい走って
いつのまにか
向こうの空が赤く染まってる


とつぜん
ものすごくお腹がすいてる事に気づくんだ
そんで慌てて家に帰るんだ 走ってさ






2003年05月21日(水) 恋な歌ばかり


ながれてくるのは
恋な歌ばかり


歌をつくる人たちは
恋きちがい


人間だけじゃない
あの雀も
ちょうちょも
死んでた猫も


みんなみんな
恋きちがい






2003年05月20日(火) コダワリ


「トマトとマヨネーズは別々に食べるんだよ」

「どうして」
「素材の…」
「の?」
「素材の… 素材の…   なのだ」


「わかんないけど、わかったわ」
「よし♪」







2003年05月19日(月) ミシンは怖い


その針が

いつかこの指を 打ち抜きそうな気がして







2003年05月18日(日) おとうさんの週末


おとうさん
帰ってこない土日は
何して過ごしてるんだろう


寂しくないのかな
どんなこと考えるんだろう


ちょっとはぼくたちのこと
思い出したりしてるのかな?






2003年05月17日(土) 布を買う


キヨちゃんと真理奈と
家庭科で使う布を買いに出掛けて


青いデニムと
木でできた大きなボタンを選んだ


これでお弁当袋つくるの






2003年05月16日(金) 玉子は好きだけど


姉ちゃん。

オレ、玉子は好きだよ  好きだけど


中華丼にニワトリの玉子って

なんでかあんまり 嬉しくないっぽい









2003年05月15日(木) もしもし、算数の神様


もしもし、算数の神様
福音なんていらないから

かわりにわたしを
一枚の紙にしてください


ああしてそうしてこう折れて

わたし
紙ヒコーキになります


すぅっと窓から飛んでいきたいんです







2003年05月14日(水) わたし、みつばちなの


サツキの
白い花をちぎって
くちびるにはさみ 蜜を吸う
ひとつ ふたつと 蜜を吸う


わたし みつばちなの

でも 自分だけのためにこれしてるから
悪い子なみつばち






2003年05月13日(火) チョキ


工作箱からハサミをだして
消しゴムのカバーを少し切る


消しゴムは ono になった


なんかすごく
5月な感じがした






2003年05月10日(土) わかるような わからんような


「行けるわ」
「休んどけよ」

「ううん、土曜だし…」
「土曜って何かあんの?」
「好きなの」
「何が」
「土曜日が」



 …わからん。






2003年05月09日(金) 体温計をわたす


「計っとけよ」
「え」
「熱、出てんだろ」
「…そぉなの?」


姉ちゃん。
なんでいつも気付かないんだ?






2003年05月08日(木) 落ちてもいいんか

ショウタと帰る
白線の上だけ歩いて帰る

下は谷底で
落ちたらピラニアに食われる

ショウタは2回落ちて
両腕なくなってる

キビシーよなぁ って声かけたら
え?別に… とか言ってる


こいつ 白線じゃなくても
きっとすぐ落ちるんだろな






2003年05月07日(水) アサキ・5 図書室


放課後、図書室にいるとアサキが来た


わたしの手にしていた本をのぞき
「おまえ、そんなん読むの」 と驚いてる

「写真だけを見てる」 と答えると
「…ヘンなやつ」 と笑った

それはあなたでしょう、と思い
そのまま言ってみたら
「うぉっ」 と痛い顔で笑った







2003年05月06日(火) 日焼け勝負


ぼくとナカヤンとショウタ
腕を見せ合ったら
ぼくは2番だった


そのショックで
一時間目の国語は
ごんごん眠ってしまった






2003年05月05日(月) ヒーロー


おとうさんは、顔と腕と足が日焼けした

ぼくはすでに焼けてるから
とくに変わらなかった


夕方、駅の改札口。
じゃあ、と手を振るおとうさんの歯が
キランと白く光って

「いまの何か、ヒーローみたいだったね」
と言ったら
姉ちゃんが大ウケしてた







2003年05月04日(日) 釣り

昨日から、おとうさん帰ってきてる


今日はどこ行こうかって話をしてたら
姉ちゃんが
「あたしはいい、本読みたいから」


ぼくとおとうさんは
釣りに行くことにした



おとうさんがウトウトしたり
エサとられたりしてる間に、ぼくは4匹釣った






2003年05月03日(土) アサキ・4 (アサキ→4月17日)

アサキと本屋で待ち合わせ。

時間より早く着いちゃって
マーガレット読みながら(でも頭に入らない)待った。
しばらくして後ろから膝カックンされて
振り向くとアサキ。

雑誌と文庫本の棚をなんとなくまわり
あとはそれぞれ好きな本を探した。
アサキがどんな本を読むのか、すごく興味があった。
彼女が手にとるものをさりげなくチェック。
わたしの知らない作家の本、あと大人の雑誌…


それから駅ビルに行って、お洋服とか雑貨をみた。
彼女は洋服屋で 「どこも同じだな。」
かなり大きな声で言うから、ヒヤヒヤした。


私服の彼女は、オトナっぽかった。
あっさりしたジーンズにスキッパーシャツ、
鞄もなにも持たないで、ポケットにお財布いれてた。


ハンバーガー屋の2階で休憩。
「おまえ、もう歩けないだろ」と言われて
「え、そ、 …うん」 つい正直に答えてしまった。

「病弱だろ」 「そうでもないよ」
「じゃあ病弱ってことにしとけ」 「どして?」 「似合うから。」



けっこう色々しゃべったはずなのに
なにを話したのか、家に着くと忘れてた。



でも…

どうしてわたしを誘ったんだろう








2003年05月02日(金) なんで?


「あ〜 寿司食いてぇ」
「いいわよ」

「え! なんでなんで!?」
「なんでも」


姉ちゃん、ヘンだ。






2003年05月01日(木) アサキ・3


連休ヒマ?
なら、どっか行かん?

アサキが、いきなりそう言ってきた



わたしはもうびっくりして
何て答えたのかよく覚えてない

でも

3日にどっか行くことになった







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