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■ 痛み
尋常でない雰囲気を読み取って、同級生の彼が電話をよこした。 「どうした?元気してる?」 一瞬、すがりたい、と思ってしまった。 でも、私にはその腕にすがる権利はないと思った。 誰かを忘れるために、別れの辛さをごまかすために、 誰かを頼ってはいけないのだと、そう思った。 「なんでもないよー。ちょっとね、情緒不安定なの。」 「今から会う?出てこれる?それとも、こっちから行こうか?」 「・・・大丈夫、、、。こんなのいつものことだから。」 「あんまり無理すんな。できることがあったら言ってくれ。」 彼はそういって電話を切った。 根掘り葉掘り聞こうとしないところが、好きだ。 今、色々なことを話したら、私が壊れてしまうと思った。 私は案外、強くなかった。 私の辛い時代、不遇の時代を知っている、彼と別れたこと、 その別れが確実なものとなって、 合鍵の話にまで及んでしまって、 私はもう、その現実の重さに耐え切れなくなっていた。 いつかは、分かれる人だった。 いつかは、家庭に帰る人だった。 そう何度思い返しても、やっぱり辛かった。 一人で耐え切れる痛みではないって思った。 でも、耐え切れない痛みなんてありえないと励ました。
2002年07月27日(土)
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